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出題校にインタビュー!

2013年 森村学園中等部【社会】

森村学園中等部の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.入学後は考える力を鍛えていく。それに耐えうる力をもった子どもに入ってきてほしい。

「入試問題=アドミッションポリシー」

大木先生 リード文(問題文の最初の2行)は、問題を解くに当たり特に必要としないのですが、あえて書いたのは、「入試問題=アドミッションポリシー」と考えていて、受験生を選抜する目的のみならず、「私たち社会科はこういう考え方で授業をしていますよ。だから、それに耐えうる力をもったお子さんにお集まりいただきたい」という願望を伝えたかったからです。ですから、車内広告というかたちで、受験に関係のない人の目にも触れることになり、とても感謝しています。世の中の人に、「森村学園の社会科はこういう目的をもって取り組んでいるのか」と思ってもらえたら嬉しいです。

社会科/大木 崇先生

社会科/大木 崇先生

「考える力を鍛えていきたい。その思いを入試にも込めた」

大木先生 というのも、「社会科=暗記」という考え方が世間に広まっていて、非常に強くこびりついているからです。こう聞かれたたらこう答えるというような、学習のクセは一度ついてしまうとなかなか変えられないんですね。ですから中学・高校でも6年間そういう学び方をしてしまうし、大学受験もそういう勉強の仕方をしてしまいます。それの何が問題なのかというと2つあって、大学受験はまず対応できないでしょう。東大をはじめ難関大といわれるところは考える力を正面から問うてきますから、やみくもに知識を覚えても受かりません。第2に、入試を超えて、社会人として生きていく上でも、自分で考えることができない人たちばかりで成り立つ社会というのは非常に危険ですよね。果たしていい社会になっていくでしょうか。受かる、受からないという観点からも、あるいは立派な主権者を育てるという観点からも、知識を覚えているだけで考える力のない人では心配なので、森村学園では、もちろん受験直前期においては知識をどんどん詰め込むこともしますが、それと平行して考える力を鍛えていきたいと思っています。入試問題でも、「そういうことを大事にしてやっていきますよ」という意図を冒頭に込めさせていただきました。それに続く問題文は、「理念はわかったよ」と。「じゃあ授業では、具体的にどんなことをやりとりしているんだい」などという質問に対する私たちのレスポンスというふうにお考えいただければと思います。導入でこういうものを出して、「なぜか」と聞けば、そこで子どもたちが考えて、「こうじゃないかな」という答えが出てくる。そんなやりとりを目指しています。

「この問題は、合格者と不合格者の出来が大きく開く問題の一つに」

実際に出来具合はいかがでしたか。

大木先生 この問題は合格者と不合格者の出来が大きく開いて、選抜機能を果たす問題になりました。入試問題なので、培ってきた実力を発揮してほしいですよね。ですから最初のほうに簡単な問題も入れて、勢いがつくような構成にしていますから、全部が全部、選抜機能を果たす問題になるわけではないのですが、この問題に関しては合格者の正答率が50%~70%で、できた人は受かっています。問1は合格者の正答率が90%を超えていますね。それに対して不合格者は60%。この差で合否が決まります。問2は難しかったですね。合格者でも25%くらいの正答率で、不合格者はほとんどできていなかったです。

森村学園中等部

「東京と対比すると、沖縄の特徴がより際立つ」

記述問題は差がつきやすい問題なのですが、沖縄の問題(問2)の正答率の開きを見ると、私どもで出した答えは果たして正解だったのかなと思ったのですが…。子どもたちが書くとしたらこんな答えかなと思うんですよね。

大木先生 「沖縄県は社会増、自然増、ともに増加している。とりわけ自然増が多くなっている」これは正解でございます。まさにその通りです。もし、気の利いた答案を書けと言われたら、東京との対比などを盛り込むと、よりその特徴が際立っていいですよね。東京は自然増において伸び悩むどころか、自然減ですよね。赤ちゃんは産まれないのに高齢者は死んで行くわけで。東京はもともといた方が人口減に足を踏み入れているわけですが、沖縄は高齢者の方が長生きする一方、赤ちゃんもどんどん産まれていて、沖縄に引っ越してくる人が多いわけではないのですが、人口は増えています。東京と対比して書いてもらえれば、より特徴が際立つということはあるにせよ、それを言及していなくても○を差し上げています。

