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出題校にインタビュー!

2014年 不二聖心女子学院中学校【国語】

不二聖心女子学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.本校は「広く世界に目を向け、深く自分を見つめる」その両方ができる学校。

「人間力が鍛えられる寄宿生活」

今、寮生活をしている生徒さんの比率はどのくらいですか。

作石先生 半分弱ですね。通学生には小田原、静岡・・・、東京のほうから通っている子もいます。

寮生活をしている生徒さんと、通学している生徒さんに、違いは感じられますか。

作石先生 寄宿生の企画力はすごいなと思います。寮生活は生活時間がきちんと決められているので、その中で学校のこと、寮のこと、勉強など、やることがたくさんあり、忙しいのですが。行事があり、係を決めて、何かを作るとなると、大概、寄宿生が手を挙げてくれて、人を動かしたり、自ら手を動かしたりして、手際よく進めてくれます。そういう力は寄宿生ならではかと思います。

蒔苗先生 寄宿生活では、人間力が鍛えられますからね。

国語科/作石 眞美子先生

国語科/作石 眞美子先生

「頑張れるのは、スタッフや友達の支えがあるから」

考えてみれば、中1から寮生活は大変ですよね。

作石先生 最初の頃は大変で、ホームシックになって泣いたり、毎日自宅に電話をかけたりする子もいますが、スタッフがとても家庭的な雰囲気を作ってくれて、学校から帰れば「お帰り」と迎えてくれます。丁寧に、親切に対応していますし、友達にも励まされて、鍛えられていきますね。

「欅坂」という学校の文集に、高3が卒業に向けて寄せる文章があるのですが、ここでも「最初は寄宿が辛くて、泣いて、(週末は自宅に返すため) 週が明けるたびに『絶対帰りたくない』と思っていたけれど、周りに支えられて頑張って来られた」などということが書かれています。

蒔苗先生 親御さんも正直で「最初に娘を置いて、校内の坂道を車で下った時に涙が出た」という方がいます。中学の卒業式では、父親が謝辞を読みながら涙するところも見たことがありますね。寄宿に娘を離す時の辛さと、ここまで大きくなったという感無量の想いが入り交じったのでしょうね。

毎週、自宅に帰すのですね。

蒔苗先生 成長過程ですから、親御さんと過ごす時間も必要ですし、家庭での教育力に期待しているところもあります。

「寄宿生はリーダーになる機会が多い」

先ほど、「卒業研究」をプレゼンするというお話がありました。書く力と、話す力は、別のものかと思うのですが、話す力をつけるために、意識して行っていることはありますか。

作石先生 人前で話すということでは、リーダーになる機会が多いのは寄宿生です。

高3が中1の面倒を見る「エンジェル制度」というのがあるようですね。そこでも「話したことが(中1に)伝わらない」など、いろいろ体験をするのでしょうね。

蒔苗先生 そうですね。寄宿では中1から高3まで、タテ割りのグループで食事をします。食事の席を盛り上げるのは大変なこと。高3がリードして、和やかで、会話の弾む食事の場を作るのですが、とても苦労するんですよね。いい勉強をしているなとつくづく思います。

不二聖心女子学院中学校

「自然と、下級生は上級生を立てて行動する」

上級生には敬語を使うなど、言葉づかいなども、きちんとされているのですか。

作石先生 いい意味でけじめはあります。高3が最初に苦労するのは、中1が敬語を使えないこと。それは当然なのですが、「タメ口を聞かれちゃった。どうしよう」というところから悩んで、「こういう時はこういうふうに言うんだよ」とか、「廊下で先輩と行き違う時には、道を譲るんだよ」とか。「『すみません』ではなくて『申し訳ございません』だよ」とか。そういうことを一つひとつ教えていきます。

チャイルド(中1)にとってエンジェルさん(高3)はとても頼れるお姉さん、エンジェルさんにとってチャイルドはかわいい妹。そうした関係を築いているのですが、他の学年は、当然のように上級生を立てて行動しています。高校生になると、仲のいい子とは、フォーマルなところ以外ではあだ名で呼び合うなど、場をわきまえて行動できるようになります。それは教師に対しても同じです。

