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出題校にインタビュー!

2013年 森村学園中等部【社会】

森村学園中等部の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.身のまわりのことに興味・関心をもち、机上で学んだ知識と結びつけて考える習慣をつけよう。

「他校さんにも応援歌を送りたかった」

真剣な保護者ほど思い詰めていますよね。

大木先生 そうなんですよ。思い詰めているんですよ。説明会も12月で、あと1カ月でこれだけのことを覚えなければならない。1日○ページ、覚えなければいけない。子どもは「覚えきれない」。お母さんは「やらせなければいけない」というやりとりがあって、お母さんも疲れてしまっているんです。それに対して「いや、違うんだぜ」というメッセージを送りたい。他校さんにも応援歌を送りたかったんです。

他校さんも、変わる素地は整ってきていると思うんですよ。こんなことを言っているのは私だけではなくて、おそらく他校でもいろいろな先生が言っているのではないかと思うんですよ。今まで東大を考えていなかった学校さんが、私たちも含めて東大に受からせようと本気で取り組み始めた。東大の過去問を分析し始めた。そうすると、暗記量だけではダメだと気づくんですよね。どうしたら現役で受かるようになるのだろうと考えると、こういう問題に行き着くと思うんです。

森村学園中等部

「東大を意識すれば自然と考える力を問いたくなる」

大木先生 わかりやすい例で言えば、授業で「金印」を教えたい時に、教科書に書いていないことをどこまで話せるか。早慶上智に受かればいい、国学院だ、専修だというのであれば、過去問に出ている重箱の隅をつつくような知識。例えば「金印」は何cm×何cmですかとか。何gですかとか。どこの村で発見されましたかとか。何さんが発見しましたかとか。ちなみに発見した人はジンベイというらしいのですが。クイズ的にはおもしろいですよね。でも、どこまで詰めていっても私立レベルですよ。僕も高3の時はどこまで知識を覚え込めるのかというのを生きがいにして取り組んだものです。でも、東大は、僕らが学生の時代からそういう問題は出さないですよね。「金印はどんな意義があったの?」その答えをピシッと書ければ合格。書けなければ何百字使っても0点ですよ。そういう問題を見ても、今までは全然気づかなかった教師たちが気づき始めている。特に中堅私立中高において。ですから森村学園だけが奇抜なことをやっているというのではなくて、麻布や筑波大駒場のように、東大に受からせたいと思っている学校は、細かい知識を聞く問題を出していないじゃないですか。小学生にこんなことを考えさせてわかるの?というような問題を出しています。それが中堅の学校まで下りてくるとすると、たぶん中学入試が変わると思うんです。それが何年かして落ち着いたら、日能研さんの作るテキストももう少し薄くなるんじゃないかと思うんです。そうすれば親も喜ぶ→中学受験したいという子が増える→塾も潤うのではないでしょうか。

「この問題により収穫のある入試になった」

考える力を問う問題が選抜機能を果たさない場合もあるので、そこが難しいんですよね。

大木先生 そうなんです。そこがきれいに選抜機能を果たして、尚かつアドミッションポリシーを出せたというところで(今回は)安堵したんですよね。さらにこうして車内広告のお話も舞い込んだので、収穫のある入試になったと思います。

多くの人に採点してもらう場合、採点のしやすい問題を作らなければならないので、そこも難しいですよね。

大木先生 分別問題は採点が難儀なところがあるので、逆にいうと採点の時に客観性、公平性が保てるような作問をしなければなりません。でも、逆にそれは私たちを鍛えることにもなって、今回まさに「この模範解答で大丈夫ですよ」と言ったのは、根拠をもって示せるからですよね。沖縄の問題では自然増を打ち出せていればいいのだと。それはなぜかというと東京との対比によって示せるからなんですよね。

社会科/大木 崇先生

社会科/大木 崇先生

「“比較”が考える習慣づけに役立つ」

大木先生 私たちも視点がブレなくなったというか、入試の教材選びにおいても、日々の教材選びにおいても、こちらの考える力がブラッシュアップされたおかげで、わかりやすく生徒に展開できるようになったので、入試問題も良質なものになっていくでしょうし、教材も生徒の力を伸ばしうるものになっていったのではないかと思います。

「考える力ってなんですか?」とよく聞かれるのですが、その一つに比較する方法があると思います。同じ基準で両者を分析。共通するところ、異なるところと分けて見ていくと、より鮮明に特徴が浮かび上がってくるんですね。授業の中で「比較するということは、同じ基準で比べて、特徴を浮かび上がらせることだよ」と言って育てていくと、生徒たちの答案も、中1の2学期ですでに「ここまで美しい答案が書けるんだ」というものが出てくるわけです。

