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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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天国からの見守り

  • 年度:2019
  • 性別:男子
  • 執筆者:
息子の小学校は、自宅から徒歩30分の距離にあり、小5から通い始めた最寄の日能研は、自宅からバスと電車を乗り継ぎ3~40分かかりました。

そのため、平日学校が終わってから自宅へ帰宅し、日能研に通うと塾の開始時間には間に合いません。
よって、通塾の日は学校が終わるとそのまま日能研へ向かうというのが我が家のスタイルでした。

土日の授業やテストは、母である私が車で送迎できますが、平日フルタイムで働く私にとって塾への送りは厳しく、私の父が可愛い孫のため、平日通塾の日は、塾への送りをしてくれていました。
(塾終わりは、私が仕事後、車で迎えに行きました)
具体的には、塾の日、私の父が学校の終業時間に、近くに車で待機し息子を拾い、ランドセルと重いNバッグを交換、働く私の代わりに息子の弁当を作り、持たせてくれました。

息子が幼い頃、離婚し女手一人となった親不孝者な私は、実家に戻り両親の協力のもと働きながら育児。
そんな母一人、子一人で臨んだ我が家の中学受験には、私の両親の協力が必要不可欠でした。

実際、息子の中学受験に、一番熱心だったのは、私の父でした。

そんな父は、ちょうど1年前の春、息子が6年生に進級して間もなく、亡くなりました。
全身を癌に侵されながらも、息子の塾への送りのために、病院の検査日程と、通塾の日が被らないようずらすなど、本当に最後まで苦しい中息子のために頑張ってくれました。

4月の半ば頃、亡くなる10日ほど前に車の中で父が母へポツリとつぶやいた言葉、
「今日で(送ってあげられるのも)、最後かな」
残念ながら、その言葉の通りになりました。
父の死後は、通塾の日は学校まで母や(仕事のない日は)兄が、Nバッグを持ってランドセルと交換し、そのまま息子一人で塾へバスと電車を乗り継いで通わせていました。
本当に命の尽きるギリギリまで孫のために全力で応援してくれた父でした。

息子は父の死後も仏前に「ただいま」「行ってきます」と挨拶するのは勿論、その日学校であったこと、塾での勉強の様子、いろんなことを毎日、話しかけています。

受験本番の日も、嬉しかった合格の知らせも、小学校の卒業も、先日届いた真新しい制服も、着用して仏前に赴き、報告しています。

お父さん、どうか、これからも「我が家の宝だ」と言ってくれた優しいあの子のこと、天国から見守っていてください。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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