「生徒の、フォーマルな場での対応は危なげない」

蒔苗先生 無意識のうちに、フォーマルとはなんぞやということを学んでいる気がします。公立校から来た先生が驚くのは、AO入試対策の面接の練習で、言葉づかいの指導をする必要がないこと。「とてもラクだ」と言っていました。中身を鍛えればいいだけですからね。

言葉づかいは、寄宿生に限らず、学校全体に行き届いていますから。フォーマルな場で、敬語を使ってコミュニケーションをとることに、本校の生徒はそれほど困らないと思います。それは得なことだと思います。

学校説明会では、6月は高3に、9月は中3に、11月は高2に、お客様の案内係をさせていますが、ご父兄からいただいた感想を読むと、言葉づかいをみなさんほめてくださいます。お客様に対して、どういう言葉づかいで接しなければいけないかということは自然に身につく土壌があるといいますか、国語の教師が授業の中で敬語、敬語と言わなくても、日常生活の中で鍛えられていくような気がしています。

不二聖心女子学院中学校

「日常の教育が生徒に浸透する土壌がある」

作石先生 ご家庭も気にかけてくださるんですよね。保護者会や学年懇談会などを開くと、私たち教員からも、保護者からも「言葉づかいが乱れてきて・・・」というような話題が出て、「お互いに気をつけているんですね」「(向上に向けて)一緒に頑張りましょう」となったりするので、ご家庭の力が大きいと思います。

蒔苗先生 先日、弁論大会があり、私が司会用の原稿を書いて、司会の子(通学生)に渡したんですね。それは一人称が「私」で、文末は「〜します」で終わっていたのですが、生徒は自分の判断で「わたし」を「わたくし」に直し、「する」を「いたす」に直して話していたので、感心しました。やはり司会者として立つ場面では、「わたし」ではなく「わたくし」であるべきで、それが染み込んでいるんですね。

プログラムがあるから、ではなくて、日常の教育が浸透しているのですね。

蒔苗先生 もちろん、学校生活ですから、とんでもない言葉づかいをしていて、後ろを追いかけることもよくありますが(笑)。根底のところで、点数だけを取ることよりも、人を大事にすることのほうが人間として大事ということを理解し、あらゆる人に対する敬いの気持ちをもっているので、中身の詰まった丁寧な言葉づかいができる子が多いのだと思います。

「生徒の視点は日本の枠を超えている」

6年間の教育が出口の部分で活かされていると感じられることはありますか。

蒔苗先生 漠然とした言い方ですが、なにかのために、誰かのために、自分の力を生かしたいと考えて進路を選んでいる子が多いと思います。

作石先生 創立者の願いといいますか、学んだことを、自分の体を通して、なにかのために役立てたい、そういう自分でありたいと思っている子が、卒業の時点では多いですし、私たちもそういう生徒を育てたいと思っています。

聖心女子学院というと、海外へ目を向けている生徒さんが多いという印象がありますが、実際はいかがでしょうか。

蒔苗先生 そういう文化が根づいていることはありがたいですね。この地区は駿東地区といって、大正時代から続いている文集の会があります。これも僕らの国語教育にとってありがたいものなんですね。ここ主催の作文コンクールの審査に出かけた時に感じるのは、本校の生徒は中学生であっても、視点が自分たちの日常を出ている、日本を出ているということです。

不二聖心女子学院中学校 先生

「海外で困ったことが起こると生徒が自発的に動く」

作石先生 先日もフィリピンで台風の被害がありましたが、本校には温情の会委員会というものがあり、海外でなにかが起きると、教員がなにも言わなくても「寄付をしましょう」と、生徒が自発的に動き始めます。そういうところはすごいと思います。朝夕、ホームルームでしたり、全校朝礼でしたりしているお祈りの力でしょうか。生徒一人ひとりに担当が回ってきて、オリジナルのお祈りを考えるんですね。自分のことだけでなく、視野を広げて、人のためにもお祈りすることで、行動につなげています。

蒔苗先生 海外体験学習から帰ってきても、そこで終わりにしないのです。自発的に活動を続けていく、なにかできることを探していこうとする生徒もいますし、私が引率した際、一緒にフィリピンへ行った子は、今、外務省で「世界のために」と頑張っています。そんな、非常に謙虚でまじめな生徒がいるんですよね。

