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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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学び、対話、そして成長

  • 年度:2020
  • 性別:男子
  • 執筆者:
受験を終えた今、息子の表情は穏やかで充実感に満ちている。
「ここに行きたい」と自ら思った学校に出会い、合格をいただくことができたこと。
そして、力は及ばなかったけれど、長く目標にし続けたチャレンジ校への挑戦も果たすことができたこと。
2年半にわたり息子を見守り続け、温かく叱咤激励してくださった教室の先生方、スタッフの皆さまのご尽力に、心より感謝申し上げます。

初めての子どもの、初めての受験だったが、日能研と子ども一人ひとりとの距離の近さには驚かされた。
「ノートは先生との交換日記」とは息子の言葉。
6年生の夏休み以降、受験に向かっていく息子を成長させ、また直前期の精神安定剤にもなったのは、
信頼してやまない先生方との学びを通じた「対話」だったように思う。
それまでのふり返りとは本人の本気度と熱量が違い、先生方のコメントも、熱く力強いものだった。

第一志望校の過去問は、何年分やっても、なかなか受験者平均にすら届かなかった。
「点数は気にしなくていい」と言われていても、やはり落ち込み、涙も流した息子。
それでも腐らずできるところまでふり返り、質問したり、先生の空き時間に授業形式で見ていただいたりした。「頑張っています」「この振り返りでOK」「実力がついてきている」。
ふり返りシートに、そんなコメントが書かれていると親子で励まされた。

答案や問題用紙の裏表にびっしりと知識やポイントを書き込んでくださる先生もいた。
これを一人一人にやっているのかと思うと本当に頭が下がる思いだった。
ほかにも国語の語句、メモチェ、テストの解き直し、算数の難度別の銀本も、その都度ノートを提出し、
先生方に進捗を見てもらっていた。
コメントだけでなく、質問や返却の際に先生からかけていただくひと言も、彼の力になっていた様子だ。
授業のない日も自習室に通った。
5年生まで「授業以外で先生に話しかけるのは嫌」と言っていた息子が!

2月1日の第一志望校は、5年生のときから志望を公言してきた憧れの難関校。
実力的には遠く及ばないところからのスタートだったうえ、
周囲に気圧されやすい息子には無謀では?とは親の本音。
だが、室長先生は5年の頃から「彼の性格では、目標を失うと受験自体へのモチベーションをなくしかねない。
2月1日は狙っていきましょう。その代わり、併願をきちんと組みましょう」と言って支えてくださった。
マイペースさは良くも悪くも最後まで崩れることなく、成績が急上昇することはなかったが、
4教科とも本人なりの手応えを摑んでいった様子。
最後の模試では、R4はともかく受験者層に引っかかるくらいまでは少しずつ歩みを進めていった。

とはいえ、雲の上が見えないまま山を気丈に目指してきた本人も、内心は苦しかったのかもしれない。
併願候補の文化祭や説明会に通ううち、「ここに通ってみたい」と思える学校を見つけた。
そうして、第二志望校も大事な目標になった。

第二志望校を2月1日に出願するのもアリでは?最後の日能研全国公開模試の頃、言ってみたことがある。
息子もそれは意識していた様子。
「少し考えてみる」という返事の数日後、彼が出した結論は「今のままにする」というものだった。
2校に行きたい気持ちはいま、同じくらい。
過去問の傾向もそこまで大きく違うわけではない。
だから今まで通り勉強を続けて、どちらも合格できるように準備したい――。はっきりそう答えた。

自分自身で進む道を選択した息子の姿をみて、私はこのとき、中学受験が彼の中で合否を超えた実りある経験になりつつあると確信した。
実際、家での様子も、夏休みに算数の共通問題を泣きながら解いていた頃とも、
白紙に近い過去問の答案用紙を前に呆然としていた頃とも違う、スピードとたくましさがついているように感じられた。
彼は先生方に見守られながら、1問1問と向き合う努力と成長を続けていたのだ。
あとは頑張りが報われる結果になれば・・・。とはいえ1月入試も浮き沈みがあり、
まったく楽観・達観できる心境ではなかったのだが。

結局、息子は2月2日に受けた第二志望校に晴れて合格をいただき、通うことになった。
2日に合格したことで、翌3日に第一志望校に再挑戦するチャンスを自らつかんだ。
試験が終わり、開口一番「やっぱり難しかったわ」。
表情は晴れ晴れしていた。第一志望校は広い知識を前提とした深い思考力を問う試験。
本人の振り返ったところでは、高い山を目指して勉強していたことが、彼の受験全体に生きたのだと言う。
彼の決断と行動は間違っていなかったのだ。

他方、私の親としての関わり方が正解だったのか、今はまだ分からない。
もっと何年も先になって初めて答えが出るのだろう。けれど少なくとも言えるのは、
初めてのことで右往左往しながらも、彼の受験に伴走できたことはたいへん幸せな経験だったということ。
そしてそれは2年半前に日能研の門をたたいたからこそできたことでもある。
 
ここからがまた、彼の新たなスタート。先の見えない時代、この先もいろんなことがあるだろう。
けれど信頼する先生方との対話を通して熱意を意気に感じたり、
友達と切磋琢磨しあったりしながら目標に向かって努力した経験は、
この先息子がしなやかに人生を切り開いていくための礎となると信じている。
本当にありがとうございました。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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