自分を育てることを実感できる「哲学の学び」

  • Vol. 1307 : 2016/10/13

東洋大学京北中学校共学校

文京区は小石川植物園の、お向かいにある学校を知っていますか?
東洋大学京北中学校。
2015年に東洋大学白山キャンパスに隣接した敷地から移転し、
地下2階、地上4階の学び舎を、白山と茗荷谷の間に構えています。
人工芝のグラウンドを半分囲うようにして建つ校舎は、
吹き抜けが多く豊かな採光で温かみがあり、中間階に設けられた樹の植わった中庭や、
所々に活けられた生花からは和のテイストを感じます。
また、校長先生こだわりの図書室のテラス席からは、
グランドを超えて東洋大学のタワーが臨めます。
地域共生でしょうか、文京に関する資料も多く見受け興味をそそられました。

東洋大学の前身である哲学館、そして京北中学校の前身である京北尋常中学校は、
西欧から様々な文物が入ってきた激動の明治時代に、哲学者井上圓了が、
外からやってきた真新しいものを鵜呑みにするのではなく、
自らの目で確かめ、思考し、自分で問いを立てる、哲学という不変的学びを通して、
時代の流れがどこに行くのか見極める力を培って
世の役に立つ青少年を育成したいと創設した学校です。
人や情報が激しく行き交い、変化目まぐるしい今の時代も、
井上圓了が「諸学の基礎は哲学にあり」と唱えた明治時代と重なるように思います。
哲学を学ぶ時間を使って、日常に埋もれてしまいそうな「問い」を題材とし、
仲間と対話し、自分の意見・思考を論述することを通して、自分を客観的・俯瞰的に見る。
世間の価値観が時代の流れに合わせて変わっても、
不変的学びである哲学を通して、事象を俯瞰して多角的に見ることができる思考力を磨き、
その時々に自分がどのような立場で世の中とつながるのかを自己決定していく。
そんな自分を育てることを実感できる「哲学の学び」が、
東洋大学京北中学校には受け継がれていると感じました。

TBT

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