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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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合否を超えるもの

  • 年度:2019
  • 性別:女子
  • 執筆者:
この原文は娘が第一志望再チャレンジ中の保護者待ち時間にファミレスで書いている。
娘は、もうここまでで十分よくやった。娘は今まだ会場でがんばっているが、今この瞬間を残しておきたいと思い筆を取った。

中学受験。受けるのか。受けないのか。時代は変わり、女性の生き方や幸せの形は多様化した。
娘はまだほんの子どもだ。無二の子ども時代の数年を受験戦争に費す必要があるだろうか。
自分は勉強すらほとんどしたことのなかった年齢だ。そして、安くはない出費…
ただ、今この瞬間言えることがある。このような経験をし、このような想いになる。
挑戦できる幸せを心からかみしめ、人の支えに心から感謝し、心がふるえ目頭があつくなる。
そして、道が開ける。それだけでも、中学受験という経験をして良かったと言えるのではないか。
本人の意思さえあれば、挑戦する価値はあるのではないか。

初日午前の第一志望を落とし、奈落の底につき落とされる。
その午後の、第一志望に近い偏差値の第二志望。手ごたえはない。合格する保証もない。合否サイトを開く。
「合格です。おめでとうございます。」の文字。号泣。
最後まで偏差値が5以上足りない合格圏外の位置から逆転合格の瞬間だった。
ここで、第一志望への再挑戦のチャンスを得ることになった。それは自らの力で獲得したものだ。
その自信は、計り知れないものになった。
合格することよりももしかすると大切な、挑戦できることのありがたみと喜びを実感することになった。
人というものは難儀なもので、失敗しなければ、努力してつかんだ成功の喜びを感じられないのだ。

受験本番。日能研の先生方が受験会場の前に立ち、受験生に一人ずつ握手をしてはげましてくれる。
他にもたくさんの学校があるはずなのに、ずっとお世話になってきた先生もここにかけつけてくれている。
この先生方はただ一心に子どもたちの合格を目指しサポートし続けてくれた方々だ。
感じておられる責任の重さとその数は我々親にもはかり知れない。
今日この日を迎え、子どもたちの合格を祈る。その気持ちの強さは、もしかしたら我々親のそれすら上回るものかもしれない。

第一志望は娘の偏差値より10も上の難関だ。とても合格できるレベルではない。
無謀とも言える挑戦。しかし直前の年末年始。
娘が6年生に上がると同時に単身赴任となり、受験1ヶ月前になるまでほとんど勉強を見られなかったが、
今回の年末年始はまとまった休みが取れたため、娘と第一志望の過去問の本気のふり返りを始め、
ここで驚かされることになった。
いつの間にか、合格できてもおかしくない基礎力がついているではないか。
ついこの前までちんぷんかんぷんだったことが、わかるようになっている。
あれだけ苦手だった算数の難しい文章題も解けるようになってきている。
合否などもはや関係ない。娘の圧倒的な成長を感じ、その成長、娘が自分の力で自らの道を切り開くための
成長のために、3年間、娘に寄り沿い、ひたすら力を貸してくれていた日能研の先生方に感謝してもしきれない、そう感じた瞬間だった。

1月の最終保護者会。時に笑いをとり、時に涙しながら、はげましてくれる先生方。
生徒全員の合格の責任を一身に背負い、合格を勝ち取るために嫌われ役に徹する学校長。
3日目まで合格が取れず、4日目にようやく合格が取れるまでのつらい中でも楽観的な家族に支えられた経験を語ってくれた先生。
この保護者会のためだけに遠方から駆けつけてくれた先生。「昨年、絶対に合格できるレベルの子の合格を落としてしまった。我々は絶対にこんなことを繰り返すわけにはいかない」。なんという人たちだ。

そもそも、ただ規模の大きさや合格実績の多さを語る塾ではなく、つめこみが大事だと言い放つ塾でもなく、
日能研高田馬場校を選んだのは、先生と生徒の距離がどこよりも近いと感じたからだ。
入り口を入ると共有スペースのどまん中に先生方の机が置かれ、仕切りもなければ受付もない。
当然生徒全員の顔と名前が一致し、生徒の下の名前で呼ぶのだ。
大手でありながら、アットホーム。生徒一人ひとりの個性を理解し、成長に手を貸してくれるのだ。

当然、塾にも限界がある。生徒の数は多く、こなさねばならないカリキュラムは膨大だ。
家庭にも限界がある。仕事を持ちながら手とり足どり教え導くのはほぼ不可能。
しかし塾と家庭が互いに補完し合い協働作業すれば限界を超えられるはず。

家庭では娘が何がわかっていないのかをつきとめ、その穴を最大限埋めることに徹した。
これからの時代は、これまでの延長線上に未来はない時代。
そんな時代に子どもたちはいずれ人生の荒波に一人で立ち向かわねばならなくなる。
そのときに、子どもたちにどのような武器を持たせてあげられるか。
いずれにせよ人生は正解がわからない選択の連続だ。その中で、今回娘は真正面から困難に挑戦し、
何にもかえがたい経験と自信を得ることができたと思う。
それらは今後、娘が自らの人生を自分の力で切り開いていくための無二の武器となるだろう。
そしてそれは、日能研高田馬場の先生方なしには得られず、成し得なかったものだ。
先生方皆様にこの場をお借りして感謝申し上げたい。

今回の受験で得ることになった「合否を超えるもの」。
これを胸に、これからの人生を、何があろうとも、親子で手をたずさえてつき進んでいきたい。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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