「大事にしているのは、『深く味わう力』や『味わったものを表現する力』」

国語科が、大事にしている力を教えてください。

蒔苗先生 今の国語教育で重視されているのは、ある教科書の名の通り「伝え合う言葉」なんですよね。コミュニケーションツールとしての「言葉」を大事にしようという色合いが濃くなっています。例えば「伝える道具としての言葉」とか、「考える道具としての言葉」というような言い方にもそれが表れていると思います。

もう一つ、本校が大事にしているのは、「深く味わう力」や「味わったものを表現する力」です。それらが作文につながっています。

昨年まで国語科に属していた校長も、全校生徒に向けて言葉についてよく話をしています。先日はキャロライン・ケネディの詩集から、「一度、心に深く入った言葉は決して消えることなく、普段は意識していなくても、必要な時には必ず表れ、自分を支えてくれる」という言葉が紹介されました。いい言葉ですよね。これこそが、本校の国語科が大事にしなければいけない言葉の力だと思います。

国語科/蒔苗 博道先生

国語科/蒔苗 博道先生

「生涯に渡って自分を支え続ける言葉と出会う力を身につけさせたい」

蒔苗先生 もちろん伝える言葉も大事、考える言葉も大事ですが、言葉には道具を超える力があって、それを国語科の中で身につけさせていきたいと考えています。難しい時代を生きていく子どもたちが、生涯に渡って自分を支え続けていくような言葉と出会う。そういう力を身につけさせることを大事にしたいのです。

恐らくそういうことと、国語の出題にはつながっているところがあって、例えばこの文章を読んだ時に「縄文杉を見に行く奴は悪人ですよ」という言葉をきちんと心に留められ、奥深くにまで入っていったら、生涯その人を律し続ける言葉になっていくと思うんですよね。そこに国語科教育の大事なポイントをおきたいと、私自身は思っています。

校舎のあちこちに、いろいろな言葉が貼ってありますよね。以前、貴校の施設を使わせていただいた時に、下足入れのところに「真理はあなたがたを自由にする」という言葉が貼ってあり、心に残りました。

蒔苗先生 今年の創立者の記念日には、創立者の絵の下に「真理はあなたたちを自由にする」という言葉を入れた御絵を全校生徒に配りました。私の机にも、いつもそれがあり、毎日見ています。

「心の中に入っていく、生きた言葉を学ばせたい」

蒔苗先生 校舎のあちこちに言葉を掲げているのも伝統なのでしょうね。私がこの学校に来た時からあります。私自身は、生きた言葉の使い手になってほしいという思いがあるので、文脈の中でいきいきと使われている言葉をうまく選び出して、「今日の一枚」というプリントを作り、授業の最初に配っています。中3は週5単位と、一番時間数が多いので、こうしたこともできるのです。

例えば、「子どもじみていて下手なさま」という言葉を一つ選び、それを文章の中から探させます。この時の答えは「稚拙」という言葉でしたが、辞書で学ぶ「稚拙」ではなくて、読ませた文章は「少年院から届いた詩集」という本なんですよね。この詩集自体、すごく稚拙なのですが、素晴らしいのです。この文章の中で「稚拙」という言葉に出会うと、生きた言葉として心の中に入っていきます。そういう言葉の教育をしたいなと、私自身は思っています。

作石先生 印象と合わせて言葉が残っていくので、国語の授業をしていると、「あの時やった」「蒔苗先生のプリントに出て来たね」という話がよく出て来て、学び直しができます。そのつど深まります。

蒔苗先生 先日、弁論大会があり、とても嬉しいことがありました。「琴線に触れる」という言葉がありますよね。それをプリントで教えたわけです。そうしたら、その言葉を弁論大会でわざと使った子がいて、弁論をしながら僕のほうを見て、ニコッと笑ってくれました。単なる暗記を超えた言葉との出会いには、こだわっていきたいですね。

不二聖心女子学院中学校

「たくさん感じて、自分の考えや意見をもってほしい」

最後に、受験生や保護者の皆さんにメッセージをお願いします。

作石先生 私がお伝えしたいのは「たくさん感じてください」ということですね。さまざまなものや人からたくさん感じて、自分の考えや意見をもってもらいたいと思っています。それだけだと一方向になってしまうので、他の人の意見を聞いたり、取り入れたりし、その上で自分の考えを掘り下げていく・・・。そういう経験をたくさんしてきてほしいと思います。自分の意見を大切にする。お友だちの意見も大切にする。そうしながら考えを深めていく経験をたくさんしてきてください。

