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出題校にインタビュー!

2013年 湘南白百合学園中学校【国語】

湘南白百合学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.子どもが持つ、本当の力を問いたいから、難しすぎる問題はあえて出さない。

「足し算では答えが出ない問題」

この問題の出題意図からお話いただけますか。

柳先生 山を登るにも、いろいろなルートがありますよね。この問題も、いろいろなところから答えを導き出すことができるので、おもしろいと思いました。例えば「七夕」と「宮沢賢治」を足しても答えは出ません。「プラネタリウム」を足しても同じで、足し算では答えが出ないのです。ワードからハッと気づくことが必要で、受験生が持っているいろいろな引き出しをノックできる、いい問題だと思います。

宮沢賢治は教科書に載っているので問題ありませんが、「モモ」は「知っているかな?」という不安がありました。出してみると、全受験生の84%ができていました。たいしたものだと思います。合格者の通過率は88%。不合格者は80%。全体的によくできていて、たのもしさを感じました。

教頭/柳 宣宏先生

教頭/柳 宣宏先生

「言葉の問題は標準レベル」

この問題はどのようにして出来たのですか。

柳先生 国語科の入試問題は、20点が言葉の問題、40点が物語文、40点が説明文で構成されています。年により多少変わることもありますが、だいたいこのような配分で作っています。

言葉や知識は標準的な力があればいいので、漢字の出題は小6までに習う漢字に限定しています。四字熟語や故事成語も、テレビのクイズ番組などに出るような、日常で時々使われるレベルのものを出題しているので、合格する子は8割8分から9割取ります。不合格の子でも8割弱取ります。

漢字の読み取り・書き取りを10点分出します。残りは10点しかありませんが、ある時は敬語、ある時は修飾語、被修飾語と、いろいろな問題を出しています。2013年度も「言葉の問題、どうする?」「故事成語にしようか」「空欄にしておいて、後ろから選ばせる?」「同じ漢字が入るように並べる?」などと、いろいろ考えている時に、ある先生が「こんなのどう?」と持ってきたのが始まりです。

「できれば作品や作家が絡む問題で統一したかった」

柳先生 たしか、2の「モモ」を持ってきたと記憶しています。その時は「モモ」「時間」「光陰矢の如し」でしたが、国語科では全教員で議論し、問題を固めます。この問題も、「おもしろい問題だな」ということで、パターンが決まり、アイデアを出し合う中で整っていき、「モモ」「一朝一夕」「光陰矢の如し」で出題。「時間」を答えにすることで、自信をもって出題しました。

3のような問題は、過去にも出しています。ことわざや四字熟語に共通するキーワードは意外とありますから。できれば「宮沢賢治」や「モモ」のような作品か作家が絡む問題を、いくつか出したかった。それができれば、もっとおもしろい問題になったと思いますが・・・。小6が知っている作家で精度の高い問題を作ることができませんでした。「芥川龍之介」も、「蜜柑」というワードでは知識で解けてしまいますよね。それでは趣旨と異なるので、案は出たものの、残念ながら2題で止まってしまいました。

湘南白百合学園中学校

「この問題は、国語の問題の原点」

柳先生 この問題は、ある意味、国語の問題の原点と言えると思います。形はベーシックではありませんが、求めている力はかなりベーシックです。数学でいえば三角関数を力ずくで解く子がいるように、こうした問題を知識だけで解く子がいても、それはそれで正解です。ただ、スマートな子は「宮沢賢治」「七夕」ときたら、アッと気づきます。一見、知識問題のように見えますが、私たちの狙いは国語でほしい力。例えば、類推する力ですね。

私は短歌を作っていますが、詩や短歌、俳句はアナロジーの世界です。一つの言葉からどれだけ類推できるか。他の言葉への想像力をふくらませていくことができるか。「行間を読め」などと言うのも、そういうことだと思いますが、そういう力が国語を学ぶ上で大事な力だと思いますね。

「類推力を身につける方法の一つが読書」

柳先生 入試問題を見ると、中学受験も大学受験も「傍線部の意味合いはどういうことか。次から選びなさい」という問題ばかりです。「どういうことか」は、次の段落で説明されているなど、文中を探れば違う表現で出ていますよね。類推力が働く子は、こことここは同じようなことを言っていると、長い文章からポイントをとらえることができます。数学は限られた情報量から答えを導き出しますが、国語は膨大な情報量を整理しなければなりません。その時に、類推力はかなり武器になります。

