中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

神奈川学園中学校

2014年09月掲載

神奈川学園中学校【社会】

2014年 神奈川学園中学校入試問題より

クラスの話し合いの時に、「戦争は、人々の人権をうばってしまう」と考えた友達がいました。その意見を聞いて、私は「基本的人権が守られることで、戦争のない社会につながるのではないか」と考えました。憲法の平和主義と基本的人権の尊重は、つながっているのだと思いました。

(問)
基本的人権を守ることが、なぜ戦争のない社会につながると考えられるか、次の資料のいずれかに触れて説明しなさい。

資料:様々な基本的人権

  • 誰にもさまたげられることなく自分の考えや意見を持ったり、発表することができる権利
  • 人種や民族、性別に関わらず全ての人が平等に扱われる権利
  • 子どもが等しく教育を受ける権利と、義務教育を無償で受けられる権利
  • どんな人でも、人間らしい最低限度の衣食住が保障される権利
  • 自分の考えにもとづいて選挙で一票投じたり、選挙に立候補できる権利

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この神奈川学園中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
【例1】
人間らしい最低限度の衣食住を保障しようとすれば、戦争はできないはずだ。戦争がおきると空襲で家が焼けたり、食料が配給制になってしまったりするからだ。
【例2】
自分の意見や考えを自由に発表できるような国ならば戦争にはならないと思う。戦争がおきると、多くの国は戦争に反対する国民の意見を抑えつけたり、反対する者を処罰したりするからだ。
解説

資料にあげられているのは、「表現の自由(自由権)」「法の下の平等(平等権)」「教育を受ける権利(社会権)」「生存権(社会権)」「参政権」である。これらの人権を守ることが戦争のない社会につながる理由を自分なりにまとめる力が必要です。戦争中にはこれらの権利が守られていなかったことを考えると、そのつながりがわかりやすくなるのではないでしょうか。

日能研がこの問題を選んだ理由

日本国憲法の三原則は、入試問題では頻出事項です。しかし、この問題のように基本的人権の尊重と平和主義の関係をとりあげたものはこれまでにはあまりありませんでした。この2つの原則の関係は戦後民主主義を考える上で非常に大切なことです。

民主主義の根本原理は「個人の尊厳」です(日本国憲法第13条にもその内容があります)。戦争というものは、多くの人びとの命はもちろん、財産や将来の夢を奪い、自由をも制限します。戦争が「個人の尊厳」と相反するものであることは明らかです。ですから、基本的人権が尊重されるためにはその国は平和国家でなくてはならないし、逆にいえば平和国家であるためには基本的人権が尊重されていなくてはならないのです。

小学生の子どもたちが取り組める範囲で、民主主義の根本を問うこの問題は、中学校に入学してからも子どもたちに考えて続けてほしいテーマです。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。