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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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最終戦でつかんだ勝利‐頑張り”続ける“ことの難しさ・大切さ‐

  • 年度:2020
  • 性別:女子
  • 執筆者:
長かった。長かったこの1か月。最後の1週間は想定外に辛く、過酷だった。

2月1日からの3連戦に敗北して、すでに後がない4日の最終決戦の日。
何より最後まで心を折らずに頑張り切った娘の気力・体力。「今日は満点で合格するね」と言って出て行った娘の精神力。親としてできるのは、ただただ試験中祈ることだけ。

試験終了。泣いても笑ってもこのテストが中学受験としては最後。
学校の正門で待っていると、出てきた娘の表情が暗い。今までの中で明らかに一番沈んでいた。声をかけられない。あえて入試とは関係ない話で場を盛り上げようとしてみるが・・・沈黙。

帰宅途中に入ったファミレスで、ランチ。ようやく娘が重い口を開く。
「理科。大問1つ全くわからなかった。意味がわからなかった。」と・・・。
「大丈夫。もう終わったし。たぶん問題が難しかったんだよ。何か書けるところは埋めたんだよね?合ってるかもしれないよ。」一生懸命前向きになれるような声かけをする。娘も気になっていたことを口に出せたせいか、そこから堰を切ったように続けて話し出す。「国語と算数はまあまあできたかな。社会はね、ちょうど授業で先生が言っていた問題が出たんだよ!先生すごいよ!」と。
(万が一?)「合格だったら社会の先生に特別にお礼を持っていこうか」と話して少し場を和ませる。

10倍に近い倍率の中で、大問がまるまるわからなかったことは明らかに大きな失敗。それを誰よりもわかっていたのは娘自身。だからこそ、そんな状況でも明るく振る舞おうとする娘の強さ。これは、受験勉強を通して培った1つの大きな力。

夜7時。HPの合格発表時間。娘も私も時計の針が既に7時を回っていることには気が付いていたが、なかなか見る決心がつかず家族内皆沈黙。午後7時20分過ぎごろ、「そろそろ見てみようか。今日は合格人数少ないからスクロールとかじゃなくって、開いたらすぐにわかるからね。いい?」と娘と覚悟を決めて合格ページをクリック。

「あっ、ない・・・。」と娘が弱弱しい小声でつぶやく。
「いや、ある ! 」合格番号が縦並びだと思っていた娘に対し、横並びで見ていた私が娘の番号があることに気づく。
「あるよ! あるある !! 」

今回の受験で、HPで合格発表を見るのは8回目。自分の番号がないことの方が多かっただけに、こちらの熱意とは関係なく、無機的に「ない」という状況に直面すると、一瞬にしてただの数字の羅列にしか見えなくなる空虚感。悲しいかな、そうしたことに慣れつつあった。

ただ今回は違った。最後の最後に違った。合格する時、その学校に吸い寄せられるように自分の番号が当たり前のようにそこに「ある」という何とも不思議な感覚を体感した。
一瞬「え?」と疑って、もう一度受験票の番号を確認してやっぱり自分の番号であることを認識。娘も、「人生で初めてうれし泣きをした」と言っていた。夢に見た感動の瞬間。「よしっ ! 」と思わず私も主人もガッツポーズ。それまで空気を読んでくれていたのか、ずっと黙っていた弟も「よっしゃー ! 」と大喜び。努力は裏切らないとよく言うけれど、わかっていても簡単なことではないし、誰もができることでもない。この4年間、頑張り“続けることができた”娘の価値ある逆転勝利。

翌朝、合格証をもらいに娘と行き、正門で記念撮影。じわじわと実感がわいてくる。
帰りがけ、ちょうど合格の手続きに来たと思われる母娘とすれ違い、その際「あ、あの子きっと同級生だよね。よろしくねー」と小声で言いながらその後ろ姿に手を振る娘が何とも愛おしく思えた。
本当にがんばったね。おめでとう。そして、この感動をありがとう。

受験を通しての、この4年間。中学受験は見方によっては「偏差値至上主義」や「多くのことを犠牲にしなくてはならない」など、よくない事のように言われたりする時があります。しかし、勉強であれ、スポーツであれ、それ以外の何であれ、1つの大きな目標に向かって努力し続けることの大切さ、同じく高い志を持った仲間たちと切磋琢磨し合う楽しさ、そして、最後の最後まであきらめず、自分の決めた目標を勝ち取る強さを学べる貴重な機会の1つであることには違いありません。
娘もこの4年間を通して、勉強ができるようになった事以上に、得たものは大きかったようです。志望校合格はある意味1つの通過点であり、まだまだこれからが大事ですが、この4年間を通して培った力は娘のこれからの人生において大きな支えになると確信しています。

最後に、一生懸命受験に向き合ってきた日能研の同じクラスの仲間たち、日能研の先生方、支えてくださったすべての皆様に感謝いたします。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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