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出題校にインタビュー!

2013年 学習院女子中等科【算数】

学習院女子中等科の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.入試同様、入学後もわかりやすく、丁寧な授業で数学の基礎力を身につけていく。

「中1の図形の授業では模型を作成する」

算数から数学の授業に入るところで、意識されているところはありますか。

山田先生 入試問題で「模型を作る」という話が出ましたが、実際に中1は模型から入っていますよね。

長沼先生 立体図形の学習で作成します。ちょうど今、中1が正多面体を作っています。「頂点はいくつある?」「断面図はどうなる?」など、手元にある模型を使って学習を進めます。正多面体を5種類、全て工作用紙に作図をさせて、作らせた年もありますし、プラ板で作らせることもあります。担当者によってアプローチは違いますが、実際に作って、それを見ながら授業をしています。

中1では代数を2時間、図形を2時間行いますが、図形2時間というのはわりとゆとりがあります。その後、抽象的になっていきますから、はじめに数学的活動を充実させ、体験させて、立体の性質を理解させるようにしています。受験校とは違い、時間数のわりには極端な先取りはしていません。その分、そういう活動を取り入れて指導しています。生徒は喜んで取り組みます。

楽しいんですね。

長沼先生 そうですね。やはり自分の手で作るのは楽しいようです。私は折り紙で模型作りをしたことがあります。折り紙自体が楽しいので、生徒は嬉々として取り組んでいました。例えば五角形にハネがついた形のものを12個作って、それを組み立てていくと正12面体ができます。模型を開いていくと、「展開図は何種類ある?」という学習にもつなげられます。模型作りは時間がかかるのですが、本校ではこの指導を大切にしています。

教務課/山田 勤先生

教務課/山田 勤先生

「中1の数量、中2の幾何は分割授業で丁寧の指導」

図形というと証明が入ってくると思いますが。

長沼先生 そうですね。それは中2で学びますが、しっかり身につくように、中2の幾何ではクラスを分割して20名くらいで授業をしています。中1は数量が分割授業、幾何は一斉授業ですが、中2では逆になり、幾何が分割授業で、数量は一斉授業になります。クラスを分割した小人数で授業をするときめ細かく指導できます。文字式に入る中1の数量と、論証に入る中2の幾何は、しっかり力をつけさせたいということで分割授業にしています。

小テストや定期考査では、証明の中で、図形の辺や角を正しく対応してかけているか、根拠をきちんとかけているかなど、一つ一つ確認して採点します。証明を正しくしっかり書けるようになってほしいので、手を抜かずに丁寧に指導をしています。

「文字式に抵抗のある子には比べさせる」

聞くところによると、算数のできる子は、文字を使わずに解けるので、今まで馴染んだ方法で解いてしまい、数学の解き方に馴染めないこともあるらしいのですが、そのあたりはいかがですか。

長沼先生 方程式に入ると、「小学校の時に解いた方法を使ってもいいですか」と、聞いてくる生徒がいます。「その方法でも解けるし、方程式を立てて解いてもいいね。両方やってみて比べてごらん」比べさせると、小学校の解法では応用がきかないことや、方程式の解法の明解さに気付きます。そして自然に方程式の解法に切り替わっていきますので、あまり心配していません。

学習院女子中等科

「問題集の試験範囲を2回、3回と解く生徒がいる」

数学は積み重ねです。途中で抜けると難しくなると聞くのですが、積み重ねる上で、気をつけていることはありますか。

長沼先生 授業で聞いて「わかった」と思うだけでは深い理解はできません。練習問題を自分で解くことが必要になります。ですからよく宿題を出します。小テストも折々に行います。また、問題集用のノートを全員に作らせ、定期考査前に問題集の試験範囲を示して、そのノートを試験当日に集めるということを、中等科3年間課しています。こちらはそのノートで生徒の取り組みと理解度をチェックします。途中の式や考え方が書いてなければそれを注意します。

ノートの取り組み方とテストの点数はリンクしていますか。

長沼先生 リンクしています。「できない問題はもう一度やり直しをしなさい」「なぜできなかったのかを分析しなさい」と指導していますので、よく取り組む生徒は1回だけでなく、2回、3回と取り組みます。できなかった問題をテスト前に総復習するなど、そういう取り組みができる生徒はどんどん力が伸びていきます。

野本先生 「問題集を解くのが3巡目です」という生徒もいますよね。

長沼先生 そういう生徒は学習内容をとてもよく理解しています。段々と個人差が出てきます。

「定義に疑問をもつ生徒もいる」

お話を伺っていると、数学ができるようになるかもしれないという気持ちになってきますね。

長沼先生 数学は、積み重ねることにより理解できるようになります。そして、わかると問題が解くのが楽しくなってきます。努力の成果が表れやすい科目だと思います。「あきらめずにこつこつ取り組みなさい」と常々声かけをしています。

数学ができると、先の学びにもつながってきますよね。

長沼先生 そうですね。

生徒さんの中には、例えば1+1はなぜ2になるのか、といった、数学の根本に疑問をもつ子もいますか。

野本先生 定義のところで「なぜ?」と生徒に言われることはよくあります。

長沼先生 例えばどういうことであります?