「“自然”という言葉に反応し、環境問題について書く誤答が目立った」

解答欄が1行しかなかったので、2行あれば東京との対比をした子もいたかもしれませんね。

大木先生 なるほど。沖縄のことを聞いていますので、そこを答えていれば問題ないのですが…。「自然減」という言葉がわかっていなかったですね。それはおそらく習っていない。その言葉は高校地理の範囲であって、小学校の学習指導要領を逸脱しているのではないかというご意見もあるかもしれませんが、問題文に定義を示しております。なので、知識の多い、少ないを問うているのではなくて、与えられた知識をもとにその場で、すでに知っている知識と組み合わせて考えてもらうのがねらいなんですね。そこを丁寧に読んでいけば、「生まれた」「死んだ」そこで考えていけばいいんだなとわかるはずなんですが、そこの読み込みが甘いために環境問題について書いてしまう誤答が多かったです。自然という言葉に反応したのでしょうね。誘導したわけではないのに、「沖縄には自然が残っているので・・・」と答えている受験生が非常に目立ちました。問題文をよく読めばヒントが書かれているのに、それをしないで「自然」という言葉に反応してしまったということですね。

社会科/大木 崇先生

社会科/大木 崇先生

「考える習慣が身についているかどうかで差のつく問題だった」

問1は2011年の出来事に関心があれば解けたと思いますが、問2は資料を読み込まないと難しかった問題ですよね。

大木先生 そうですね。読み込まないと難しかったと思います。あとはなぜそうなるのかと考えられるかどうか。例えば東京都の人口増減というところで、単純に表に▲がついていないわけです。人口増加は大きい値になるわけですから、東京は増えている。「ああ、増えているのね」で終わってしまう子と、「なぜ増えるのだろう」というように考える習慣が身についている子とでは、差がつく問題だったと思うんですよね。

「なぜ?」と考えるクセがついている子であれば、ここに「それが書いてあるのね」ということで読み取りに入り、数字の意味が文脈として頭に入ってくるわけです。ところが「なぜ?」と考える習慣がない子はそこでアウトなんですよね。数字が3つ出ていて、自然増と社会増。「だから何?」という感じになってしまったのではないでしょうか。

「この問題で立ち止まり、先へ進めない受験生も見受けられた」

大木先生 我々は大人ですから、ここに数字が3つ出ていれば当然数字の意味はそうでしょうということになるのですが、今回の結果を見ると、中には考えられない子がいたことがわかりました。それは習慣の差なんですよね。自然増、社会増という新しい概念をここで知って、それをつなげて…。減った理由を深めていく習慣があった子にとっては自分の思考パターンに乗っていきますから、苦はないはずなんです。ところが思考パターンがそうでない人は、その場でそれをやらなければならないから時間を要してしまいますよね。

私たちは試験監督につくので、受験している子どもたちの様子を見ることができます。この問題は、サッと書いてしまう子と、ものすごく時間がかかっている子がいました。この問題の後に配点の高い問題があったのですが、ここで立ち止まり、先へ進めない子がいました。いわば運命の分かれ道のような問題だったんですね。ではどうすればいいのか。対策をお話しようがないので、入試までにどういう頭の働かせ方を習慣化してきたかを問うような問題を出して、私たちはこういう子に集まってほしいと願っているんですというメッセージを発信しているのです。

森村学園中等部

「受験生が問題を解く姿を見て感じたことは、次年度の作問に生かしたい」

他校でお話を伺うと、作問された先生が入試の様子を見る機会は意外と少ないのですが、うまくやっていますね。

大木先生 いいえ、今回は偶然なんです。小さな学校ですから、社会科の教員が社会科の入試に入れるように塩梅してくれたんですね。直接解いている姿を見られるのは大きいです。次に問題を作る時に役立ちますね。

こうして毎年アドミッションポリシーを出し続けているのも、そのうち受験生が、出題の冒頭にある一文を、口マネのギャグで使ってくれるのではないかという遊び心半分と、こういう問題を出した時に選抜機能を果たすからなんですね。ここ2~3年、こういう問題を出し続けて、受験生が結果を出してくれているので、塾の先生方には感謝しています。

要は問題を使ってのコミュニケーションですよね。「こんなトレーニングを積んできたぜ」という気持ちで送り出してくれた受験生に対して、こちらは「こんな考え方で問題を作ったよ」という。ですから、この出題スタイルは今後も変わらないと思います。