6年間続ければ、東大の入試でも「Aはこうで、Bはこうである」という締めの文章を書くことができて○をもらえるのに対し、悪いけれど何浪しても受からない人はAの特徴をずらずらと何百字も書き、Bの特徴をずらずらと何百字も書く。先ほど話した「金印はどのくらいの大きさで、何g」などという知識をたくさん詰め込んでいるものだから、どんどん文章が長くなるのです。それでも落ちるから、まだ足りないのかとさらに知識を入れていく。だから落ち続けるのです。

「考えることの楽しさを教えたいから入試でも出題」

大木先生 そうならば、入口の選抜の段階でそれを入れてみようかなと思ったわけです。「沖縄について書け」というと知識を問うことになりますよね。暗記していなければ書けませんが、東京と並べて出すなど、同じ基準をあてがってみることで、「自然増ではどうなんだろう」「あれ?東京は自然増が減っているぞ」と気づくわけです。東京は巨大な人口のイメージがあるけれど、赤ちゃんがあまり産まれてなくて、高齢者はどんどん死んでいる。逆に沖縄は増えているぞ。若い人に子どもが増えていて、老人は死なないといった特徴が浮かび上がってきますよね。まさにそういう意図をもって問題を作っていますので、こういう考え方がゆくゆくできるような子が入ってきてくれて、育てていければいいなと思っています。

ここで、「どうして沖縄は子どもがたくさん産まれるの?」と思ってくれればしめたもので、授業中なら質問を引き出せるかもしれません。そうしたら勝ちなんですよ。何年か前は、僕のほうから大切なことを全部言ってしまっていたんですね。そうすると暗記になってしまいます。授業の前に指導案を考えるのですが、これを教えたいなということを教えてはいけないんです。これを学んで帰ってくれたら満点と思うことはしゃべっちゃいけなくて、それを生徒のほうから知りたいと思うような状況をつくることが大切なんですね。(生徒に)聞かれたら答える。そうすると「なぜ?」って考えるのが楽しくなりますし、これとこれはつながるんだということもあると思うんです。お風呂場に入って、曇ってしまったメガネをスパッとふいて、シャキッと見えた時の気持ち良さ。今までぼんやり社会を見ていて、なんとなくこれとこれとこれがあるのは知っていたけど、こうつながってこうなるんだという感激を、50分の授業の中で何度か味合わせてあげたい。そんな体験を積んで、社会科を好きになってくれればうれしいし、考える力もついていくのではないかと思うんですよね。

森村学園中等部

「授業で使うプリントにも“なぜ”を引き出す工夫を凝らす」

大木先生 これが去年中1で地理をやっていた子たちの授業プリントなんですが、非常にあっさりしていませんか。(  )の中に言葉を入れて、シートで隠して覚えましょうというのは極力少なくしたいので、1枚のプリントに10個くらいにとどめています。ただやみくもに、思いつきでしゃべるのではなくて、この情報は伏せておこう。伏せておいてこの話だけをすれば、絶対気になってしかたなくなるはずだ。そこで質問が出ればしめしめという、場づくりをしていくわけです。もちろん覚えなければならないこともありますので、それは覚えてもらい試験にも出しています。

沖縄の人口が増えているのはなぜなんですか?

大木先生 高齢者が多い、3世代同居している家庭も多いので安心して子どもを産める、地域で子どもを育てる風土があるなど、いろいろな理由が考えられると思います。東北などと比べると、沖縄返還までは、本土に移り住む人がいなかったので、それも理由の一つであると社会学的には言われています。そういうことを調べていくとおもしろいので、授業ではしゃべらないでおきます。まだ裏を取りきれない部分があるので、入試問題にするのは見送りましたが。5、6年生の授業の中で「なぜ、沖縄は子どもを産みやすいのに東京は違うんだろうね」といったことに興味をもってくれたらおもしろいですよね。

「さらなる探求を要した問題のできは悪かった」

この問題を見たときに、沖縄と東京の人口ピラミッドを載せたらおもしろいんじゃないかなと思ったんですよね。

大木先生 それはおもしろいですね。食いつきやすいですか?

そうですね。人口ピラミッドは自分の年代も入っているから、たぶんとらえやすいと思うんですよ。

大木先生 今回、ここには入っていないのですが、この後、まさにそんな人口ピラミッドが頭に入っていないと解けないような問題を出したんですよ。でも、できは悪かったですね。横浜市は若い人たちの人口増加が見られます。東京は土地が高くて買えないけれど、(森村学園のある)東急田園都市線沿線や港北ニュータウンなど都心に通いやすい場所は、若い世代が土地を買い、家を立てるので社会増があり、子どもが産まれるから自然増もある。まさに「今、受験をしているキミたちのことなんだよ」ということですよね。そういう問題ができる子は、ふだん身のまわりを見ている子。既有知識と結びつけられるという観点で相当学力の高い子、ピックアップしたい子になると思うので配点を高くしたのですが、この問題はちょっと難しすぎたようです。

