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出題校にインタビュー!

2013年 自修館中等教育学校【国語】

自修館中等教育学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.人をつくる上で、教科の枠は必要ない。さまざまな働きかけにより、生徒が望む進路実現をサポートしたい。

「1年生で論語、2年生で百人一首に取り組む」

入学後、6年間の国語教育で先生方が力を入れているところをお話いただきたいのですが。

黒瀧先生 そうですね。1年生で入った時に、おそらく他校さんと違うのは論語の勉強をすることだと思います。漢和辞典の引き方に始まり、字の成り立ちを全部調べて、論語に息づいている先人の知恵や教訓などを学んでいくというところから入っていきます。1年生にはちょっと難しい内容かもしれませんが、私も1年間、1年生の授業を担当してきて、心に寄与する部分が大きいと感じています。

2年生になると百人一首を扱います。そこでは歌の中に流れる雅な雰囲気や、その背景にあるもの、貴族的な考え方、当時の平安朝の人たちの考え方を理解します。古典のベーシックな部分を2年生の若い時期から理解していくというのが特徴ですね。

1年生の論語も、2年生の百人一首もそうですが、暗唱をさせるんですよ。授業の中で大きな声で言えるようになったら、百人一首大会をやる。そんな流れで進めていますね。それらがベースになって、後期(高校)での古典の勉強、漢文の勉強に入っていきますので、ムリがないのではないかと思っています。同時に文法的なものも身につけさせていきます。

自修館中等教育学校

「暗唱により古文のリズム感を体に染み込ませる」

暗唱は、なぜ行っているのですか。

黒瀧先生 国語の勉強はじっとしていることが多いので、それを払拭する為に、声を出してポジティブに動くというのが一つあると思います。また、声を出すことによって頭の働きがよくなるということを先日、研究会で聞いてきまして、暗唱はいいものなのだと改めて思いました。例えば声に出すことで漢文独特のリズム感を覚えていく。古文のリズム感を体に染み込ませるというのが目的になると思います。

声に出すことにより、子どもたちに変化は見られますか。

黒瀧先生 1年生と2年生を教えているのですが、1年生は元気に声を出すことに抵抗がないので、楽しみながらやっているのではないかと思います。大きな声を出すと楽しい。だから論語的な変わった言い回しも難なく吸収してしまう、というのはありますね。

鈴木先生 2年生は百人一首を2年、3年に分けて、一つは暗唱ですね。2年生は暗唱テストなどをして、3学期には50首を暗唱したところです。百人一首大会はクラスでも、学年でもやったのですが、結構楽しんでいました。家ではかるたや百人一首をしたことがないという子が結構いるのですが、ゲームですからね。おもしろがってやっているうちに五七五七七のリズムが身についていく…。それでもいいのかなと思いました。

「暗唱は興味を喚起する」

黒瀧先生 高校生になると声を出さないので、声が出る1、2年生のうちに、意味はわからなくても、リズムや言葉の響きを体にしみ込ませていくと、どこかでそれがつながるかなと思いますね。

鈴木先生 2年生では学期に一つ、暗唱の教材を入れています。3学期は教科書に平家物語がありますので、冒頭の「祇園精舎の鐘の声」を暗唱させるのですが、あれも結構おもしろがってやりますね。声に出すと流れに気づき、リズムが心地いいんですね。それでいいのかなと思っています。

暗唱をきっかけに興味を持たせるというのは、昔から言われていますよね。

黒瀧先生 そうですね。生徒たちも興味を持ちます。論語は最初に暗唱をやるんですね。「これはどういう意味だろう」と生徒が聞くのですが、「待って、待って」となだめて、ある時、「実はこういう意味なんだよ」という持って行き方をしています。人間、言っているうちに、「これ、どういう意味だろう」という疑問が湧きますよね。そんな喚起に暗唱は役立っていると思います。

英語も同じなんでしょうか。

黒瀧先生 英語も中学校3年間は、レシティエーションコンテストというのをやっていますね。各学年に決まった課題文があって、暗唱させ、クラスで予選を行い、クラス代表が全校の前で暗唱するというかたちです。

