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出題校にインタビュー!

2013年 暁星中学校【社会】

暁星中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.情報化社会の今、足りない知識は調べられる。
むしろ知識を活用し、情報をキャッチする力を磨くことが重要だ。

「情報量が豊富な日本地図を、頭の中で描けているかを問いたい」

まずはこの問題を制作した意図からお話し願えますか。

和田先生 この問題に限らず、本校の入試問題は「一筋縄ではいかない問題が多い」と言われることが多いのですが…。

地理に関していえば、小学生ですので、日本の地理的な特徴をしっかりと理解していてほしいんですね。東北地方であれば、この辺りに半島があって、高い山がある…というように地形ですとか、この辺りは降水量が多い、こんな産業が盛んである…というように、頭の中で具体的に、情報量が豊富な日本地図を描いてほしいという意図を持って問題を作成しています。

例えば白地図に川や山脈が描いてあり、「これは何という川ですか」「何という山脈ですか」と尋ねるような一問一答形式の問題よりも、頭の中でどれだけ豊かな地図を描けているかを確認する問いを出題するよう心掛けています。この問題の場合は、羽田と釧路・出雲・佐賀の位置関係をイメージできることを前提にしています。ですから、各空港の位置を記した地図は示していません。また、冬になると日本の上空に強い西風が吹くことも鍵となる知識でした。

何もないところから、日本地図をどれだけ詳しく、輪郭だけでなく中身も含めて理解しているかということをみたいなと思っています。なぜなら、中高でもそのような観点で授業を行っているからです。私たちとしては、情報を引っ掛けるアンテナを作りたいと考えております。例えばニュースに接するときも、その事柄に関することを少しでも知っているか否かで、受け止め方が違ってきます。ですから知識を蓄えることは非常に大切なことだと考えています。

社会科/和田 康喜先生

社会科/和田 康喜先生

「気づいたり、考えたりするための知識を持つことが大切」

和田先生 また目の前にある情報を、的確に分析する力もみたいと考えております。この問題の場合は、4つの空港の位置関係と冬の西風を前提の知識として、示された3つの時刻表から、釧路と他の空港との違いがどこにあるのかを考えさせることにより、分析力をみたつもりです。最近は国公立大学の入試問題も、資料から読み取り、考える問題が多くなっています。そのような問題を解くためには、与えられる情報のどの部分に着目し、自分の持っているどの知識と結びつけるのかという力が必要になってきます。ただ知識の量を増やすのではなく、目の前に現れる様々な情報を理解するために、知識をいかに使うのかということも重要であると考えています。

「出来はあまりよくなかった」

出来具合はいかがでしたか。

和田先生 正直なところあまりよくなかったです。合格者と不合格者ではどのくらい違いがあるのかなと見てみたのですが、できている受験生の大半は合格者でした。不合格者でできていた受験生は非常に少なかったです。

途中点はつけましたか。

和田先生 はい。

途中点になった子は、どの辺りが減点されたのでしょうか。

和田先生 例えば、どれとどれの比較なのか、それを提示しないで書いてしまうとか。多分こういうことを言いたいんだろうな、という意図は汲み取れるのですが、それを十分に表現できていない場合ですね。

去年の問題も難しかったですよね。

和田先生 東京や大阪との位置関係が頭の中にあるのか、ないのかだと思います。実際に地図があって、「ここはどこの都市ですか?」と聞かれるような問題であれば、わりとスムーズにわかると思うのですが、それでは本当の地理の知識ではないと思っています。

暁星中学校

「歴史でも、理解度をみる問題を出した」

根立先生 今年の問題をご覧いただくとお気づきになると思いますが、出来事を歴史の時系列の中に当てはめる問題でも、年号を覚えていなければ解けないというのではなくて、こういうことが起きた結果、どのように変わったか、社会の変化を捉えることができているかをみたいと思って問題を作りました。ですから、むやみやたらと尋ねているのではなくて、子どもたちに因果関係の中でどこまで読み込めているか、頭の中で整理できているかを見ています。

小学生ですので、「歴史は暗記だ」とばかりに勉強してくる受験生もいますから、語句を尋ねる単純な問題も入れています。また、今回は伊豆・下田が地図上のどこに位置するか、あるいは建築物の写真からその説明文を選ばせるなど、地図や写真を入れて、問題が平面的にならないように工夫しています。奇をてらわずに、勉強してきたことが点数に結びつくような出題を心がけています。概して、歴史分野では手堅く点数を取っていました。

「歴史像が結べるということが望ましい」

先ほど地理で「豊富な情報量」というお話がありましたが、それは歴史でも、意識されているのですか。

根立先生 そうですね。情報量というよりは、例えば歴史像が結べることが望ましいですね。授業はそのように展開するように意識しています。あるいは、なぜこのように社会が変わったのか、などと考えることができる社会的思考力。そういうものを、みられたらいい試験だと思いますが、追いついていないのが現状かもしれません。

社会科/根立 敏郎先生

社会科/根立 敏郎先生

「知識を引き出す力を問いたい」

他に、社会科の入試問題を作る上で意識していることはありますか。

根立先生 12月に衆議院選挙がありましたので、時事的関心を問う出題をしました。それから、日本国憲法は、小学生にとってみれば言葉が堅くて暗記するのは大変かもしれませんが、基本は押さえてほしいと思っています。

