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出題校にインタビュー!

2013年 横浜雙葉中学校【国語】

横浜雙葉中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.子どもが自分の思いに気づいたり、考えを整理したりできるよう、日常的に言葉を引き出そう。

「読書への興味が二極化し、指導が難しい」

奥村先生 塾では、小学生のお子さんに、自分と性別や時代が違う、理解しがたいものに、どのように興味を持たせていくのですか?

いい先生は、子どもの日常とつながることをストーリーにして話してあげていますね。しかし、ダメな先生は知識として伝えるので、子どもにはつまらないですよね。いい教材と、先生の「子どもの世界につなげていく力」、これが揃わないと、なかなか厳しいかなと思います。興味のないことをつまらなく教えたら、子どもはつらいですよね。

鈴木先生 作業でしかなくなってしまいますからね。読書は枠を決めてしまうと、戦意喪失というか、意欲をなくすので、指導が難しいのです。「自由に選んでごらん」というと易きに流れてしまいます。「高2でこのレベル?」というようなものを読んで、書いてくる生徒もいます。逆に、夏休みに読む本を1年かけて選ぶという生徒もいて、二極化してしまうので、指導が難しいのです。

横浜雙葉中学校 先生

「最近の女子は小説よりも論説文のほうが得意」

模試などをきっかけに、問題文で読んでおもしろかったから、一冊読んでみたというような話を聞いたりしますか。

鈴木先生 問題文の最後に載っている本の名前を見て、読んでみる生徒は、そうはいないと思います。やはり今の生徒は、解けて点が取れればOKなんですよ。その先、素材をもとに、発展させていけるかどうかは、こちらの技量になりますね。

授業中に筆者や本の名前を知り、入試でも出たので「読んでみました」という生徒はいます。高校生になると、新書を中心としたブックリストを配っていて、4月のはじめに1時間くらいかけて説明します。社会学だったら「見田宗介さんの本はこうです」と言うと、好きな生徒はチェックを入れて読んでいます。それが「模擬試験に出た」と教えてくれたりすることはありますが。模試をきっかけに、という生徒はいないと思います。

女子なので、小説は好き、得意なのかと思いましたが、そうではないのですね。

鈴木先生 以前はそうだったのですが、今は逆ですね。状況とか、登場人物のしぐさから、登場人物の心情を忖度するのは苦手です。ですから、高校生が外国文学を読まなくなりました。「活字を通して他者の人生を生き直すことが小説を読むことですよ」と説明をしないと、なかなか動きが鈍いですね。

論説文のほうができるのですか。

鈴木先生 答えがハッキリしているので論説文のほうが得意ですね。

「医療系に進学する生徒が増えている」

鈴木先生 最近、医療系(看護・医師・理学療法士・薬学)に進む生徒が増えています。昨年、医療系の小論文を担当したのですが、30人くらいが受講していました。医療機関で働く卒業生がいるものですから、病院の映像などの資料をもらい、それを使いながら小論文対策をしています。医療系は、生徒自身で知識を得ることが難しいものですから、映像を見せたり、先輩が来て話をしてくれたりすると、知識が増えますし、臨床的なリアリティを感じることもできるので、非常に助かっています。

医療系に進む場合、脳死問題に触れざるを得ません。10年以上前に、NHKで「生老病死」という特集番組がありまして、それを使って、脳死と脳死による臓器移植について考えています。アメリカは先進国ですので、レシピエントとドナーの遺族が会う場面があります。そういうことを前フリにし、植物状態と脳死は違うということを映像で見せてから、脳死は人の死と言えるかというテーマで話し合うと、「自分で考えられなくなったら、人の死としていいのではないか」という意見が出ます。私自身はそれに疑問をもっているのですが、生徒は、「脳は考えるところだから、そこ(脳)の部位が機能しなくなったら脳死だ」と言うのです。さらに話を深めていくと、核家族ということもあり、肉親の死を知らない生徒が多いことがわかりました。死んだ方の手を触れてみるなど、死の体験をしている生徒と、していない生徒では随分とらえ方に違いがあるのだろうと思います。死は不幸なことなので、ないに越したことはないのですが、なんらかの形でそういう体験がある生徒と、ない生徒では、命に対する考え方がずいぶん違うと感じます。

