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出題校にインタビュー!

2013年 頌栄女子学院中学校【理科】

頌栄女子学院中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.求める生徒像は、イメージや想像にとらわれないで、データから順序よく考えていくことができる子

「情報を取捨選択する力を見たかった」

行方先生 情報があふれている世の中なので、自分で情報を取捨選択する力が必要になると思います。花粉症の人が増えているので、天気予報などでも「花粉の量が多いです」などと言っているじゃないですか。だからなんとなく「明日は花粉が多いんだな」「雨だと花粉が少ないんだな」と思っている人がいると思うのですが、果たしてそうなのでしょうか。いくつかのデータを示された時に、必要な情報を選んで、関係をとらえる力をもっているかどうかを見たくてこのような問題を考えました。

どんなプロセスで解くことを期待していましたか。

行方先生 理科ではデータや実験の結果などがたくさん出て来ます。その中で、これが結果に結びついたものだとか、この条件を変えたからこの結果に結びついたとか、そういうことを自分で考えることが必要なので、導かれた結果を追って、順序よく考えていく力が発揮されることを期待していました。

理科/行方 春菜先生

理科/行方 春菜先生

「正答率は思っていたほど高くはなかった」

でき具合はいかがでしたか。

行方先生 半分くらいはできていたのではないでしょうか。私はもっとできると思ったのですが、それほどではなかったような気がします。

最初は条件を与えずに答えさせようと思ったのですが、それではヒントが少ないので、条件を増やして、考えさせる問題に変えました。簡単かなと思ったのですが、意外とそうでもなかったようです。条件をたくさん答えていたり、説明が不十分だったりする解答が多く見られました。

説明は書いていましたか。

行方先生 白紙はほとんどなかったですね。書いてはあったと思います。

このデータは気象庁が発表していたもので、どうしてもこれでは答えられないというところだけ少し変えたのですが、ほとんどはそのまま使っています。本当に気温が高い時に花粉が飛んでいるのだなと思いました。

「解くには論理立てて考える力が必要」

知識を偏重している子が解くには難しい問題ですよね。こういう問題を解ける生徒像を、どうお考えですか。

行方先生 やはり論理的に考えることができる子だと思います。雨だから花粉が少ないとか、風が強いから遠くまで飛ぶとかといった、私たちが勝手に思っているイメージがあると思うのですが、そういうイメージや想像だけにとらわれないで、データから順序よく考えていくことができる子だと思います。

データを読み取れる子と読み取れない子では、どういうところに差が出て来るのでしょうか。

行方先生 本来は同じ天気の日の花粉量を比べて、関係性を調べるというように、一つずつ見ていって、花粉に影響を及ぼす条件を絞っていくのですが。中学生、高校生の中にも「理科は暗記科目。覚えれば解ける」と思っている子がたくさんいます。グラフも一度見たものは形を覚えているので、見たことのあるものは答えやすいかもしれないですが、少し形を変えるととまどってしまうというところでしょうか。

理科/行方 春菜先生

理科/行方 春菜先生

「条件を増やし、比較させることで考えさせる問題になった」

こういうタイプの問題は、例年出されているのですか。

行方先生 やはり勉強をしてきた子が点数を取れる問題を出すことが必要なので、覚えた知識で解ける問題や、典型的な問題は必ず出しますが、受験生が見たことのない問題、つまり考える力を問う問題や、表現する力を問う問題も出しています。記述問題は結構長めのも出しています。

この問題はどういう経緯で作られたのですか。

行方先生 先ほどもお話しましたが、最初はこんなに条件がなかったのです。

知識も含めて答えさせようとしたんですね。

行方先生 私はスギの花粉が気温で飛び始めることを知っているので、「環境条件はなんですか」だけでもいいかなと思ったのです。しかし、小学生は(気温で飛び始めることを)知らないので、それでは答えられないと、もう少し考えさせる問題にしたほうがいいという意見が出て、データを出せばヒントにもなりますよね。知らなくても考えて答えられる問題になるということで、このような形になりました。みんなでかなり話し合って作ったので、最初の問題とは随分変わりましたね。

