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出題校にインタビュー!

2013年 玉川学園中学部【社会】

玉川学園中学部の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.天ぷらそばの自給率からいろいろと考察できる問題

「自分たちの食料を自国で賄えない現実を、どこまで理解しているか」

有光先生 大問を作成する際に意識するのが時事トピックです。2012年は、日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加を巡るニュースを度々耳にしたことでしょう。自由化したらどうなるのか、TPP自体を取り上げるのは小学生には難しいけれど、子どもたちが自分たちの食に対してどこまで理解しているだろうかという疑問がありました。

自分たちが食べるものを自分の国で賄えないという現実を受けとめて、どうするべきか考えていかなければなりません。日本の農業や水産業にどんな問題があって食料自給率が低くなっているのかを子どもたちなりに考えてもらいたいと思い、食料自給率を取り上げました。

社会科/有光 正哉先生

社会科/有光 正哉先生

「自給率から、日本の農業や水産業の問題点をとらえる」

有光先生 玉川学園の入試では、この問題のように、与えられた情報をもとに自分の意見を述べる問題を出題しています。「自分の考え」といっても、自分勝手な、何の裏付けもない意見では説得力がありません。問題にはヒントになるような図やグラフを必ず提示しているので、自分が身につけた知識と併せて考察できるような問題づくりを心がけています。

玉川学園の社会科では、授業で理解したことや自分の考えを文章化する「まとめ学習」を頻繁に行っています。まとめ学習で必要な考察力や表現力などの技能が小6の段階でどの程度あるのか、この問題を通して把握できればと思います。

「受験生の多くが自分の意見を述べることができていた」

有光先生 自給率の数値から、問1の「輸入できなくなって最も影響を受けるもの」は明らかです。「最も」ということから、0%のしょうゆとなたね油を選ぶのがベターですが、えび(5%)、卵(11%)や小麦粉(13%)など自給率がかなり低いものでも正解です。ほとんどの受験生が正解していました。

問2に関しても、しっかり勉強していることがうかがえる出来具合でした。無答や、好き嫌いの感情論を述べた答案は一部みられたものの、ちぐはぐな解答はほとんどありません。問題の意図をとらえて、それなりに自分の意見を述べることができていました。

玉川学園中学部

「比較的自由度が高い問題」

問題文に「農業、水産業の問題」とあるので、受験生にとっては取り組みやすかったと思います。

有光先生 最初は「図を通してわかることを書きなさい」としていましたが、他の教員から指摘されてこのようにしました。また、えびは天ぷらそばの“主役”ですから水産業に触れないわけにはいかないだろうし、原発の汚染水で福島県沖の漁業が中止になったこともあり、農業だけでなく水産業も加えました。

この問題は、結構自由度が高い問題です。「説明しなさい」なので箇条書きでも構いませんし、農業か水産業のどちらか一方について書いていればよいのです。また、日本が抱えている問題を国や国民全体として大きな視点でとらえても、国民の一人としてとらえても、どちらでもいい。こちらが聞きたかったのは「受験生自身の意見」ですから、身近な視点から、「しょうゆがなくなるとお刺身がおいしく食べられなくなる」という答案にも部分点をあげました。中には“立派すぎる”答案もありましたが、知り得た知識を自分の中で咀嚼して書いたととらえ、点数をあげました。

「『自給率とは何か』を改めて考えてみよう」

有光先生 日本人にとって最も重要な調味料の1つであるしょうゆが0%であることを、子どもたちがどのように受けとめるのか興味がありました。

問題の図を今年の小6に見せたところ、「しょうゆ0%」に非常に興味を持ってくれました。スーパーでは「国産丸大豆しょうゆ」を売っているのになぜ0%なのか、と。日常生活との関わりから日本の食料問題を考えるきっかけになる問題だと思います。

有光先生 国産大豆の使用はごくごくわずかにすぎないことに気づいてくれればうれしいですね。

自給率とは何か、どうやって計算しているのかということに立ち戻れます。

有光先生 そうなんです。そもそも自給率とは何かをひも解いていくと、すべて国産で作ることがどれだけ難しいかがわかります。

また、「卵11%」も驚きの数字です。自給率には飼料も含まれるので、いかに多くの飼料を輸入しているか、輸入しないと養鶏が成り立たないことがわかります。一方、「本みりん」は主原料の餅米がほぼ国産なので自給率が95%と高いですが、これには国の政策が関係しています。この天ぷらそばの自給率からいろいろなことを考えることができます。

玉川学園中学部

インタビュー 1/3

玉川学園中学部

玉川学園中学部1929年開校。「全人教育」を理念とし、時代と社会の要求に応え、優れた人材を育成する「On Demand Education」を推進。国際理解教育、ICT教育とスーパー・サイエンス・ハイスクールに力を入れている。2006年より幼稚部から12年生(高3)までを1つの学校と考え、発達段階で校舎を分ける(小1~小4、小5~中2、中3~高3)、「K-12一貫教育」をスタート。特に高大連携を図るため、中高のカリキュラムを11.5年(高3前期)で修了し、後期からは大学の単位を取れるようにしている。59万m2の広大なキャンパスには、理科専用のサイテックセンター、アートセンター、学園マルチメディアリソースセンターなどの専門施設が揃っている。

授業ごとに教室を移動する教科教室制。教科学習や芸術、スポーツなどから選び、1年間取り組む「自由研究」の時間があるのも特徴。併設大学内部進学率はおよそ40%。2007年よりIB(国際バカロレア)プログラムを導入。「世界標準の教育」をすることで生徒たちが世の中に出ていく10年後、20年後の社会を想定し、必要な知識、創造力、国際的視野を備え、いかなる困難にも立ち向かう気概を持つ生徒を育んでいく。

また、医・理・工・農学部希望者を対象に理数と英語を重視した「プロアクティブラーニングコース」を設置。音楽・体育・芸術にも力を入れ、幼稚園から大学まで合同で行う体育祭は一大行事。7か国15校の連携校があり、海外研修や留学制度など、国際交流の機会も充実している。

ラグビー部、オーケストラ部、吹奏楽部、サイエンス部などが活躍。デンマーク体操は珍しいクラブ。

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