2月1日…中学受験では東京入試・神奈川入試がスタートします。
中学入試では、毎年実に多くの “ドラマ” を目の当たりにします。
今年も実に多くのドラマを見てきましたが…
ちょうど1か月前の、特に印象深かったドラマを一つ紹介します。
そのドラマの主役は、ある男の子です。
ちょっと気の弱いところもあるけれど、温和で優しい…といったタイプの男の子です。
授業は真面目に受けているのですが、どこか遠慮してしまうのですかね。
分からないところを聞かないまま過ごしてしまったりして、
「受験生としての貪欲さが足りない!」と私に注意され、
涙目になっている…
なんてことが時折ありました。
そんな彼も、2月1日を迎え入試がスタートしました。
2月1日・2日・3日の結果は、残念ながら不合格でした。
受験は厳しいもので、全員がスムーズに合格をもらえるわけではありません。
彼もまた、そんな受験の厳しさを味わっていました。
3日目の受験が終わる頃、彼のお母さんから電話がありました。
日能研で4日目の対策をしたいとのことでした。
「また涙目になって、心が折れかかっているんじゃないか…」
彼のこれまでの様子から、そんな姿を想像しハラハラしながら彼を待ちました。
彼は数分後に、お母さんと一緒に日能研にやってきました。
すると、到着するやいなや
「TKM(←私のあだ名)、ちょっとココが分からないんだけど」と…
表情は険しかったけれど、これまでの不合格に心折れずに、「次のチャンスに向けて努力をしていこう」
という姿勢が彼の中に見えたようでした。
質問を終えたあと、軽く彼と話をしました。
1日の結果が出た時は落ち込んで、それで2日の試験に影響が出てしまったこと…
今も落ち込んではいるけど、2日のようにはなりたくないこと…
なんてことを話してくれました。
苦しい思いを経験したからこそ、なんでしょうね。
彼が苦しみながらも成長していることを、感じることができた瞬間でした。
そして2月4日…
ようやく、彼は志望校の一つである高輪中学校の合格を勝ち取ってきました。
高輪中学校の校長先生である坂本正先生は、ホームページでこのような人間を育てていきたいということをおっしゃっています。
「自らの意志で判断し、行動に責任がもてる人間に」
「自らを戒め正し、厳しい現実を乗り越えていく人間に」
「自己実現をめざし、絶えず人格の向上に努力する人間に」
まさに3日目の午後に彼の中に感じた強さを体現したような言葉が、そこには並んでいました。
彼の苦しんだ3日間があったからこそ、
彼に高輪中学校が求める人間像の資質が備わったのではないか。
彼の苦しんだ3日間があったからこそ、
彼と高輪中学校の縁が結ばれたのではないか。
そんなことを感じるのです。
今年の1つの “中学受験ドラマ” を紹介させていただきました。
≪高輪中のホームページへのリンクはこちら≫
TKM