「長めの記述問題が定番」

理科の入試問題全体で意識していることはありますか。

行方先生 先ほども少し触れましたが、基本的な知識を問う問題は必ず出します。今までの努力が結果に結びつくように、という意図ですね。それから表やグラフを使った問題も、毎年必ず出しています。それは見たことがないものの時もあれば、典型的なものの時もありますが、そこから考える力を見ていくということですね。あとは、長めの記述を出しています。そこが空欄のこともあるのですが、配点が高い長めの記述問題は、2回の入試のどちらでも出しています。

今回でいうと最後の問題ですね。「月が大きく見えたり小さく見えたりするのはどうしてですか。あなたの考えを書きなさい」という問いで、大きめの解答欄を用意しました。これもみんな知らないし、科学的にも証明されていないことだと思うのですが、「あなたが考える」ということで作ったので、考えを論理的に説明できていれば点数をあげています。

理科/行方 春菜先生

理科/行方 春菜先生

「記述問題では考えたことを説明できていれば点数をあげている」

子どもたちはチャレンジしていましたか。

行方先生 書いてはいました。現実ではありえなくても、自分で考えて、その説明が論理的であれば点数をあげています。

解答欄を見ると50~80字は書けそうですね。

行方先生 そうですね。

一次も二次も長めの記述があると、採点が大変でしょう。

行方先生 それはあります。いろいろな答えがあり、予想していなかった解答も出て来るので、そのつど相談しながら採点しています。

問題の採点基準はどのようになっていますか。

行方先生 この問題では考え方を見ているので、知らないことでも自分で考えて、それをきちんと説明できていれば点数をあげています。「色が違うからそう見えるのではないか」と書いていた受験生がいたのですが、それはいい視点だと思いました。

部分点はあげていますか。

行方先生 点数をあげようという姿勢で採点しているので、部分点はあげています。きちんと論理的に説明されていて、そういうこともいえるよね、という内容であれば、模範解答と違う答えでもマルになるケースもあります。

的外れでなければ満点になる可能性があるということですね。

行方先生 そうですね。

「受験組は知識が豊富。でも、なぜ?という問いに弱い」

貴校の問題はボリュームがあり、内容もおもしろいので毎年どんな問題が出るのか楽しみなのですが、内容まで話し合って作っているのですか。

行方先生 担当者がそれぞれ考えて、それをシェアして、みんなでどうしようかと話し合って作っています。毎年、すべての分野から問題を出すようにしているので、どうしてもボリュームが出てしまいます。私も作っていて、時間内に終わるのかなと思うことがあるのですが、解答用紙を見ると後半が埋まっていないという受験生はほとんどいないので、そこは心配ないようです。

ちなみに理科の時間は何分ですか。

行方先生 40分です。

女子校の中では長いほうですね。

行方先生 そうなんですか? 今、理社を100点満点でやっている学校は少ないんですか。

少ないですね。ですから力のある子が入ってくるのではありませんか。

行方先生 私は中1の授業を担当しているのですが、受験で入学してきた子はよく勉強していて、知識的なことはよく覚えているんですね。中1の理科は受験勉強の範囲とかぶるところも多いので、知識は聞けばよく返ってくるのですが、「どうしてだと思う?」などと聞くと、シ~ンとなって誰も答えないんです。そういう疑問に思うとか、そこから考えていくのは苦手なのかなと思います。

以前、貴校の英語の先生にお話を伺った時に、授業では帰国生がいい反応をしてくれるとおっしゃっていたのですが、理科ではいかがですか。

行方先生 帰国生は理科が苦手です。理科をまったく勉強したことがないという子も何人かいます。こちらが当たり前のように使っている理科の用語自体がわからないという子もいて、かなり難しく感じるようです。

受験して入ってきた子のほうができるということですか。

行方先生 だんだん慣れてきますが、中学の間はそうですね。

理科/行方 春菜先生

理科/行方 春菜先生

「入試でも授業でも、日常の中に理科的なことがたくさんあることを伝えたい」

今回取りあげた問題の題材は“花粉”でしたが、素材を選ぶ時に気をつけていることはありますか。

行方先生 その時に話題になっていること、ニュースになっていることなどを取りあげるケースは多いですね。あと、日常の中に理科的なことがたくさんあるので、そういうところに触れていければいいなと思います。