教頭/鈴木 幸憲先生

教頭/鈴木 幸憲先生

「自分の存在を考える時には過去とのつながりを考えることも重要」

今日は授業でお墓参りの話をされたとおっしゃっていましたが。

鈴木先生 そうです。東大の入試では、現代文2題のうち1題は、死者など、可視化できないものについて出題される傾向があります。何年か前にも、田舎で一人暮らしをしている叔母が、「寂しくない」と筆者に言ったと。その理由は、そこにやってくる霊的なもの、ご先祖様と対話しているからだ、というような問題が出ました。「先祖に守られて生きている我々がある」ということを考えさせる、民族宗教学的な視点からの出題なのですが・・・。生徒に聞くと、お墓参りに行かない家庭もあるようで、そういう考え方の原点のようなものは、だんだんなくなってきているのかなと思います。テレビはあるけれども仏壇はない家庭がほとんどです。親がいて、さらにおじいさん、おばあさんと、三代が身近にいないと、なかなか命のつながりというのは感じられないのではないかと思います。

雙葉では、学園で今年1年間に亡くなった人を悼む「死者のためのミサ」がありますが、そういう機会というのも大事だと思います。どうしても目に見えるものとか、効率的なものとか、そういうところに目がいきがちなのですが、自分の存在を考える時には過去とのつながりを考えることも重要だと思うからです。

「自分とは違う価値観の人間とともに生きていく姿勢を持たせたい」

鈴木先生 時代の動きが早い中で、これからの生徒たちは自分とは違う価値観の生徒に出会う機会が増えると思います。今の世の中は豊かですし、自分の中で完結することもできるのですが、雙葉で考えているのは、自分のもっているタレント(才能)を、社会や人とのかかわりの中で活かしていくということですから、自分とは違う価値観の人間とともに生きていくという姿勢をもった生徒を育てていきたいと思っています。特に国語科では、言語的な教材を通して、そうした教育を行っていきます。

まずは人の話を聞ける。聞いた話から、相手の痛みに共感できる。さらに、共感からアクションにつなげていける。そういう生徒を育てていくという意味では、高2の修学旅行が集大成になるので、「キミたちの手で修学旅行をつくり上げていくんだよ」ということを強く伝えています。修学旅行で訪れる教会の神父様や皆さんは、ご自身の戦争体験や被爆体験などを話してくださいます。神父様は、「人の痛みがわかる人間になってほしい。人の痛みを自分のこととして感じられる人間として成長することが大事ですよ」と、強く言ってくださるので、そこを出発点に、仲間とどうかかわるか、自分の人生をいかに歩いていくか、ということを考えていってほしいと思っています。

横浜雙葉中学校

「心の健康がなによりも大事」

それを踏まえて、小学生の時に大事にしておいてほしいと思うことは、何かありますか。

鈴木先生 やはり相手の立場になって、少しでも考えられる、行動できる子であってほしいと思います。ややもすると、集団の中で出る杭は打たれる。それが頭をよぎると、極端になってしまいます。そのバランスが難しいとは思いますが・・・。

奥村先生 学校の行事に参加して、負けて悔しいとか、誰々とけんかしたとか、私たちのチームが勝ったとか、そういう経験をしているお嬢様は、本を読むと自分の体験と相まって読むことができるのです。それに対して、お勉強だけしていて、友達との達成感を味わったことがないお嬢様は、小説を題材に、「ほらこんな人もいるし、こういう気持ちになることもあるのね」と話しても、硬直してしまい、自分と違う人のことを理解できない傾向があります。ですから、友達とのかかわりを通して、さまざまな体験をしてきてほしいです。