「中学入試を変えていきたい」

問題文の中に、社会科の学習の意義にふれる一文を入れているのも、ここ2~3年ですか。

大木先生 そうですね。去年は入れていました。ここ3年くらいは入れているかもしれませんね。作問スタッフで話し合った時に、「それは地理に限ったことではないよね。社会科全体に言えることだよね」という前向きな意見は出たのですが、(一文を)カットすべきだという、いわゆる異議を唱える先生がいなかったから、そのまま出題されました。

そこにどのような思いがあったのか、というと、微力ながら、世の中の役に立つことをしたいと思ったのです。というのは、中学受験に対する世の中の風当たりが強いですよね。子どもたちに分厚いテキストを渡して覚え込ませたり、夜遅くまで勉強しなければならなかったり、塾帰りの子どもが電車で騒いだり…。世の中で「おかしい」と思われていることの根源は私立中学にもあると思うのです。負い目があるので、中学入試が変われば、塾も大手を振って対応を変えられますよね。そうすれば世の中もいい方向へ変わっていくと思うので、他校の方に対しても安心してほしいという気持ちを込めて出題しました。

社会科/大木 崇先生

社会科/大木 崇先生

「先頭に立って、世の中をいい方向へ変えていきたい」

大木先生 うちだけが変えようとしても私立中学全体を変えることはできませんが、森村学園が問題を変える→日能研さんがそれを取りあげる→みなさんに見ていただける→他校さんも、こういう問題を出したかったんだと行動し始める→塾もこういう学びをさせたかったんだということで、説明会などでもどんどん話せるようになると思うんですよね。そうすると世の中もどんどん変わっていって、分厚い参考書は必要なくなる時が来るんじゃないかと思うんですよね。

何年か前の学校説明会で、「お子さんが分厚い問題集をやってもやってもできるようにならないと泣いていたら、ふびんだと思いませんか」と話したら、後から受験生のお母さんが来て「よくぞおっしゃってくれました。その通りなんですよ」と泣きながら言うんです。「こういう問題を出してほしいんです。知識を詰め込むことに限界を感じて『もうムリだ』と思っていたところに、私立でもこういう学校があるんだということを知って安心したとおっしゃるんですね。リップサービスもあると思いますが、涙を流しながらそこまで言うのですから、家庭でどんなことがあったのかは想像できますよね。

インタビュー 1/3

森村学園中等部

森村学園中等部大実業家であり、立志伝中の人物でもある森村市左衛門は、日本を担う人材育成の必要性を痛感。「花をつくるより人をつくろう」の決意のもと、「社会の役に立つ人をつくる学校に」と1910(明治43)年、港区高輪に自宅の庭を開放し幼稚園と小学校を創立。幾多の星霜を経て78(昭和53)年現在地へ。

総面積8万m2の広大な緑地に、幼稚園・初・中・高等部がグランドを囲むように建つ。創立80周年記念の中央棟は、中・高等部を連結し一貫教育のシンボル的存在。パソコン教室や講堂、学園資料展示室など、最先端の設備で一貫教育をより充実させる。図書館の蔵書は5万冊、パソコン補習コーナーも備えている。

校訓は創立者自身が実業家人生のなかで学んだ「正直・親切・勤勉」。人間を磨き、学力や体力、情操を養いながら、真の国際人を目指して、幼稚園から高校まで、それぞれの年齢に応じた教育を展開している。少人数クラスを堅持し、明るく品の良い家族的な雰囲気が情操教育の基盤。家庭とも連携を保ちながら、一人ひとりを把握した教師が、進路・進学指導にあたっている。

2004年から週6日制に移行。自主性を重んじながら生徒会活動、クラブ活動に取り組む。中学では運動部、文化部とも11のクラブがある。学校行事は多彩で、林間学校、英国修学旅行、アイルランド、カナダでの希望制海外研修、スキー教室、体育祭など。文化祭は準備に時間をかけ、内容の豊富さと独創性は毎年好評。保護者懇談会や個別面談、授業参観、PTA主催のバザーなど、学校・生徒・家庭が親密なのが森村らしさ。中学の合唱コンクールも「みなとみらい大ホール」で行われ、盛り上がる。弁当持参が原則だが、購買部で弁当やパンを買うこともできる。

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