理科が嫌いな子が多いので、授業でもそれをとても意識しています。私は理科が好きなので、「こんなところにも理科の知識が役立っているんだよ」「こういうことも理科で説明できるんだよ」「こんなにおもしろいことがたくさんあるんだよ」ということを伝えてあげたいんですね。ですからなるべく身近にあるものを使うというのは、授業でも心がけていることです。

先生はいつ頃から理科好きになったんですか。

行方先生 私は頌栄の卒業生なんですね。中3で卒論を書くのですが、その時のテーマは「癌が遺伝子治療で治るのか」という理科に関するものでした。自分で調べて書いていたので、もともと理科が好きだったのだと思います。

中学受験で入られたのですか。

行方先生 そうです。

恩師もいらっしゃいますか。

行方先生 たくさんいらっしゃいます。

一緒に働くようになって、改めて感じることはありますか。

行方先生 基本的に手作りのプリントで授業を進めていくのですが、とても工夫して作っているんですよね。私が生徒だった頃を思い出しても、生徒が興味をもつように絵や図を取り入れていますし、説明もわかりやすかったと思います。

インタビュー 1/3

頌栄女子学院中学校

頌栄女子学院中学校岡見清致の信仰に基づく教育事業として、頌栄学校を1884(明治17)年に開校。1947(昭和22)年に中学・高校となり、64年に頌栄女子学院と改称。94(平成6)年から高校募集停止、完全中高一貫校に。併設校に英国学校法人のウィンチェスター頌栄カレッジ(大学)がある。

プロテスタント系キリスト教主義の学校で、聖書の教えを徳育の基礎におく。女性にふさわしい教養を身につけることが方針で、高雅な品位や豊かな国際感覚を備え、社会に奉仕貢献できる人間形成を志す。校名の「頌栄」は神の栄光をほめたたえるという意味。自慢の制服も同校の教育方針に沿い、国際感覚にマッチするものとした。言動、身だしなみについては日常きめ細かく指導している。帰国生との交流により、多様な価値観をも育んでいる。
区の保護樹林に指定される木々に囲まれた運動場など緑にあふれる校内には有名な建築家ライトの高弟の設計による記念堂をはじめ、礼拝堂と講堂をかねるグローリアホールなど施設も完備。ホワイトハウスと呼ばれる校舎や新体育館も近代的。南志賀高原と軽井沢に山荘をもつ。食堂は高校生から利用可。パン類の販売あり。

中学では英・数の多くがクラス分割などの少人数制授業。このなかでは高校で学ぶ内容も取り入れられている。英・数は時間数も標準より多い。聖書の授業も週1時間組み込まれている。中3の数学では習熟度別授業を導入。中3では卒業論文を制作、夏休み前から準備し、原稿用紙20~30枚にまとめる。高2からは文科と理科、さらに高3では理科コースが2つに分かれる。進路に応じた選択科目も多数用意されている。中学では主要教科を中心に昼休み・放課後に補習を実施、高校では長期休暇中にも受験講習を行っている。ICU、青学、早慶上智大などに推薦枠があるのも大きな魅力だ。

2期制で、土曜日は休日としている。1日は礼拝で始まり、中学・高校とも週1時間の合同礼拝がある。高校では礼法の授業がありしつけにも厳しい。タータンチェックのスカートの制服はあまりにも有名。校内にはイギリスの学校の雰囲気が漂い、生活スタイルも校舎内で革靴を履いたまま過ごす欧米流。クラブ活動ではハンドベルクワイヤーや弓道部が知られている。花の日礼拝、イースター、クリスマスなど礼拝形式の行事が多く、そのほかキャンプ、コ・ラーナーズ・デイ(研究発表会)、頌栄フィールド・デイ(運動会)、カナダとニュージーランドの語学研修など盛りだくさん。奉仕活動にも力を入れている。

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