間もなく卒業する6年生で、自分が担当していたクラスにこのような生徒がいました。
夏期講習終了が終わり、まわりの子ども達が少しずつ本気に真剣になり始める中、変化する様子が見られない彼。
2月の入試に向けて、日々今何をしていくのか。
「1日1日何に取り組むのかを考えて過ごすこと」を大切にしていくことを、何度となく伝えてきました。
年末、12月に入っても、こちらが提示した課題に手を出そうとしない。声をかけてもやっている途中であったあったり、家に置いてきたりを繰り返してきました。
このように取り組む姿勢に変化が見られないまま、1月入試に突入していきました。
案の定、結果が出ず、いよいよここで変わるかと期待しましたが・・・。
それでも変化が見られないまま2月の入試となりました。
2月入試もなかなか結果が出せないままの日々が続きました。本人よりも保護者の方のほうが疲れの色が濃い状態で教室を訪れてきました。
次の日にある入試に向けて、各科目の担当からアドバイスをしていきました。私の科目の話になったとき、その学校の入試問題の傾向・出題形式について話しました。そのあと明日に向けての気持ちを聞いたときに、
「 先生たちが言っていたことがよく分かりました。 」
「 でも、ここまでやってきたのだから合格は取りたい! 」
「 全力で入試に行ってきます! 」
この生徒から初めて聞いたことばであり、今までとは明らかに表情が違っていたことが印象に残っています。
そして、最後はその場にいた学習スタッフ、モデレーター(4教科の授業担当者)皆で彼を送り送り出しました。
結果は見事合格でした!!!
教室でも歓喜の声が上がりました。さらにその次の日に行きたい学校から、繰り上げ合格の連絡まで来たそうです。
この生徒にとって、中学入試はとても苦しい経験だったと考えています。
しかしこの苦しい経験を、「自分自身が変化する」 ことで乗り越えたこと。
これはこの先、つまり 「中学進学以降の人生を豊かにする経験であったのではないか」 。
教室に挨拶に来た母と本人の晴れ晴れとした姿を見たときに、そう思いました。
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