自修館中等教育学校 先生

「英語とは授業でコラボレーションした実績あり」

英語科と国語科の先生方で、情報交換をするようなことはあるのですか。

黒瀧先生 コラボレートすることはあります。教科書にジョン・レノンの「イマジン」の詩が載っていて、英語なので英語科とコラボレーションしようということになりました。英語で発音や意味をやってもらい、国語では音楽を聴きながら主題をとらえていく、ということを分業制でやったことはありましたね。1年生なので、興味をもって取り組んでいましたし、主題をきっちりとらえることができていたと思います。

他教科とのつながりはいかがですか。

黒瀧先生 谷川俊太郎の詩を音楽でやっていると聞いたので、なにかできそうなことがあるかも!?という話をしています。

海老名先生 教科間の連携については、本校もシラバスを作っていますので、この教科でこれをやっているので、順番を変えられないかというような研究はしています。

「1年生のカリキュラムに読書を入れている」

学校の大きな取り組みとして「探究」がありますが、そこに国語科や、国語科の先生方はどう関わっているのですか。

黒瀧先生 「探究」(教科の枠を超えて幅広い知識・観点・考え方を養うことを目的とした総合学習)に取り組むために、1年生は11月下旬に各ゼミに振り分けられます。そのため1年生のカリキュラムに読書を入れています。

また、ゼミでは自分のやっていることを発表しなければなりません。発表するに当たってはレジュメを作らなければなりませんから、レポートの書き方、本のどういうところを使うといったことについては(国語科で)教えています。

お話を伺っていると、声を出したり、発表したり、体を動かすことが多いですよね。

鈴木先生 前期(中学生)のうちはそれを大事にしたいところがあります。なるべく活発にやりとりをしながら、いろいろ引き出すということですね。後期(高校生)になると、どうしても読解が中心になります。また、いくら問いかけてもひびかなくなりますので、能動的に発言などをする前期のうちに…と思っています。

国語科主任(平成24年度)/黒瀧 裕之先生

国語科主任(平成24年度)/
黒瀧 裕之先生

「中1の授業は活気がある」

中学生のうちは、引き出そうとすれば、いろいろ出てくるものですか。

鈴木先生 そうですね。発想が柔らかいです。例えば2年生で、谷川俊太郎の「春に」という詩をやりました。学んだ後に春の詩を書くのが定番なのですが、詩だけではおもしろくないので、「イメージする絵を書いてごらん」と言ったら、結構おもしろがって絵を描いていました。詩の授業は難しいのですが、意味をとらえることよりも、読んで語感を味わうほうがいいように思います。

それから、何年か前からやっているのですが、抑揚をつけて詩を読ませているんですね。強弱のつけ方はグループごとに話し合い、発表させるのですが、班によって強く読む場所、弱く読む場所が違うんですよ。詩のとらえ方は人それぞれということがわかっておもしろいのです。

中1くらいだと、まだやりやすいですよ。話し合いも結構活発にします。抑揚も、ちょっとウケを狙って強く言ってみたり、節をつけて歌ったり、そんなことで活気づきます。

「中3、高1あたりでは、社会的視点でものごとを考える場面をつくる」

お話を伺っていると、授業の中から湧き上がってくるものがあるイメージなのですが…。例えば生徒同士で議論を始めたり、先生と生徒が脱線して社会問題についての議論に発展していったりということもあるのですか。

鈴木先生 3年生、4年生あたりになると、そういう視点も刺激をしていますね。例えば3年生には、羅生門の続きを書かせたりするんですね。「さりとて生きるためにはしょうがない」というような、悪と善が交差するような場面で、生徒なりにその後のストーリーを考えるわけです。こんなことをやっていたから、仕打ちを受けるのは当たり前だとか。社会的視点でものごとを考えていくような場面を与える取り組みは、国語にかぎらず各教科で行っています。

黒瀧先生 集団で授業を受ける意味はいろいろあると思うんです。他者の考えに触れて、自分との違いに気づくというのは大きな要素ですよね。それにはいろいろな声が出てきたほうが、「あいつ、こんなことを思っていたんだ」「普段は静かだけど、すげーこと考えているんだな」と思う、それが授業で一番大事なことかなと思います。ですから、なるべく発言しやすい空気をつくるということも大事だと思いますね。

