「第一志望は、正直かなり厳しいな」
夏休み過ぎの時点でそう感じていました。日能研全国公開模試の結果は勉強のわりに今一つの伸び、志望校との偏差値の差は5~10離れていました。それでも、問題の相性が合ってれば可能性はあるのですが、国語の長い文章、算数の「考えさせる」問題、理科の生物の難しさに社会の複合型の問題。どの教科を見ても、子どもが苦手とする内容。相性も良くないと感じており、状況が改善しなければ、志望校を変えようと考えていました。
「本当に第一志望、このままで行くのか?」
12月に入り、状況が悪化、最後の日能研全国公開模試で秋以降では最悪の結果を持って帰ってきた子どもに確認したところ、「第一志望は変えない」と彼は強く言い切りました。どうしようか夫婦で思い悩み、日能研の担任の先生に相談しました。当然志望校変えをアドバイスされると思っていましたが、返ってきた答えは「ずっと第一志望を変えずに想っているので、変えない方が良いですよ」と意外なものでした。
その先生をとても信頼していたこと、同じ頃に雑誌で「直前の志望校変えはリスクが大きい」という記事を読んだこともあり、夫婦二人このまま突入するしかないと覚悟を決め、子どもの最大限のサポートをしようと切り替えました。
毎日塾に行って自習しているし、そこまで強く志望校を夢見ているなら、ある程度は仕上がっているだろうなと思っていた1月。過去問の演習を見て、計算、漢字、社・理の基礎と基本問題を随分ポロポロ落としていることに気付きました。「計算と漢字は?」「塾の自習室でなくなっちゃった」「社・理のメモリーチェックは?」「毎日一ページずつで2月1日までのカウントダウンにするんだ」
「・・・・・・」そうなんです。子どもは子どもであって、大人じゃないんです。一所懸命やってますが、計画性や自分の課題を設定し向き合うことに慣れていないんです。特に1月、塾というペースメーカーが外れてからは、親がペースを作る役割です。1月の一ヶ月は子どもにとっても厳しい毎日だったはずと思います。毎日自分のニガテに向き合わされ、「倍努力しないと志望校はムリ」と厳しく叱咤され、でも子どもは志望校に想いをはせ、必死でくらいつきました。
志望校の合格の発表を聞いて、本当に涙が出ました。最後の最後に子どもの“想い”は“踏ん張り”に変わりました。彼のことをよく理解し、思いを汲んでいただいた先生に心から感謝したいと思います。
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