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出題校にインタビュー!

2013年 東京電機大学中学校【理科】

東京電機大学中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.おもしろがって工夫するところから新しいものが生まれる

「生徒自身に『マイ実験装置』を作ってもらうねらい」

磧谷先生 本校の実験の最大の特色は、実験装置を生徒自身が作ることです。作った装置は「実験ボックス」に収納して自分で管理します。

なぜ、生徒自身に実験道具を作らせるのか。ねらいの1つは「ものを大事にしてほしい」ということです。今の子どもたちはものがあることが当たり前になっていますが、だからこそものを大事にする心を養いたいのです。壊れたら自分で修理します。自分で作ったのだから自分で直せるはずですからね。

もう1つは「実験は実験室でなくても、特別な装置でなくてもできることに気づいてほしい」からです。教科書に実験装置の写真が載っていますが、そうすると実験は、「実験室で“立派な”実験装置で行うものだ」というイメージを持ってしまいます。でも、本校が作る実験装置の材料に特別なものは1つもありません。家に持ち帰ってできるし、似たような材料で作ることもできます。実験は工夫してできるものであることをわかってもらいたいですね。

理科/磧谷 和樹先生

理科/磧谷 和樹先生

「実験装置も毎年バージョンアップ」

磧谷先生 最初に作るのが光の性質の実験で使う光源装置です。材料は各自に一式配布して、自分で木工用ボンドで組み立てます。電流と回路の分野では回路をつくるために導線のはんだ付けもします。いつでも修理できるように、実験室にははんだごてを常備しています。

生徒約200名分の実験装置一式は、すべて教員が設計図を作り、寸法を測って電動ノコギリで切って揃えています。実験装置は毎年バージョンアップを目指します。光源装置は改良を重ねて洗練されたものになりました。電流と磁界で使うコイルモーターは、現モデルになるまでに10年近くかかりました。消しゴムにクリップを立てていたモデルは回すのに調整が難しかったのですが、現モデルにしてからは全員がコイルを回すことができます。バージョンアップすると見た目も格好良くなります。

「生徒が自由に工夫する時間を確保」

磧谷先生 実験は、自作の実験装置を使ってオリジナルのワークシートに沿って作業します。例えば光の性質の実験なら、光源装置からの光を鏡に反射させたり、レンズにあてて屈折させて光の道すじをワークシート上に書き記します。ワークシートには予め装置をセットする位置が書き込まれていて作図しやすいように工夫しています。基本の実験をひと通り終えたら、残り約10分はワークシート以外の遊びの時間です。すると何人かが集まり複数の鏡を使って光を好きなように反射させて遊び始めます。コイルモーターを回す実験では、気の利いた生徒は実験ボックスにある豆電球をつないで点滅させてみせます。実験では生徒が自由な発想でチャレンジすることも大切にしています。

中学生は全員が理解して次のステップに進むようにしています。そのためレポートではなく、ワークシートを貼ったノートを提出させて、作業をきちんとやっているかチェックしています。

東京電機大学中学校

「できないと悔しいから、どうすればいいか考える」

磧谷先生 実験装置作りから始めると、理科があまり好きではない生徒もおもしろがって取り組んでくれます。自分で作ったからこそ、なぜ回るのか自然と考えるようになります。うまくできるとうれしいし、できないとくやしい。そこがいいのです。うまくいくことばかりではありませんから、失敗したときに、なぜだろう、どうすればうまくいくのだろうと考え、工夫することが大事です。

高校生になっても中学での実験はよく覚えているようで、「よく実験したな」なんて思い出してくれるのがうれしいですね。

「今学んでいることが世の中でどのように利用されているか紹介」

磧谷先生 本校のカリキュラムでは中2までに中学の範囲をひと通り学習します。中1で生物分野と地学分野を、中2で物理分野と化学分野をそれぞれ週2時間ずつ学びます。その間、生徒が混乱しそうな内容や、もう少し数学力がついてから学ぶ方がよいと判断した内容についてはいくらか省いています。

