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出題校にインタビュー!

2013年 暁星中学校【社会】

暁星中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.国境や時代を自由に超えていく暁星の授業。生徒は大いに感化され、社会に目を向けて行く。

「歴史では人々の生活や姿を感じ取ってほしい」

入試問題で使われている素材などで、先生方が意識されていることはありますか。

根立先生 歴史の分野では、何年かに一度、屋根や履物、大工道具などの絵が出題されることがあります。活字の知識とは別に、人々の生活と言いましょうか、人々の姿と言いましょうか、そういうものを感じ取っていてほしいと願って出している問題です。私は日本史担当ですから、生徒を歴史好きにしたいと思って授業に臨んでいます。私自身が中学生の頃から歴史が好きで、至らぬながらも、こうして日本史のことを語って生活してゆけることをありがたいと感謝しているんです。今でも年に3回は京都や奈良を訪ねますが、興味は尽きません。

暁星中学校 先生

「知識を整理し、スムーズに引き出せる力をつけてほしい」

ここ最近、出題形式で変えたところはありますか。10年前の問題を見ると、漢字指定の問題や、単語などを書かせる問題が多い印象があったのですが、ここ数年は持っている知識をどう使っていくかということに変わってきたかと思います。それは意識的な変化なのでしょうか。

和田先生 社会を理解する上で必要な事柄に焦点を当てたいので、細かい点まで求めなくなってきているのかなと思います。

知識と考える力は両輪だと思います。考えるには知識が必要です。ただ、情報はインターネットで調べればパッと出てくる時代じゃないですか。ですから、細かい知識まで覚え込む必要はないと思います。むしろ必要に応じて知識を引き出す力を身につけることが重要です。それができると情報をキャッチしやすくなると思うんです。インデックスをつけた引き出しをたくさん用意し、知識を整理して、問題に応じてスムーズに引き出してこられるようにするということですね。

「授業の中でも、“気づかせる”工夫をしている」

和田先生 授業でもそういうことを意識しています。今、高校2年生を担当していて、修学旅行で行く夕張の事前学習をしています。夕張には石炭産業があって、それが衰退し、財政破綻が起きて…という流れを学ぶだけではなく、今まで勉強した事柄の中で、その流れに関連したことはないかなと考えさせるようにしています。全くシンクロするわけではありませんが、産炭地域と原子力発電所が立地している地域との類似性に気づかせるとか。こちらが提示しなくても、生徒が気づくような機会を社会科の授業で作れればいいなと思っています。

社会科/和田 康喜先生

社会科/和田 康喜先生

「授業中の話が進路を拓くきっかけに」

お話を伺っていると、社会に出てからを見据えた授業といいますか。卒業生も多方面でご活躍ですよね。

和田先生 そうですね。エネルギー関連の商社に勤めている卒業生がいます。1年に1回程度会う機会があるのですが、その時にタンカーの動きなどエネルギー輸送に関することなどを話してくれるんです。高校時代、彼が選択した地理の授業を私が担当していたのですが、今は逆に私のほうが教えてもらっています。少しでも授業の中で話したエネルギーの話が、きっかけになって今につながってくれていたら嬉しいなと思います。

私が暁星に着任する前の話なのですが、世界最年少で7大陸の最高峰に登頂された記録を樹立された石川直樹さん(写真家)という卒業生がいます。彼の授業を担当していた世界史の教員が旅行好きで、発展途上国を中心に回っていまして、授業でインドの話をしたら石川さんが非常に興味を持って、在学中に一人でインドへ行ったんです。それがきっかけになって冒険家になり写真家になっています。そういう、生徒に影響を与えられる教員になりたいなと思いますね。

「情報を鵜呑みにしないで、批判的に見られる力をつけてほしい」

では、入学してからの授業で意識されていることや、6年間で身につけさせたい力などにお話を広げたいのですが。

和田先生 ほとんどの生徒が大学受験をしますので、それを無視するようなことはできないのですが、そのためだけの授業で終わってしまうのではもったいないですよね。社会に出て、世の中のことに無関心では困りますし、インターネットが普及していて、情報を入手しやすい環境になっていますので、情報を「ああ、そうだよね」と鵜呑みにするのではなくて、「本当にそうかな」と少し批判的に見られる力を身につけてほしいと思っています。授業の中でも、私の意見を無批判に受け入れるのではなくて、反論してきてほしいという思いで臨んでいます。

「生徒が喜んでくれるから、授業で使うプリントづくりは楽しい!」

根立先生 中学では板書をして授業を進めますが、高校はそれではとても間に合いませんから、プリントを配り、穴埋めをさせながら進めていく授業です。教科書にそってつくったものが220ページくらいでしょうか。補助のプリントにも工夫して、地図や古文書、新聞記事などから作ります。150ほどの花押ばかりを集めたプリントを使って、説明することもあります。また、「戦後の首相の覚え方」など、私がオリジナルで作りました。戦前のものは参考書などにも載っているのですが、戦後のものはなかったので、ウケも狙って、言葉の語呂合わせで作ると、生徒が喜んでくれるんですよ。

