人間の「知能」を測定しようと言う試みは古くからありました。その多くは知能を「一つの指標(たとえばIQ)」で測ろうとしていましたが、一方で「一つの指標」だけで人間の知能が測れるのか、と言う疑問はつねにありました。さまざまな議論を経て生まれたのが、ハーバード大学教授のハワード・ガードナー氏による
「多重知能(Multiple Intelligences=以下MI)」
の理論なのです。
この理論の中核にあるのは、「知能は単一ではなく、複数ある」「人間は誰しも複数(現在は8つ)の知能を持っている。長所やプロフィールが個人によって違うように、人によってある知能が強かったり、ある知能が弱かったりする」という考え方です。人間の知能についての研究はまだ完成されているわけではありませんが、このMI理論は現在、世界各国の教育現場やビジネスの世界で取り入れられています。
円の中の知能名にマウスをあてると、その知能の詳しい説明が見られます。円の下の方にもまとめて掲載しています。
自分がふだん何気なくとっている行動、容易にできること。人はできるのに自分ではうまくいかないこと。なぜ、人によってこのような違いがあるのでしょうか。 8つの知能のバランスは、人によって異なります。そして知能のバランスが異なる理由のひとつに、いままでの体験や環境の影響を受けていることがあげられています。
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さまざまなメロディー・リズム・ピッチ・音質などを認識したり、識別したり、つくり出したり、表現したりする知能。
演奏したり、作曲したり、リズムをつくり出したり、リズムを再現したり、音程を聞き分けたりすることができる。
音楽・リズム知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・歌う ・ハミングする
・音楽を聴く
・楽器を演奏する
・音楽に反応する
こんなことが得意
言葉の音の高低やリズム、音の数に敏感です。何かを覚えるときに無意識のうちに抑揚やリズムがついていることがよくあります。文章を書くと、自然と韻を踏んでいることがあります。
他人の気持ちや感情、モチベーションなどを見分ける知能。
表情・声・ジェスチャーに反応したり、人間関係におけるさまざまな合図を読み取ったり、その合図に効果的に反応したりすることができる。
対人的知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
たくさんの友人をつくる
・
たくさんの人と話す
・
グループに参加する
こんなことが得意
人の行動で自分に合うもの、必要としているものを見分けたり、人と話をしながら自分の考えを整理したりすることがよくあります。その子の発言や働きかけで、周囲が活性化することもあります。
論理的なパターンや相互関係、命題(仮説や因果関係)、また抽象的な概念に対応できる知能。
数字の意味をとらえて操作したり、何かを明快に論証したりすることができる。
論理・数学的知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
明確な手順や目的や意図をもつ実験をする
・
計算をする ・質問をする
・
数を研究(仕事)の対象にする
・
物事のパターン(規則性)や関係を探る
こんなことが得意
人の話や事実を受け入れるときに、その内容の整合性に着目し「本当にそうなのか」「この場合はどうなるのか」などと考えることが得意。なお、「問題解決」は「問題を解いて正解を出す」だけでなく、さまざまな分野での課題解決を含みます。
身の回りにあるさまざまな事象を認識し、違いや共通点を見つける知能。
自然現象にとどまらず、分類する視点を自らつくり出したり、一度分類したものを違った視点で再分類してみたりすることができる。
博物学的知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
野外で動物と一緒にいる
・
地理を学ぶ
・
気象を学ぶ
こんなことが得意
いろいろな種類が混在している情報を、自分で視点を決めて分類できます。ほかの教科で学習した内容を、別の教科や日常生活に応用することがよくあります。
空間および空間の中に含まれるものを的確に認識したり、その認識を自由に転換させたりすることができる知能。
色・線・姿・形・距離・場所などの要素それぞれにも、またそれらを複合的に組み合わせたものにも敏感に反応することができる。
視覚・空間的知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
図や絵を描く
・
空想する ・夢想する
・
組み立てる ・設計する
・
絵やスライドや映画を見る
こんなことが得意
図などを見た瞬間に、細部から全体までを映像としてとらえるので、「なぜそうなのか」と理由を聞いても、言葉で説明できないかもしれません。地図や図、グラフから気がつくこと、覚えることが多くあります。
長所短所に関わらず、自分自身について正確に把握し、その上で行動を起こせる知能。
自分を尊重したり、律したり、大切にすることで、自分の行動スタイルをつくることができる。
内省的知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
自分の関心を追究する
・
自分のペースで行動する
こんなことが得意
周りのことに気をとられずに、自分の活動を続けることがよくあります。興味や関心がわけば、自分から積極的に活動を進めることもあります。
話をする、文字や文章を書くなど、言葉を効果的に使いこなす知能。言葉を使って人を説得したり、情報を記憶したりする知能。
言語の配列や構造・音・意味・言葉の特質を巧みに使いこなすことができる。
言語・語学知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
文字や文章で書かれたものを読む
・
文字や文章を書く
・
話をする
こんなことが得意
植物の名前、昆虫の名前、知名、人名、年号、人の誕生日などを覚えるのが得意。また、授業中の先生の雑談や友達の話に出てきたちょっとしたエピソードなども覚えていて「なんでそんなことを知っているの?!」と驚かれることもあります。
考えや気持ちを自分の体を使って表現したり、自分の手でものをつくったり、つくりかえたりする知能。
手先を器用に使ったり、体を使って取り組んだりすることができる。
身体・運動感覚知能を使う子どもって?
こんなことが好き
・
動き回る
・
実際に触る
・
ボディランゲージを使う
こんなことが得意
一般的に、「運動神経が良い」「手先が器用」といわれるような子どもたちです。登場する人物の特徴にかかわらず、登場人物になりきったり、授業で学んだことを家で実際にやってみたりすることも得意です。
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