山田先生 私、ずっと「なぜかな?」と思っていることがあって。それはマイナスとマイナスをかけるとなぜプラスになるのか、ということです。何人かの数学の先生に質問をしたことがあるのですが、それぞれアプローチの仕方が違うのです。

野本先生 そういう質問をしてくる生徒のほうがおもしろいです。公式どおりにやればいいんでしょうというよりは、こちらが悩むくらいなんでも疑問をぶつけてきてくれたほうが、やりがいがあります。

学習院女子中等科

「目で見てわかる説明は、生徒の興味を引く」

長沼先生 私がこの前、(山田先生の質問を)授業で指導した時は模型を作りました。蛇口のついた水槽を作るのです。それで、黒板に貼り付けて、左上につけた蛇口から水を入れると設定します。

現在の水面を基準に、1分間に水が3cm溜まるとすると、3分後には3×3=9(cm)。量と時間をかけると、その時間の水面が基準よりも何cm上にあるかが出ます。これは「正×正=正の数」で、小学生の時に勉強しています。

では、時間を巻き戻したらどうなるでしょう。今を基準の0分とすると、1分前は-1(マイナス1)分です。そうすると1分前の水面は3×(-1)=-3(cm)で、今よりも3cm低い位置になるわけです。では2分前は?3×(-2)=-6(cm)・・・。「正×負=負の数」このように、時間の経過に合わせて水面が動くような模型を作って見せると生徒にはわかりやすいのです。水槽の下に蛇口をつけかえて、水槽から水を出す設定にして、1分間に3cmずつ水面が下がるとすると、今度は量の方を負の数として考えます。水面が3cmずつ下がる様子を式で表すと、1分後には(-3)×1=-3cm、2分後には(-3)×2=-6cm。「負×正=負の数」です。このとき、1分前はどうなるか問うと、生徒は水面が基準の高さより3cmずつ高くなることに気付き、1分前の式が(-3)×(-1)=3cm、2分前は(-3)×(-2)=6cm「負×負=正の数」が自然に出て来ます。こうして説明すると、とてもよく理解できるようです。

なるほど。わかりやすいですね。

山田先生 私は地理が専門なので、緯度経度と同じように座標で考えます。基準の点から考えてしまうのです。

野本先生 私は方向と移動で理解しましたね。私が中学生の頃に習ったのは、「マイナスとマイナスだからプラスだよ」と。「そういうもんだ」という習い方をしていました。

長沼先生の方法は、見てわかるというのがいいですよね。

野本先生 座標だと、頭の中で数字のイメージになってしまうのですが、増える、減るというのが見てわかるのはいいと思います。

長沼先生 自分で式を書けるのもいいです。前半まで説明した後、「下に蛇口をつけ水を出すとどうなる?」と、蛇口を移すと、とても興味を持って考え、式を立ててくれます。

数学科/野本 悠太郎先生

数学科/野本 悠太郎先生

「学習院の教科連絡会では小中高大の先生が数学を話題に情報交換」

そういうアプローチの仕方は、先生方の間で共有なさっているのですか。

長沼先生 年に1回、学習院では教科連絡会というのを行っています。初等科、男子の中高、女子の中高、それから大学の先生が集まります。そうした会で、数学やその指導法についてをテーマに情報を交換します。これは他の教科でも行っています。今年はちょうど教育課程が切り替わりましたので、その辺りを話題にして会議を行う予定です。そこでは多角的な視点が出てきて、勉強になります。

インタビュー 2/3

学習院女子中等科

学習院女子中等科1847(弘化4)年、京都で開講された公家の学習所がその起源。1885(明治18)年に華族女学校開校。1906年学習院と合併し、学習院女学部となる。1918(大正7)年に学習院から女学部が分離して女子学習院となる。1947(昭和22)年、宮内省の所管を離れ、私学として現校名に。1999(平成11)年から高校募集停止。

重要文化財でもある鉄製の正門を入ると、四季折々の自然が望める6万6千m2の広大な敷地に中・高等科と女子大学の校舎がある。特別教室は理科、芸術科は科目ごとの専用教室があり、コンピュータ室2つや、2つの体育館、温水プール、テニスコートなど施設も充実。沼津遊泳場など校外施設もある。

官立から普通の私立として再発足してから半世紀を越える歴史をもつ。「広い視野、たくましい創造力、豊かな感受性」を教育目標とし、世界的視野に立って、広く国際社会に貢献できる積極的な女性の育成をめざす。同窓会には皇族妃殿下が名を連ねるが、校内は気取らず明るく活発な雰囲気。

実験や実習を多く取り入れた授業を展開。特に創造性に富む表現力、情報を的確に伝える論理的構成力を育てるため、国語の作文、理科や社会のレポート作成などに力を入れる。中1の国語(古文・表現)、中1・中2の数学(図形)では1クラスを2分割。帰国生を除き、すでに英語を学んでいる初等科からの進学者と中学入学生は中1時に分けて指導し、高等科からは習熟度別授業を行う。高等科ではドイツ語・フランス語も履修できる。高2で文系・理系のコース制を導入。高3では卒業論文を作成。70%程度が学習院大学・学習院女子大学へ推薦入学するが、最近は国公立大や早慶上智大への合格者も伸びている。

校長を科長、ホームルーム担任を主管と呼び、あいさつは、教員、生徒、来訪者の年齢などを問わず、常に「ごきげんよう」である。「ことば」尊重とともに芸術教育も盛ん。道徳の時間には、正式な作法教育も取り入れている。附属戦、林間・臨海学校、運動会、文化祭、スキー教室など行事も多い。クラブは文化部20、運動部11、同好会3と活発。特にテニス、ブロックフレーテ・アンサンブルは好成績を収める。運動部1と文化部1、または文化部2の合計2つまで入部可。オーストラリアの姉妹校メソディスト・レディス・カレッジで英語を学ぶ研修旅行や中3・高2・高3希望者対象のイギリス・イートン校でのサマースクールがある。

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