中3は生物と物理が週1時間ずつ、化学が週2時間の配分です。生物と物理については、中2までに学習した内容に関連する身近な現象を取り上げます。物理であれば、なぜ自動車はブレーキペダルを踏むだけで止まるのか、力の増幅について既に学習したてこの原理やパスカルの原理を使い、復習を兼ねて考えます。物理は高校になると文字を使って計算することが多くなります。そこでつまずいてしまう生徒も少なくないので、中学で予行練習して慣れさせます。

中3の物理と生物は中学の総復習から高校の入口に橋渡しするような位置づけです。生物は中3で扱わないと高1までブランクが長くなるので、高校での学びをスムーズにできるように中3でも学びます。

一方、中3の化学は高校の内容を扱います。というのも、高1の必修が物理基礎と生物基礎で、化学基礎は高2の理系が履修するカリキュラムだからです。化学もブランクが長くならないように、中3で高校の基本的な内容を学びます。

理科/磧谷 和樹先生

理科/磧谷 和樹先生

「問題で何を問われているかをイメージする力は、遊びの経験が役立つ」

磧谷先生 理科に限らず、中高6年間で最終的に身につけてもらいたいのは、「新しく何かをつくり出せる力」です。この最終目標に向かって、中学では、小学校での遊びの経験が足りない分、授業で手を動かして、失敗しても自分で何とかして解決しようとする姿勢、考える習慣を身につけさせたいと思っています。高校になると特に物理は計算が多くなりますが、遊びの経験がある生徒は問題を読んだときにどんなことを問われているのかイメージしやすい。また「何とかしよう」という姿勢が、難しい問題に取り組む際に活きてきます。

「失敗を恐れず、とにかくやってみよう」

磧谷先生 中学時代、実験でいつもひと工夫する生徒がいて、彼は高校に進学すると物理同好会で電気自動車の製作に取り組みました。卒業生が寄付した軽自動車を、エンジンを外してモーターを取りつけ、東京電機大学の教員にも掛け合って部品を作ってもらい改造しました。毎年、武蔵野祭ではこの電気自動車の試乗会を行っています(教員が運転)。そうした姿を見ると、中学で遊びの時間を設けている甲斐があることを感じます。この生徒は卒業して自動車メーカーに勤めています。

失敗してもいいのです。叱られるくらいでいい。叱られないということは失敗していない、つまり行動していないから成果も出ないということです。「こうしたらどうなるだろう」と思ったら、迷わずやってみてほしいですね。

苦労してこそ、わかったり、できたときに「楽しい!」と思えるでしょう。すると、いろいろ工夫したくなる。これを繰り返す中で、新しいことをつくり出す姿勢が自然と育っていくのではないかと思います。

東京電機大学中学校

インタビュー 3/3

東京電機大学中学校

東京電機大学中学校1907(明治40)年に広田精一、扇本真吉の両技術者が創立した、私立電機学校が前身。1996(平成8)年に中学校が開校し、東京電機大学中学校・高等学校となりました。1999(平成11)年に男子校から共学校に移行し、中学校、高等学校ともに男女共学となりました。「人間らしく生きる」を校訓に、学力だけでなく経験の機会も重視することで、社会で活躍できる実践知を身につけることを目標としています。

1クラス約30名の編成。定期考査ごとの各教科の「成績分析シート」、中学1年の「英語のモーニングレッスン」など、きめ細かい学習体制を整えています。中学3年では応用力養成クラスを設置し、一般クラスでも習熟度別授業を実施。系列大学への内部推薦進学率は約15%(平成25年)。

現代社会で求められる情報教育、英語教育に加えて、探究心と表現力を高める理科教育に力を入れているのも特徴。校内にはコンピュータ室が3室もあり、100台以上ものパーソナルコンピュータを備えています。また、理科実験室だけでなく、物理演示室、化学演示室も備え、「見て・触って・やってみる」理科の授業を行っています。

ボランティア活動は総合学習の一環として行われ、基本的に全員参加。中学3年では卒業研究、プレゼンテーションができるようになるための演習を行います。卒業研究発表の際は、パーソナルコンピュータを使い、校内のホールでプレゼンテーションを行うこともあります。他にも、中学2年ではブリティッシュヒルズで英語合宿、中学3年では京都・奈良修学旅行、強歩大会などがあります。クラブ活動は同好会、愛好会も含めると、およそ30近くあり、それぞれの生徒がそれぞれの興味で活動できる場がそろっています。

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