社会科/大木 崇先生

社会科/大木 崇先生

「覚えている知識を使って考えることについては差があった」

大木先生 社会科を教えている人にはベタなのですが、大阪にオフィスを持っている人たちがどこから通っているかというと、大阪からちょっと離れたところでなければ家を買えないから、滋賀県になるんですよね。これもできなかったですね。関西の電車がぎゅうぎゅうに混んでいるイメージが湧かなかったんでしょうね。渋谷行きならわかるけど、大阪行きの電車が込むのはイメージが湧かない。ということは、まだ抽象化において弱いんですよね。具体的な世界から発育上、逃れられなくて、都市の中心部に周辺から人が集まるという記号操作になるとかなり難しく、それを別の地域の具体像に落とし込むという、二段階の難しいことを要求したので、関西に馴染みのない子には相当厳しい問題になりました。おそらく大阪がどこにあるかはわかっていると思うんです。でも、覚えている知識を使って考えることについては差があったということですよね。具体的な話で終わらせないで、そこから抽象化する、記号化する、図式化する能力というのは、他よりも抜きん出た能力なのでしょう。ですから、できればそういう子とご縁があるといいなという願いがあります。抽象化というのがキーワードになると思いますが、発育段階もありますし、自分も小学校の時にできていたかというとできていないですから、そのうちどこかでできていってくれればというところだと思います。

「子どもが次の情報を知りたくなる素材を使いたい」

入試問題を作る際、素材選びで注意していることはありますか。

大木先生 できれば子どもたちがこれまでにあまり見てないものがいいなというのと、「えっ!?」と思えるような情報が少しでも含まれている素材であること。それから先ほど言った対比、比較によって特徴が浮かび上がりやすいものを選びがちですね。それから、子どもたちが問題を解きながら、思わず「なんで?」と、次の情報を知りたくなるような素材というのは、入試問題はもちろん授業でも使いやすいですよね。

記述問題では、いくつかの条件(着眼点)を示していますが、それがものごとの本質をとらえることにつながっていると思います。

大木先生 おっしゃるとおりです。標準的な学力レベルのお子さんに考える力を問うわけですから、誘導がないと、選抜機能をなさない可能性があるんですよね。ですから着眼点を示唆して、それにより考える道筋を見つけられるよう工夫しています。

子どもの考える力をはかることも目的の一つですが、力を引き出すこともしているということですね。

大木先生 そうです。授業の場合は、考える仕掛けになりますよね。この情報をこの順に出していけば、生徒はこういう反応をするはずだ。ここでこういう疑問が湧くはずだ。それでも出なければ、こういう発問をしてみよう。この発問によって、「どうしてそうなるの?」という疑問を引き出す展開を考えているので、それが入試問題のかたちをとるならばこういうかたちになってくると。この問題により、まさに考える力が伸びていってくれればいいなと。あるいは私どもの考える力というのは、こういう思考プロセスをもつ子だということをわかっていただければうれしいですね。

社会科/大木 崇先生

社会科/大木 崇先生

インタビュー 2/3

森村学園中等部

森村学園中等部大実業家であり、立志伝中の人物でもある森村市左衛門は、日本を担う人材育成の必要性を痛感。「花をつくるより人をつくろう」の決意のもと、「社会の役に立つ人をつくる学校に」と1910(明治43)年、港区高輪に自宅の庭を開放し幼稚園と小学校を創立。幾多の星霜を経て78(昭和53)年現在地へ。

総面積8万m2の広大な緑地に、幼稚園・初・中・高等部がグランドを囲むように建つ。創立80周年記念の中央棟は、中・高等部を連結し一貫教育のシンボル的存在。パソコン教室や講堂、学園資料展示室など、最先端の設備で一貫教育をより充実させる。図書館の蔵書は5万冊、パソコン補習コーナーも備えている。

校訓は創立者自身が実業家人生のなかで学んだ「正直・親切・勤勉」。人間を磨き、学力や体力、情操を養いながら、真の国際人を目指して、幼稚園から高校まで、それぞれの年齢に応じた教育を展開している。少人数クラスを堅持し、明るく品の良い家族的な雰囲気が情操教育の基盤。家庭とも連携を保ちながら、一人ひとりを把握した教師が、進路・進学指導にあたっている。

2004年から週6日制に移行。自主性を重んじながら生徒会活動、クラブ活動に取り組む。中学では運動部、文化部とも11のクラブがある。学校行事は多彩で、林間学校、英国修学旅行、アイルランド、カナダでの希望制海外研修、スキー教室、体育祭など。文化祭は準備に時間をかけ、内容の豊富さと独創性は毎年好評。保護者懇談会や個別面談、授業参観、PTA主催のバザーなど、学校・生徒・家庭が親密なのが森村らしさ。中学の合唱コンクールも「みなとみらい大ホール」で行われ、盛り上がる。弁当持参が原則だが、購買部で弁当やパンを買うこともできる。

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