「形だけのグローバルではない。それが本校」

蒔苗先生 国語から少し離れるかもしれませんが、山ほど学校がある中で、不二聖心を選んでもらう理由とはなにかと考えた時に、私がよく言うのは「広く世界に目を向け、深く自分を見つめる。その両方ができる学校だよ」ということですね。そこに共感をもってもらえる人に来てもらえるといいですね。「グローバル時代」だから、ただ視野を広げて終わりではなくて、視野はどこまでも広がっていく。だけど自分の中にすーっと入っていくものもある。広く世界に目を向け、深く自分を見つめる。それができる学校ですよというメッセージをお伝えしたいと思います。

不二聖心女子学院中学校 先生

インタビュー 3/3

不二聖心女子学院中学校

不二聖心女子学院中学校1920(大正9)年に岩下清周によって創立された温情舎小学校が前身。1945(昭和20)年、聖マグダレナ・ソフィア・バラが1801年に創立したカトリックの女子修道会「聖心会」に経営移管され、1953(昭和28)年に高校が開校。1957年に現校名へ改称。

学校を一つの家庭と見なし、キリスト教的価値観に基づいた心の育成を目指す。日々の祈り、宗教の授業や、クリスマスなどの宗教行事を通して、生徒たちは祈りの心、温かな人間観を身につけ、見えないものへの価値に目を開いていく。一方で、世間ではおとなしい生徒が多いと思われがちだが、掃除をするときロッカーを動かしたり、課外授業ではテントを張ったりと、たくましいところも見受けられる。また、新入生1人に高校3年生の生徒がついて学校生活を手助けする「エンジェル制度」は、家庭的な同校ならではの制度。

富士山の裾野に位置し、木々が茂る森があるなど自然に恵まれた学習環境にある。聖堂や校舎はフランス風で、各々に聖人の名が付けられ、広い敷地にゆったりと配置されている。マリア館には図書館や美術教室などがある。生徒用コンピュータは、図書館でも利用できる。校内LAN、体育館の完成に続き、2002年に新しい寄宿舎寝室棟が完成した。

英語の徹底重視が特色。中学では毎日英語の授業があり、習熟度別のクラス編成を取り入れている。英語が得意でない生徒には補習を積極的に行い、特に中学では基礎力の定着を徹底している。またスピーチコンテストなどを通して「使える英語」を身につけることを目指す。

自主的な研究活動も重視され、中学1年で学年研究、中学2年でグループ研究、中学3年では個人で卒業研究をまとめる。中学2年生からは英語・数学で習熟度別授業を実施。補習は英語・数学を中心に、その他の教科でも放課後や長期休暇を利用して中学から適宜行われている。併設の聖心女子大へは例年約60%が進学。現役合格率は90%以上で、早慶上智大など全国の難関大学に幅広く合格している。

国際理解教育も重視し、マルタ、アメリカ、韓国、台湾、フィリピン、タイ、カンボジア、の体験学習も活発。世界に広がる聖心のネットワークを生かして、アメリカ、カナダ、スコットランド、ニュージーランドへの1年間の姉妹校留学制度もスタート。2018年からは高校2年生全員が聖心の創立の地フランスを訪れる「ルーツへの旅」が始まる。伝統的な奉仕活動、国際理解教育、環境学習が評価され2012年にユネスコ・スクールに認定された。

クリスマスキャロル、奉仕の日、祈りの会などの宗教的な行事を通して、誠実に生きる喜びを体験する。老人ホームの慰問や駅の清掃などを行う奉仕活動も活発。寄宿舎では180名近い生徒が、中1~高2までの縦割りの4グループと高3の1グループの計5グループで生活している。互助の精神のもと家庭的な雰囲気があり、また規則正しい共同生活を通して、自分で考え自分の責任で行動する自律心を養うことができる。

週5日制なので、週末には自宅に帰省。体育大会、秋のつどい、自然教室、弁論大会、音楽鑑賞会など、学校行事も盛ん。

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