最近は首相がよく変わるので大変ですよね。

根立先生 「あっ、そうはとかんのだ」。麻生、鳩山、菅、野田各首相の名を使って作りました。安倍さんはどうしましょう。まぁ、楽しみながらやらせてもらっています。

暁星中学校

「写真集は、アイドルものよりも“阿修羅”のほうがおもしろい」

おもしろがってくれる男の子は多いような気がしますね。

根立先生 はい。かつて毎日新聞社が発行していた「魅惑の仏像シリーズ」に『阿修羅』の写真集があります。それを出し惜しみしながら見せるんです、「アイドルの写真集などやめなさい」と言って(笑)。生徒たちは大喜びで見ています。そんなことで楽しんで、文化財を身近に感じて興味を持ってくれたらいいなと思っています。

先週は時間割を変更し、2時間続きの授業にして、中学2年生を皇居東御苑に連れて行ったところです。地図を使って、事前学習を十分にした上で臨みました。平川門では敵が攻め入って来られないように、どのような構造(枡形)になっていたか。また、江戸城本丸跡を歩き、天守台に上って、今は芝生となっていますが、かつてここに広がっていた大奥や本丸の御殿の姿を想像させました。

飯田橋駅前の派出所脇の石垣(牛込門跡)の前には「阿波守内」(徳島藩主蜂須賀忠英が築造)と刻まれた石があったり、九段の交差点には「蕃書調所跡」の標柱があったりと、近辺には教材がたくさんあります。

「実物を触らせて、江戸時代の生活をよりリアルに!」

江戸時代の水道事情にしても、時には教科書からはみ出して、そういうものに触れなければわからないものってありますよね。

根立先生 木樋(江戸時代の水道管)がありますよね。事情があって、私は個人的に所有しています。地下鉄千代田線を掘るときに出てきたものだそうです。それを持ってきて授業に使うんです。江戸時代の木樋はどのように使われていたかという資料をプリントにして配ります。そして、生徒にさわらせたり、においを嗅がせたりする。まだ木の香りがするんです。彼らに、木樋の中をのぞかせて、「この管がつながれて行った先には、八っつぁん・熊さんがいた長屋の井戸があって、そこではおかみさんたちが井戸端会議を開いていたのかもしれないよ」などと話しています。「水道の水で産湯をつかい」という江戸っ子の自慢話から、当時の水事情、「水道橋」の地名の由来も話します。同時に、裏長屋の構造や間取りの話もするんです。さらによく見ると、木樋の表面にうっすらと線が見える。「これは昔の大工道具を使って作られた跡なんだ」と、手斧(ちょうな)や槍鉋(やりがんな)にまで話題は広がります。

あるいは天平時代の東大寺の軒平瓦、軒丸瓦、両方持っているのですが、それを実際に持たせてみると意外と重い。重みを感じさせながら、この瓦を見上げていた当時の人々の姿を想像させるのです。

この3月に高校を卒業した生徒などは、水墨画の掛け軸を持ってきて、その見方を説明してあげたら、感動せんばかりに関心を持って、休み時間になってからもしばらく眺めていました。

当時の生活や文化につながっていくわけですね。

根立先生 「昔」を、すぐそこに感じてくれたらいいですね。

暁星中学校

インタビュー 2/3

暁星中学校

暁星中学校1888(明治21)年、フランスの修道会、マリア会が築地明石町に生徒数6名で開校した、長い歴史を持つカトリック男子校。1890年に現在地に移転し、小学校を併設、1969(昭和44)年には幼稚園を設立し、「幼・小・中・高」の一貫教育体制を整えた。長崎の海星学園、大阪の明星学園、札幌の光星学園、調布の晃華学園などが姉妹校である。2001(平成13)年に高校募集を停止した。

皇居に程近い九段の丘に位置し、都心にありながら落ち着いた環境に恵まれている。創立100周年を記念して建設された中・高校舎、事務棟は、伝統を保ちつつも時代の先端を行く同校のシンボルとなっている。400名を収容できる聖堂や、人工芝のグラウンド2面なども完備されている。

同校は、キリスト教の精神に基づき、「自らの個性を輝かせるとともに、他者との関わりを学び、社会の核として多くの人々の幸福のために指導的役割を果たす」ことが教育目標である。語学教育に定評があり、国際的で広い視野を身につけるための基礎力として、英仏2カ国語を履修させている。

難関大学の受験を見据えた6年間のカリキュラムが、細部にわたり入念に組まれており、中学では習熟度別授業や先取り授業も行っている。とくに語学では、中1から英仏2カ国語の並行学習を行う。中学では英語を必修とし、第2外国語としてフランス語を学ぶ。高校ではフランス語を第1外国語として選択することもできる。英語は『プログレス』、フランス語ではオリジナル教材を使用している。高2で文系・理系に分かれたクラス編成となり、高3ではさらに細かい、進学希望、受験科目に合わせたコースが設置されている。東京大学には毎年平均して10名程度が合格し、早慶上智大など難関私立大にも多くの生徒が合格している。医歯系大学への進学が多いのも特色である。

高2修学旅行(北海道、6月)、中3研修旅行(広島平和学習、11月)をはじめとして、6月の運動会、中1宿泊学習や高1海外語学研修(夏休み、語学研修は希望者)、2学期の文化祭など、学校行事も多彩である。また、「暁星シャリテ」という委員会活動があり、施設慰問や街頭募金などに参加する。クラブも運動部、文化部合わせて30あり、中でもサッカー部は、進学校にもかかわらず全国大会への出場経験があり、強さと洗練されたスマートさを併せ持つその実力は高く評価されている。文化部では競技かるた部が有名。全国大会にも出場し、去年5連覇を達成した。

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