「子どもが言葉を発する場面をたくさん作ろう」

鈴木先生 実際に行ってみるということも、とても大切です。高2の修学旅行に向けての準備というのも、本当にいろいろやっています。物理学者のビデオを見せたり、フランクルの本など、いろいろな本も読ませたりするのですが、やはりその場に行って、神父様から、あるいは語り部の方から、実際に話を聞くリアリティというのは、とても大切だと思います。

奥村先生 ご家庭でできることというと、テレビや新聞を見ながら、「あなたはどう思う? お母さんはこう思うのだけれど」などと、子どもに言葉を発しさせていくことでしょうか。子どもは塾の先生をはじめ、まわりの人から刺激をもらって引き出してもらって、初めて自分の考えや話がまとまるということがあるので、頭に浮かんだことをたくさん口に出させてみてはいかがでしょうか。受験勉強とあまり言わないで、「どう思う?」と聞くことでお嬢様の頭の中を整理させる。そういうことをご家庭でしておいていただけると、恐らく塾に通った時に問題を見て、比較的容易に考えをアウトプットできる、言語化できると思います。

国語科/奥村 夕里子先生

国語科/奥村 夕里子先生

インタビュー 3/3

横浜雙葉中学校

横浜雙葉中学校1872(明治5)年、創始者である幼きイエス会(旧サンモール修道会)のマザー・マチルドが来日、横浜で教育活動を開始した。1900年に横浜紅蘭女学校を開校。その後、51(昭和26)年に雙葉、58年に横浜雙葉と校名を変更して現在に至る。2000(平成12)年には創立100周年を迎えた。

「徳においては純真に、義務においては堅実に」を校訓に、一人ひとりが自分を積極的に表現し、他の人と心を開いてかかわり、能力や資質を磨いて社会に役立てようとする「開かれた人」の育成を心がける。そのために「開かれた学校」を目指し、21世紀をたくましく生きるための知性と精神を伸ばす教育が行われている。

横浜港を見下ろす中区山手町のなかでも、最も異国情緒あふれる一角に位置する。隣接の修道院跡地に、聖堂・視聴覚室などを備えた高校校舎と特別教室があるが、03年には図書館やITワークショップなど、最新の情報技術やグローバル教育に対応した新校舎が完成。

45分×7時間授業で、主要教科は、男子の難関進学校なみに内容が濃く、進度が速い。特に英語はテキストの『プログレス』を軸に、中1から少人数の週6時間の授業や、外国人教師による英会話の授業など、非常に意欲的。数学は中1から数量と図形に分ける。中3から英・数はグレード別編成となる。2期制なので、1年間は42週と公立中学の3学期制・35週より多い。定期テストは年4回だが、「小テスト」は随時各教科で行い、進度が遅れぎみの生徒には指名による補習も行う。高2から文系・理系・芸術系の3コースに分かれ、幅広い選択制で進路に柔軟に対応。毎年東大に合格者を出すほか、難関私大にも多数の合格者を出している。医療系への進学者が多い。中3~高2の希望者にフランス語講座がある。

学校週5日制。年間を通じて朝の祈りやさまざまなミサ、講演会などといった宗教行事も多い。文化祭をはじめ多くの活動が、運営される生徒会を中心に計画される。クラブ活動は、文化部が18、運動部4のほか、聖歌隊、老人ホームなどでボランティアを行うTHE EYESという団体がある。テニス部、新聞部は全国大会にも出場する実績を誇る。しつけに厳しいといわれるが、教師たちは服装や持ち物検査は行わず、生徒たちが自分でけじめをつけて行動するよう求める。制服はジャンパースカート。02年から夏の準制服が登場。ブラウスは白と青、スカートは紺とチェックの2タイプずつで、組み合わせ自在。中3から高2の希望者が韓国などを訪れ交流するプログラムが続けられている。

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