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出題校にインタビュー!

2013年 横浜雙葉中学校【国語】

横浜雙葉中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.「大切なのはあなた。あなたに代わりはいない」という、学校のポリシーと問題がピタリと一致。

「姜尚中さんの文章が、雙葉のポリシーにぴったりだった」

奥村先生 この文章を書いているのは姜尚中さんです。新書なので、小学生の女の子には若干難しいかなと思ったのですが、問題として使用した部分を見ると「人生は一回であること」と「唯一性」が、かなり明確に書かれています。この2つの言葉は、私たちの学校でとても大切にしている事柄と一致しており、最後の「大切なのはかけがえのないあなた」「あなたには代わりはいないんですよ」「あなたが存在することに、もう価値があるんですよ」という文が、私たちの学校のポリシーにとても合っていたので取り上げることにしました。

この本とはどこで出会ったのですか。

奥村先生 一人ではなかなかできませんから、みんなで「今年は、どうする?」と言いながらセンサーを利かせて探し、いろいろ出し合った中から、これだということになりました。

国語科/奥村 夕里子先生

国語科/奥村 夕里子先生

「わからない言葉があっても、こだわらずに、すっと読める工夫をした」

奥村先生 唯一のハードルは、私たちが問いかけたいところの直前に、子どもにとっては難しい言葉が並んでいることでした。「直接アクセス型社会」や「原子アトム」の意味が分からなくても文脈はとれるので、あえて注はつけないこととしました。必要以上に戸惑わせず、子どもに大きな流れを捉えさせることを心がけました。

「一部には、『マスの均衡性』を押さえた優れた解答もあった」

こちらで作った模範解答をご覧になっていかがでしたか。

奥村先生 マスの均衡性という、直前の部分をきちんと押さえてくださっている模範解答になっていました。このレベルの解答も、もちろんありました。例えば「母親が、自分の小さい頃に『あなたの興味でいいんだ』『まわりに流されないでいいんだ』と言ってくれたから、私は私でいられるし、お友だちとの違いも認められる」といった解答です。ただ、これはとてもレベルの高い解答で、ごく少数でした。

「大切に育てられたあなた。では、まわりの人にはどのように接してゆくのですか?」という問いかけにしたので、例えば「地震の時に、親からすごく大切にしてもらっていることがわかった。だからまわりの人にも親切にしようと努めるようになった」とか。「ケガをした時に、親切にされたので、私も他の人に手を差し伸べようと思うようになった」というレベルの解答でも正解とし、加点しました。

小6の女の子ですから、子どもの生活体験の中から出て来たもので、実感がこもっていれば、できるだけ評価する姿勢で採点させていただきました。

横浜雙葉中学校 先生

「誰でも書ける問題だと思ったが・・・。意外なほど求める答えは少なかった」

採点をしていて印象的だったことはありますか。

奥村先生 この問題は「直球すぎてひねりがないかしら」とか、「誰もが答えられる問題でいいのかしら」と心配しながらも、「受験生が、自分がかけがえのない存在であることに気づくこと」に意味があると思って出題しました。ところが予想外に難しかったようです。

「この問題の正答率は約6割」

正答率はどのくらいだったのですか。

奥村先生 6割くらいでした。

「かけがえのない存在として大切にされた体験」と「その体験が生き方にどのようにいかされているか」その2つが書けていて満点ということですね。

奥村先生 そうです。体験は書けても、そこから逸れていってしまう受験生がいました。筆はのったけれども、着地点を間違えたり、最後までたどり着かなかったり。部分点を加算していって、全体の平均が6割程度の出来だったということです。

横浜雙葉中学校

「記述問題を後まわしにする受験生が見受けられる」

奥村先生 説明会でもお話しさせていただいたのですが、記述問題が6割程度になってしまう原因は、入試問題への取り組み方にあると思います。記述問題を飛ばして、点が取れそうなところから固めていくために、最後の問題までたどりつけず全く書いていなかったり、文章が途中で切れている答案があります。

今回の問題に限らず、本校では抽象的な事柄を具象化するような言い換えの記述問題をよく出しています。それは、キーワードをうまくピックアップして切り貼りをする、いわゆる「処理」だけで解答させず、受験生の理解の度合いをはかるためです。私たちはそんなに難しいことは要求していません。受験生の精神年齢に応じて、知識と体験の中から「これはこういうことかしら」とか「私だったら何があるかしら」と素直に考えて、自分なりに表現してくれたらと思います。

