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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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キラキラ笑顔のその先に

  • 年度:2018
  • 性別:男子
  • 執筆者:
「ねぇ。今日の夜に合格ってわかったらその瞬間からゲームやっていい?」
2月2日、雪の降る朝7時過ぎ。
第1志望校の入試へ向かうバス車内で息子が母の私に聞きました。
「(このタイミングでその質問か?と思いながら)・・・いいよ!何でもやっていいよ!今日合格したら、受験終わりだしね。」
「よっしゃ!俺、絶対今日受かる!!」

こんなふざけた会話をしながら、息子を受験生入口まで見送りに。お約束のハグをして、「思いっきり行ってこい!!」と手を振る母に、「じゃあ行ってくる!」と振り返った息子は最高にキラキラした笑顔でした。
今思えば、笑顔で試験会場に入っていったのはこの日だけだったかもしれません。

その5時間後、母の元に戻ってきた息子は開口一番、こう言い放ったのです。
「俺、受かったわ。めっちゃ自信ある。」

我が息子、超ド級のマイペース。
諭してもダメ、叱ってもダメ、甘やかすとつけあがる、毎日気分のスイッチが変わる。
先生方にとって、ものすごく掴みにくい子だったかと思います。本当にお世話になったと感謝しています。
4年生のうちは嫌がらずに楽しく通ってくれる事が最優先。
5年生になっても目立った伸びは見られず、Wクラスの真ん中~最後尾をウロウロ。
6年生になっても忘れ物で叱られる・・・。本人の自覚の上に受験は成り立つと思っていたので、母としてどこまで手を掛けるべきか悩みました。
妥協点は母が1日ずつのTODOリストを作成し、息子自身が優先順位を考えて取り組むという方法でした。
自分自身で学ぶという事を少しは理解してくれたようで、それに伴って、じわじわと得点出来るようになっていきました。
夏期講習前あたりから理科が飛躍的に伸び、完全に得点源科目となりました。1科目だけ得点できても全体で取れなければ意味がない。
そう思われるかもしれませんが、胸張って得意科目だ!と言える科目があることは大切なことだったと思います。

12月初旬の模試を終え、先生と相談して決めた1月受験校は
1月10日 栄東A日程
1月12日 栄東(東大選抜Ⅰ)
1月25日 立教新座
栄東Aで確実に合格を取る事、栄東(東大選抜Ⅰ)は連日受験の練習、立教新座は最後の力試しの位置づけでした。
結果、栄東2連敗。A日程は取れると思っていたはずが、合格ラインに30点も届かず。
このまま25日の立教新座を受けたとしても惨敗は目に見えていました。
先生から「25日までにひとつ合格を。15日か、17日に入試がある学校のどちらかで問題との相性がいい方を。」とご提案いただき、本当に必要な受験なのか、出願直前まで悩みましたが、出願を決めました。
2月へ向けて「合格」を作るための受験です。
結果、合格をいただくことができ一安心はしましたが、息子のどこか他人事であるような態度含め、2月受験への不安は拭いきれませんでした。

1月受験最後の立教新座。
去年、一昨年と合格ラインは5割前後。ギリギリ合格か、補欠ぐらいは・・・との気持ちで見た合格発表は残念な結果でした。
2月受験の結果次第では通いたい学校だったので、母としては一番堪えた不合格だったのですが、息子は「2月で受かることが俺にとって大事なんだ、だから別に」といった態度は相変わらず。
これで1月受験は終了、4戦1勝3敗。何とも言えない空気が我が家に立ちこめていました。


9月から始めた過去問は約6年間分。1月に入って算数は3周目に入り、国語は2周を終えました。社会だけは今年の問題を解くことに。
入試問題速報からダウンロードできるのでフル活用しました。
合格点に届く解答用紙を作る練習をひたすら続け、休日を使って本番通りの時間帯で予行練習も行いました。
3年間続けてきた成果が報われて欲しい。達成感を味わって欲しい。そんな気持ちで息子と向き合っていました。
2月受験校は、息子の希望と実力とで判断し、決めました。

2月1日 芝浦工大附属1回目
2月2日 明治大学付属明治1回目
2月3日 明治大学付属明治2回目
2月4日 芝浦工大附属3回目

午後受験の出願はしませんでした。
埼玉での受験後、疲れ果てて寝てしまっていたので、無理はさせず、1日の午後はしっかり休ませよう、2日の午後も次の日のために空けておこうという考えからです。1日の結果次第で2日午後受験へと行動できるように準備はしておきました。

2月1日 芝浦工業大学附属中学
試験後、「算数微妙かも。理科は自信あるけど。国語はいつもよりちょっと解けた。」
この言葉をどう受け止めればいいのかしばし悩む母。算数微妙とは・・・。
よくよく聞くと5つあった大設問の内、1つがまるまる解けている気がしない。その他の問題は大丈夫。計算ミスも検算したから大丈夫、とのこと。
どうやら満点を狙っていたらしく、その為に微妙という言葉が出てきたようでした。それなりに疲れていたようで、家に帰りたがりましたが、日能研に寄りました。
分からなかった大設問だけでもいいからクリアにして帰りましょう、という話になり1時間程ふり返りをしてきました。
この日は無事に合格。
明日からの第1志望2連戦へ向け気持ちを作りました。
 
 
2月2日 明治大学付属明治中学
受験を終え、前日同様日能研に寄り、ふり返りをしてきました。
「昨日の試験で解けなかった問題と似た問題が出てさ、今日の方が簡単だったんだよ」
と、冒頭でも触れたように自信満々の息子はもうすっかりお気楽モード。
焦る母とは対照的に、のんびりお風呂に入り、テレビを見てゲラゲラ笑っていました。
翌日のバス時間を確認するため、学校のHPを開いた21:20、「合格発表」へのリンクがありました。
まだ早いかなと思いつつ、あれ?受験番号と生年月日の入力?あ、もう結果が出ているのか。と理解した途端に手が震えました。
最後の一押しは息子へ託しました。そして開いた画面。

「合格です。おめでとうございます。」

奇跡が起きたのか、隠し持っていた息子の実力だったのかは分かりません。
それでも、息子が自分の手で第一志望の合格を掴んだ事実がそこにはありました。

入試前に息子に渡したものがあります。「合格御守」ではなく、「安産御守」。
息子を出産した時に握りしめていたもので、息子と母とで始めて一緒にがんばったこと、中学受験も一緒にがんばってきた。きっと一緒に精一杯がんばる事は中学受験が最後になるかもしれないと、「母も一緒に受験をする、側にいる」と思いを込めて。
喜怒哀楽がぎゅっと詰まった3年間。息子以上に母が泣いた3年間。
ふり返ればあっという間の3年間でした。
「どうせ俺なんて」と言いがちだった息子は、見違えるほど逞しく成長し、「その言葉を口に出したら悪い事しか返ってこない事が分かったからもう言わない!」と宣言するほどになりました。
これから先、「一緒に」は少なくなることでしょう。
そんな成長がまた楽しみです。
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