受験を直前に控えたクリスマスの頃、息子が通っている小学校から一本の電話がありました。
息子が休み時間に右手の中指を骨折して、右手で鉛筆を持つことができなくなったとのことでした。
電話を受けた瞬間、私(母)は約1ヶ月後に迫った受験のことを考えて、目の前が真っ暗になりました。
しかし、息子は意外にも平気な顔。
聞くと、以前日能研の先生から、直前に右手を負傷して、左手で合格を勝ち取った生徒さんの話を聞いていたとのこと。
「僕も大丈夫だよ、絶対に大丈夫!」と言い、家に帰るや否や、早速左手で鉛筆を持って字を書き始めました。
左手の弱い筆圧でも文字が書きやすいように、鉛筆を4Bに変え、グリップを付けて、筆記の練習を始めました。
当初なかなかうまくいかず、計算や記述のスピードもかなり落ちましたが、息子は根気強くがんばりました。
今回の事故で親のほうがくよくよしていたのですが、息子は全くくじけませんでした。
日能研の授業にも休まず通い、左手で問題演習をこなしました。
怪我から1週間後、息子が第一志望校(早稲田中)の過去問を左手で解いて、合格点を取ることができたと見せに来たときには、思わず涙がこぼれました。
みみずの這ったような字に、息子の苦労と頑張りがにじみ出ていました。
その後も、受験の4日前に妹がインフルエンザにかかるというトラブルに見舞われましたが、肝が据わったのか、動揺することなく2月1日当日を迎え、見事、早稲田中に合格しました。
普段頼りない息子ですが、いつの間にか成長していたことを実感した受験でした。
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