では、どうやって身につけるのか。一つは読書です。たくさん本を読んでいる子は、どうでもいいところはさーっと読み飛ばしていくし、おもしろいところは立ち止まって、じっくり読みます。読書で、歩いたり駆けたりすることで、類推力は身についていきます。たくさん読んでいない子は、ここを読み飛ばしても大丈夫、という勘が働かないので、正味100ページの本を読むのもかったるいんですよね。早稲田大学の入試問題には空欄がたくさんありますが、それは前後の文章を読み、似たような表現を他から探すことができるかを問うため。私たちもそのように問題を作りますが、類推する力は国語の大事な能力の一つだからです。

湘南白百合学園中学校

「入試問題は全員で討議する」

国語科の先生は何名いらっしゃいますか。

柳先生 9名です。現在は全員専任です。

問題は全員で作られるのですね。

柳先生 そうです。主任には客観的に判断してもらうため、問題制作にタッチしません。印刷後の校正を担当する者もいますので、4、5人が、長文を選ぶ人、漢字や言葉の問題を作る人に分かれて問題を作ってきます。それを全員で討議して、採用するかどうかを決めます。

出て来た問題をたたき台にして、「これは何を問いたいの」などと、思ったことを聞きます。言われるのが嫌なことは分かっていますが、言わないと良い問題になりません。いろいろ注文を出していくうちに私たちも力がついて、最近は、問題の質が揃ってきたような気がします。

「答えが出やすい問いで、子どもの持つ本当の力を問う」

柳先生 難しすぎる問題を出さないことも、私たち国語科がこだわっていることの一つです。難しすぎる問題では、子どもの持つ本当の力を問えないので、答えが出やすい問いに変えています。算数も、ここ2、3年は誘導型になっていると思います。

問題文については、皆が推すものを選ぶようにしていますが、小説は内容も吟味します。読んだ時に傷つく子がいるといけないので、そういう配慮は怠りません。

取りあげられやすい作品はありますか。

柳先生 申し合わせているわけではありませんが、主人公がやさしい気持ちの作品が多いですね。小説の問題には、気持ちの変化が不可欠です。人間の気持ちの変化を聞くことが多いのは良いこと。重松清のような成長感の強い作品を取りあげることが多いのですが、私たち大人からみて「イケてる」と思う作品は、子どもに対する配慮という点からは、意外と危ないですよね。ですから、どうしても無難な作品を選びがちです。

湘南白百合学園中学校

インタビュー 1/3

湘南白百合学園中学校

湘南白百合学園中学校1936(昭和11)年、フランスのシャルトル聖パウロ修道女会が創設した幼稚園が前身。全国に7つの姉妹校がある。カトリック精神に根ざした世界観・道徳的信念を養い、神のみ前に誠実に生き、人としての品位を重んじ、愛の心をもって社会に奉仕できる「サーバント・リーダー」の育成を目指しています。白百合の花にちなんだ校名と校章は、聖母マリアの清純さ、優しさ、凜とした強さを象徴しています。

温かい校風で、日々の学習や学校生活にまじめに取り組み、礼儀正しく活発な生徒が多い。豊かな心を育てるため、宗教や音楽教育に力を注いでいます。生徒全員がラテン語でミサ曲を歌う「音楽コンクール」もあります。

併設大学への進学者は少数で、東京大学をはじめとした難関大学・上位大学への進学実績は堅調。近年は医学部への進学者が増えています。

英語教育のレベルが高く、中学では『プログレス21』Book1~3を使用。中学の英語、中3の数学では2クラス3分割の少人数制授業や、習熟度別授業も行っています。総合的な学習の時間では、学年ごとにテーマ学習を実施。中1ではアイマスクの体験や鎌倉の町のバリアフリーの環境・整備について調査。中3では「環境」について、一人ひとりがテーマを決めて調査・実験などを行い、レポートの作成、パワーポイントを使ってのプレゼンテーションも行います。

2011(平成23)年に、創立75周年記念講堂「白百合ホール」が完成。ホールは1200人収容可能で、本格的な舞台設備を備えながら、多目的ホールとして音響設備も充実している。学園記念ミサや、クリスマスミサ、入学式・卒業式などの行事に利用されている。また、講堂内の緞帳とステンドグラスは、生徒の合作によるデザインが採用された作品。白百合の花をモチーフにしたデザインになっている。

クリスマスミサ、中2林間学校、高1研修旅行ではキリスト教ゆかりの地である長崎での平和学習など、生徒の成長のための多様な体験を設定しています。クラブ活動では、英語部のほかにCCF(フランス語サークル)もあります。

制服は中学、高校共にセーラー。

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