国語科/鈴木 雄一郎先生

国語科/鈴木 雄一郎先生

「生徒が話しやすいように質問を工夫。答えやすい質問を投げかける」

子どもたちの話を拾ってあげる、雰囲気をつくるというのは難しいと思うのですが、例えば鈴木先生はどんなことを意識されていますか。

鈴木先生 なるべく答えやすい質問を投げかけるということですね。とんちんかんな答えが出てきて収拾がつかなくなると困りますから。そうかといって、あまり答えが限定されないような問いを準備するというのが、頭を使うところなんですよね。それがうまくいく場合もありますし、いかない場合もありますから、失敗したら、質問を変えてみるということを繰り返してやっていますね。

低学年は男女の間に精神年齢の差がありますが、問いかけに関して男女を意識することはありますか。

鈴木先生 それはそんなに意識はしたことはないですね。

黒瀧先生 中1くらいですと、女子のほうが正統的に答えます。男子のほうが突飛な発言をしますね。それを一応認めてあげるのですが、女子が「いや、そうじゃない」と正統的な意見を言ってくるので、「そうなのかな」と言いながら男の子を見ると、「突飛なことを言ったけど、ちょっとここは違ったかな」と、男の子のほうが自分で気づいていくというようなかたちですね。

その間は活発なやりとりになるのですか。

黒瀧先生 みんな聞いていますね。突飛な意見を言ってくれたほうが、みんな聞くんですよ。「そんなこと、ないだろう」みたいなところがあって。すると女の子が代表して「それはこうなんじゃないですか」と言う。男の子は「そうなのかなぁ」なんて言いながら。「でも、これこれこうでしょ」って言われるので、そのうち男の子は「そうなのかなぁ」と気づいていきます。

「受信と発信がきちんとできる国語力を身につけてほしい」

中高6年間で、どんな力を身につけさせたいですか。

黒瀧先生 私は、書いてあるものからしっかり正しく読み取れる力と、思っていることを正確に、なるべく100%に近い状態で伝えられるように。受信と発信がきちんとできる国語力を身につけてほしいというのが一つ。

また、国語の作品では人を扱っていますよね。心情をくみ取れるような、そういう力を養ってあげたいと思っています。

自修館中等教育学校 先生

「読み取る力、理解したことを自分の言葉で伝える力を身につけさせたい」

鈴木先生 どんな力を身につけさせたいかというと、現実的には大学入試がありますので、それに対応できる力ということになるのですが、大学は何を求めているかというと、他者を理解する力なんですよね。書いてあることを正確に読み取り、理解したことを自分の言葉で、できるだけ正確に表現できる力。その言語力というのは一生ものですから、それをきっちり卒業までに身につけさせなければいけないと思います。

もう一つは現代文などの中身ですよね。思想的なことになるのかもしれませんが…。大学入試は世界に目を向ける入口だと思いますので、少し大人の思考をもって、言葉を通じて自分と世界との関係を考える力を身につけることができるといいなと思います。いろいろな文章を読んでいく中で、自己とは何かを考えたり、自己と他者の関係から自分を考えたりすることができるようになると思うので、理想を言えば、今、世の中で起こっている問題に対して、こういうふうに解決していく方法もあるのではないかというような主張ができる力をつけさせたいですね。

「SS(セルフサイエンス)という授業で聞く力を養っている」

人の発言をどう聞くかというアドバイスはしますか。

黒瀧先生 ちゃんと聞かせるということはしていますが。生活全般で、相手の言うことをまず聞いて、相手が傷つかないように話をしましょうというようなことは日常的に言っています。

海老名先生 全く違う環境で育ってきた子たちが集まって生活を始めますので、学校としてはEQに基づいてSS(セルフサイエンス)という授業を行っています。人の話は目で聞きなさいとか、話す時に立って上から見下ろして話すのと、座って話すのとでは、受け取るほうに違いが生じるとか。SSの授業を中心にして日常生活について考える場面がたくさんあります。