和田先生 この問題もそうだと思うのですが、自分の持っているどの知識を引き出してくればいいのかを考えるのに時間がかかるのだと思います。「往路と復路の所要時間の差」に気づき、さらに「冬には日本の上空に強い西風が吹いている」という知識と結びつけることは容易なことだとは思いません。それらが関係あるなと気づくかどうかは、普段から自然や社会的な出来事に関心を持っていないと、なかなかひらめかないと思います。ですから知識を引き出す力を問うような問題は、毎年必ず入っていると思います。ただ、分析力を量る問題ばかりを出すと試験時間内に終わりませんので、単なる知識問題も出しています。

試験監督などをすると、地理の問題に入った瞬間に受験生の手がピタッと止まるんです。一生懸命格闘しているなという印象があります。もちろん入試ですから、点数を取らなければならないのですが、一生懸命考えている姿に接することができるのは嬉しいことです。

「風が関係するということを書けていたほうが説得力はあった」

偏西風という用語は用意されていましたか。

和田先生 小学生に「偏西風」を求めるのは少し厳しいかなと思いましたので、偏西風という用語が出て来なくても正解にしています。ただ、風が関係することを書けていたほうが説得力はあったと思います。

なぜ釧路と佐賀と出雲だったのですか?

和田先生 都市に関しては特に意味はありません。「東京よりも西にあるか、そうではないのか」ということで選びました。ただ、人口が多いから便数も多いという見方もあると思うので、そうではない都市を選びました。

往路と復路のコースの違いによる所要時間の差の影響は考慮しなくてもよいのでしょうか?

和田先生 確かに往路と復路でコースは異なり、距離も違っていると思います。ただ、かつてパイロットであった石崎秀夫氏が書かれた『機長のかばん』(講談社+α文庫)にありますように、飛行距離が比較的短い国内線であっても風の影響は相当大きいようです。実は私自身、作問の際に、その点が気になりましたので、航空各社に念のため問い合わせたんですよ。

ちなみに1月の時刻表を資料として取り上げたことにも意味があります。夏の時期の同じ区間のダイヤと比較すると、往路と復路の所要時間が異なっていることに気づかれると思います。冬と比べると夏のダイヤの方が往復の所要時間の差が小さくなっています。これは冬の方が西風が強くなる傾向があるからなんです。

頭を動かす入試問題なので、とてもいいと思います。

暁星中学校

「これはこの事と関係があるなと気づく、直観力を鍛えたい」

和田先生 時間は40分。かなり問題にボリュームがある中で、なぜ、このような問題を出すかというと、直観力を鍛えたいと考えているからです。テレビのニュースの中には、詳細まで報じられず、短い時間で終わってしまうものもあります。そのような場合であっても、瞬時に、このニュースはあの事と関係があるなと気づく直観力が鍛えられていれば、新たな知識として吸収することができます。「差のつく問題を作る」というよりは、「直観力を鍛えたい」というメッセージを示しているつもりなんです。

話題にできるような知識を身につけるということでしょうか。

和田先生 試験対策という堅苦しいものではなくて、ご家庭の中でニュースを見ていて、あるいは旅行に行って、会話をしているかどうかというところで、差が出てくるのかなと思います。

インタビュー 1/3

暁星中学校

暁星中学校1888(明治21)年、フランスの修道会、マリア会が築地明石町に生徒数6名で開校した、長い歴史を持つカトリック男子校。1890年に現在地に移転し、小学校を併設、1969(昭和44)年には幼稚園を設立し、「幼・小・中・高」の一貫教育体制を整えた。長崎の海星学園、大阪の明星学園、札幌の光星学園、調布の晃華学園などが姉妹校である。2001(平成13)年に高校募集を停止した。

皇居に程近い九段の丘に位置し、都心にありながら落ち着いた環境に恵まれている。創立100周年を記念して建設された中・高校舎、事務棟は、伝統を保ちつつも時代の先端を行く同校のシンボルとなっている。400名を収容できる聖堂や、人工芝のグラウンド2面なども完備されている。

同校は、キリスト教の精神に基づき、「自らの個性を輝かせるとともに、他者との関わりを学び、社会の核として多くの人々の幸福のために指導的役割を果たす」ことが教育目標である。語学教育に定評があり、国際的で広い視野を身につけるための基礎力として、英仏2カ国語を履修させている。

難関大学の受験を見据えた6年間のカリキュラムが、細部にわたり入念に組まれており、中学では習熟度別授業や先取り授業も行っている。とくに語学では、中1から英仏2カ国語の並行学習を行う。中学では英語を必修とし、第2外国語としてフランス語を学ぶ。高校ではフランス語を第1外国語として選択することもできる。英語は『プログレス』、フランス語ではオリジナル教材を使用している。高2で文系・理系に分かれたクラス編成となり、高3ではさらに細かい、進学希望、受験科目に合わせたコースが設置されている。東京大学には毎年平均して10名程度が合格し、早慶上智大など難関私立大にも多くの生徒が合格している。医歯系大学への進学が多いのも特色である。

高2修学旅行(北海道、6月)、中3研修旅行(広島平和学習、11月)をはじめとして、6月の運動会、中1宿泊学習や高1海外語学研修(夏休み、語学研修は希望者)、2学期の文化祭など、学校行事も多彩である。また、「暁星シャリテ」という委員会活動があり、施設慰問や街頭募金などに参加する。クラブも運動部、文化部合わせて30あり、中でもサッカー部は、進学校にもかかわらず全国大会への出場経験があり、強さと洗練されたスマートさを併せ持つその実力は高く評価されている。文化部では競技かるた部が有名。全国大会にも出場し、去年5連覇を達成した。

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