「枠にとらわれず想像をふくらませてほしいから字数制限はしたくない」

字数制限をしていない問題が多いなという印象ですが、やはり子どもたちの生きた言葉を聞こうとした時に、字数制限はやっかいになるということですね。

鈴木先生 そうですね。字数制限をすると、どうしても字数を合わせるための時間が必要になります。想像力も、枠にとらわれると削減されてしまいますよね。その子のもっている想像力を、自分の言葉で言語化することが重要だと思っています。

奥村先生 字数制限をすると、キーワードと文脈から、たぶんここだということがわかるので、みんなできるのです。

書き過ぎていた子はいましたか。

奥村先生 この手の「説明しなさい」という問題で、書き過ぎるということはないですね。感情がこもると、女の子は筆がすべる傾向があります。テーマを飛び超えてしまうことがあるので、(採点時に)「ここで着地すればよかったのに」という体験はあります。ですが、「まとめなさい」という時は、比較的着地点を見つけて書けていると思います。

横浜雙葉中学校 先生

「答案から、周囲の評価に満足感を覚える風潮を感じた」

奥村先生 実は、私たちの想定を超える解答が意外に多かったのです。「私は大切にしてもらった。だから友だちも大切にしよう」、そのように思ってくれると期待していました。このような答案もあったのですが、「私はこういうことができるから、人から大切にされた。だからもっと頑張りたい」といった答案が、かなり見受けられました。もちろんそれも正解なのですが、「あなたは居るだけで大切な存在だ」と言われる体験はしてきているのかしら、と心配になりました。ここに現代の大人の価値観や、子どもたちの置かれている状況が見えた気がしました。この文章と出会ったことで、受験生のみなさんが私どものメッセージに気づいてくれたら嬉しいです。

横浜雙葉中学校

インタビュー 1/3

横浜雙葉中学校

横浜雙葉中学校1872(明治5)年、創始者である幼きイエス会(旧サンモール修道会)のマザー・マチルドが来日、横浜で教育活動を開始した。1900年に横浜紅蘭女学校を開校。その後、51(昭和26)年に雙葉、58年に横浜雙葉と校名を変更して現在に至る。2000(平成12)年には創立100周年を迎えた。

「徳においては純真に、義務においては堅実に」を校訓に、一人ひとりが自分を積極的に表現し、他の人と心を開いてかかわり、能力や資質を磨いて社会に役立てようとする「開かれた人」の育成を心がける。そのために「開かれた学校」を目指し、21世紀をたくましく生きるための知性と精神を伸ばす教育が行われている。

横浜港を見下ろす中区山手町のなかでも、最も異国情緒あふれる一角に位置する。隣接の修道院跡地に、聖堂・視聴覚室などを備えた高校校舎と特別教室があるが、03年には図書館やITワークショップなど、最新の情報技術やグローバル教育に対応した新校舎が完成。

45分×7時間授業で、主要教科は、男子の難関進学校なみに内容が濃く、進度が速い。特に英語はテキストの『プログレス』を軸に、中1から少人数の週6時間の授業や、外国人教師による英会話の授業など、非常に意欲的。数学は中1から数量と図形に分ける。中3から英・数はグレード別編成となる。2期制なので、1年間は42週と公立中学の3学期制・35週より多い。定期テストは年4回だが、「小テスト」は随時各教科で行い、進度が遅れぎみの生徒には指名による補習も行う。高2から文系・理系・芸術系の3コースに分かれ、幅広い選択制で進路に柔軟に対応。毎年東大に合格者を出すほか、難関私大にも多数の合格者を出している。医療系への進学者が多い。中3~高2の希望者にフランス語講座がある。

学校週5日制。年間を通じて朝の祈りやさまざまなミサ、講演会などといった宗教行事も多い。文化祭をはじめ多くの活動が、運営される生徒会を中心に計画される。クラブ活動は、文化部が18、運動部4のほか、聖歌隊、老人ホームなどでボランティアを行うTHE EYESという団体がある。テニス部、新聞部は全国大会にも出場する実績を誇る。しつけに厳しいといわれるが、教師たちは服装や持ち物検査は行わず、生徒たちが自分でけじめをつけて行動するよう求める。制服はジャンパースカート。02年から夏の準制服が登場。ブラウスは白と青、スカートは紺とチェックの2タイプずつで、組み合わせ自在。中3から高2の希望者が韓国などを訪れ交流するプログラムが続けられている。

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