「進路指導では一人ひとりの自己実現をめざして最後までサポート」

中等教育学校ができて何年目になりますか。

海老名先生 14年目です。来年で15年になります。

進路の現状はいかがでしょう。

海老名先生 今、首都圏も地方も、大学がいろいろと変わってきていますよね。世間ではGMARCHを中心に合格率が取りあげられます。当然本校でもそれが課題の一つになっておりますが、基本は一人ひとりの自己実現をどうするか。生徒にやりたいことがあれば、それは大学入試であろうとほかの分野であろうと、生徒を応援するというのが本校の基本姿勢です。本校では国公立に行く子が多いのですが、どの大学であろうと最後までサポートしますので、そういう点では生徒の満足度は大きいのではないかと思います。

「言葉を使って自分と他者との関係を認識する力を養う」

海老名先生 国語との関連でいえば、言葉を使って自分と他者との関係を認識するということが、とても大事であると思います。自分の気持ち、自分が何者であるのか、他者との関係なども、言葉にすることで初めて明確になってきますので、国語の授業を通して、あるいは先ほどお話したEQの取り組みを通して、日常的に鍛えていくことが大切です。それにより、あえて言わないことにより伝わるものというのもつかんでいくと思いますので、EQは意義があると思っています。

また、「探究」との関係でいえば、最終的には2万字の修論(論文)を書きますので、その分量に耐えうる文章力と、論理的な構成力が求められます。そこには国語科でやっている取り組みが生きてくると思います。

それを構成する問題意識や素材では、当然ですが各教科の知識が必要になると思います。

ねらいとしては、「探究」の学びを通して身につけた力を、他者との関わりの中で活かしてほしいので、論文を仕上げて終わりではないんですね。論文を仕上げて身についた考え方をかみ砕いて、あるいは自分に落とし込んで、社会で活かしていかなければなりませんので、そういう点でいうと自分の気持ちを文章で書き表すという、原点に戻ってくるんですよね。そういうところが最終的に大学入試問題で問われる学力につながったり、進学後に活かされるのではないかと思います。

教頭/海老名 豊昭先生

教頭/海老名 豊昭先生

インタビュー 3/3

自修館中等教育学校

自修館中等教育学校スクールバスにて小田急線愛甲石田駅より約5分、JR東海道線平塚駅より約25分。目の前には緑多い大山と丹沢の山々があり、恵まれた自然環境。校舎は、5階建ての教室棟と実験棟からなり、図書室、PC教室、VL教室などを備え、高度情報化社会に対応したつくり。体育館や屋上にプールを備えたアリーナもある。学校食堂の枠を超えたレストラン、カフェテリアも好評。

建学の精神「明知・徳義・壮健」の資質を磨き、実行力のある優れた人材を輩出し人間教育の発揚を目指す。そのため、学力とともに、「生きる力」を育成するテーマ学習や心の知性を高めるEQ教育などユニークな取り組みを実践。教育を“こころの学校作り”ととらえ、学校を想い出に感じ、帰れる場所に、と家庭とも連携を保ちながら、きめ細かい指導にあたっている。

中1~中3を「前期課程」、高1~高3を「後期課程」とした、高校募集のない完全中高一貫の体制。3カ月を一区切りとする4学期制で、メリハリをつけて効果的に学習を進めている。英・数は「後期課程」から習熟度別授業を実施。英語の副教材には、『フォニックス』、『ニュートレジャー』を使用。興味のあるテーマを選んで継続して調査・研究を行う「探究」の授業もある。指名制の補習と希望制の講座がさかんに行われている。また個別指導が多いのも特徴。

週6日制だが、土曜日の午後は自由参加の土曜セミナーを開講。「遺伝子組み換え」「古文書解読」「伊勢原探訪」など生徒対象のものだけでなく、保護者対象の講座も多数用意している。心の知性を高める「EQ」理論に基づいた心のトレーニング「セルフサイエンス」、学校・家庭・世界を結ぶJネットステーションを活用したPC教育、国際理解教育など、特色ある教育を展開。中1のオリエンテーション、中1~3で山歩きに挑戦する丹沢クライム、芸術鑑賞会などの行事がある。文化部8、運動部10のクラブ活動も活発。「探究」の一環として、高2で生徒自身の企画による海外フィールドワーク(アメリカかヨーロッパを選択)が行われる。

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