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親と子の栄冠ドラマ -中学入試体験記-

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5年の夏、「プレテ」の日々を越えて

  • 年度:2017
  • 性別:男子
  • 執筆者:
おかげさまで、第一志望の男子校(R4:58)から合格をいただくことができました。
4年入塾時はWクラスでも下位のほうでした。目指して頑張るのはいいけれど、とても届かないだろうと思っていたので、本当に感無量です。

入塾時の公開模試偏差値は40前後、30台もありました。カリテも全く点数がとれず、学習も親主導で、無理強いしては喧嘩になるという最悪パターンの繰り返しでした。
本人は「受験するかどうか決めたわけじゃない」と開き直り、いつまで続くかわからない状況でした。
4年後期でも偏差値40台半ばから後半。
第一志望校が気に入ってテスト結果や席順を気にし始めたものの、なかなか50の壁は超えられませんでした。
特に算数。計算ミスや問題の読み間違いが酷く、本人なりに家庭学習して臨んでもテストは散々な出来。
腐って言い合いになることも多く、親子関係も悪くなる一方でした。

4年の終わりから5年にかけて、算数に関してはいろいろ試みましたがミスは減りません。
自宅で解けた問題がテストではできない。もちろんテスト後のふり返りはしていましたが、そこはまだ幼い4~5年の男子、結果が出てしまった後では気持ちが乗らず、身も入らず、定着も今ひとつでした。

5年前期の終わり、思い立って、カリテの前に「カリテ形式で問題を解く」ことを試しました。
栄冠や本科の問題をコピーして切り張りした「テスト問題」と、カリテにならって自作した「解答用紙」を与え、配点も同様に設定して自室で同じ時間で解かせると、やっぱり、ミスだらけで点数になりません。
悔しがる本人にふり返りをさせ、「じゃあまた明日ね」と言って、翌日もまた「カリテそっくりテスト」をおこないました。
同じところを間違える、昨日できていたところを間違える、答えが出ているのに書き間違える、翌々日もまた・・・とやっているうちに、カリテ前日には「そっくりテスト」で8~9割とれるようになりました。
実際のテストはそうはいきませんが、6割、7割、と成果が出るときも増え、そうなると本人のやる気もUPしてきました。

算数で点数がとれるようになると、偏差値も5年後期で50台前半に乗ってきました。
この「カリテそっくりテスト」、我が家では「(カリテの前の)プレチェックテスト」という意味で「プレテ」と言っていました。
授業の進度に合わせ、家庭学習のあとに「プレテ」。できなかった問題は翌日もう一度出題、答えを覚えてしまいそうになると、順番を変えたり数字を変えたり。
150点満点中何点、といちいち点数を出すので真剣に取り組みます。
ただ親は大変でした。通勤時に解答用紙を手書きしたり、仕事の昼休みにコーヒーショップで切り貼りしたりしていたこともありました。
算数を中心に毎日、あるいは2日に1回、と半年ほど続けたでしょうか。正直「しんどいなあ」と思い始めたころ、いつの間にか本人自身で弱点対策ができるようになっていました。

6年前期の終わりに初めて偏差値55を超え、第一志望校も視野の端に入り始めました。
夏期講習は応用クラスで受講し、後期はそのままMクラスへ。
Mクラスの壁も経験しましたが、本人の気持ちは折れませんでした。
部屋中にプリントをまき散らしたり、壁を殴ったりと反抗的だった息子が、朝、夕、夜と机にへばりつき、机のまわりは要注意語句や決意表明の張り紙だらけ、テキストやプリントの山のなかで毎日奮闘していました。
中学受験経験なしの私たち家族は成長に驚き、「この頑張りがどうか報われますように」と祈り続けました。

その後、小さな衝突や浮き沈みはありましたが、最終的に偏差値は60弱まで伸び、61の学校にも合格しました。
しかし、Wクラスで長く低迷していた時期からの第一志望校に迷わず進学を決めました。
偏差値は入塾から受験までに20ほど上がったことにはなりますが、決して順調ではありませんでした。
一にも二にも本人の自覚が大事だとは思いますが、スイッチが入るその日が来るまでに、「頑張れば成果が出る」土台を作れたのがよかった。
我が家の場合、5年の夏からの「プレテ」が転機だったと思います。

みんなが頑張る6年生後半に向け偏差値を上げていくことは容易なことではありませんが、その子に合った方法が必ずあると思います。
先日塾のテキスト、プリント類を整理したところ、「プレテ」の分厚いファイルが何冊も出てきました。
褒められた方法ではないかもしれませんが、試行錯誤のなかで親子で粘り強く取り組んでよかったと思います。
中学受験はつらいこともたくさんあるものの、輝くような子どもの「本気の瞬間」を見ることができる素晴らしい機会です。
各ご家庭で目指す場所に違いはあるでしょうけれども、知恵を絞って本人を支えることで喜びもきっとあると思います。

長文、お付き合いいただきましてありがとうございました。
今後も寄せられたドラマを、各カテゴリーに随時アップしていきます。
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