
普連土学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「漢字一字のいろいろな意味がわかっているか」
出題の意図を教えてください。
畠山先生 漢字は、一字に一つの意味というわけではなく、いろいろな意味があります。
たとえば「長」という漢字を初めて学習したとき、「時間が長い」というように、まずは「長い」という意味を習うでしょう。けれど、「長」にはそれ以外にも意味があります。「長所」という熟語の意味が「長い所」ではないことはわかると思います。それでは、この場合の「長」はどのような意味で使っているのか、疑問をもってもらいたいのです。
「期」についても、「時期」や「期間」と、「期待」では、「期」の意味が違います。
このように、新しい熟語を覚える過程で、知っている漢字の意味とは違う意味が立ち現れてくる経験をしていると思います。熟語で経験していることを漢字一字でも気づけるかどうか、あえて一字だけ取り出して、漢字の意味の理解度を試しました。
国語科/畠山 直子先生
「結果的に難問になってしまった」
畠山先生 これらは小学生がふだん使わない表現です。けれど、テレビのニュースなどで聞いたことがある、「耳」から入ってくる言葉だと思います。例に出した「廃墟と化す」は、大地震があったときなどによく聞く表現ではないでしょうか。
この問題は全部で10問出題しましたが、第1問目の「大臣の職を辞する」というのもニュースなどで結構耳にするでしょう。例と照らし合わせて、どういうことをやればよいのかを1問目で理解し、「そういうことか」と気づいて2問目以降を解いてもらいたかったのですが、難しかったようです。
大井先生 果たしてどれくらいの正答率になるのか、半分はできるかなと思ったのですが、結果は2問できるかどうかでした。「長じた」はほとんど書けていませんでしたね。比較的書けたのは、「職を辞する」と「将来を案じる」でした。
何とかひねり出して書いたけれど正解に至らなかったり、思いつかなくて書けなかった空欄も結構目立ちました。難しい問題にするつもりはなかったのですが、受験生にとってはかなりの“難問”だったようです。
「耳から聞いた言葉を漢字に変換する作業は難易度が高い」
大井先生 耳から入って読みの「音」として記憶にあっても、意味がわからなければ、どんな漢字を書くのかわからない。小学生にとって、言葉を「聞いて」わかっても、それを「書ける」ようになるのは容易でないことがわかりました。
畠山先生 「制する」は、子どもはこの問題のような使い方はしないでしょうが、「ゲームを制する」というように「支配する」という意味はなじみがあると思います。実はどこかで聞いているはずなのですが、解答を見ると、使えるところまで理解できていないというのが実情のようです。
「刑に服する」の「服」は、「衣服」などきもののイメージが強く、「従う」という意味とギャップがあります。「服役」から連想できればよいのですが、小学生には難しい言葉かもしれません。
大井先生 これに関しては「刑に処する」という誤答がありました。こちらの方がよく耳にするかもしれませんが、意味が「やらなければならないこととして従う」ですから、「処する」では合いません。
畠山先生 「首謀者と目される人物」の場合、小学生が学ぶ「モク」と読む漢字はそう多くはありません。限られた選択肢から発見してくれることを期待したのですが、そこまでたどりつかなかったようです。
国語科(広報部長)/大井 治先生
「どんな漢字を書くのだろう? と興味をもってほしい」
大井先生 漢字については、読み書きできることはもちろん、意味と結びつけて覚えているか、実際に使えるかどうかを試す問題が多くなっています。
この問題で点数が取れるということは、言葉をよく知っているということだと思います。漢字の書き取りができて、意味を理解し、なおかつ使い方もわかる。そこまでできて初めてこの問題が解けるのだと思います。
空欄を含む文の前後の内容と、提示された意味から類推するのは難しい。やはり見聞きしたことがある“経験”が必要です。
大人であればおそらく答えられるでしょう。取り上げた漢字自体は受験生なら知っている漢字で、決して難しくはありません。小学生ができないとするならば、どの段階で、どのように身につけるのか。おそらく高校生は答えられると思うので、中学の段階で身につけるのでしょう。中学に入学する前の早い段階から、漢字の意味や使い方にも関心があるお子さんに入学してもらえたらと思います。
畠山先生 問題文の漢字の書き取りについては、よくできていたと思います。でも、漢字を機械的に覚えるだけでなく、ニュースを聞いたり、日常生活のなかでそうした言葉に触れたときに、「どんな意味だろう」と意識しながら学習してほしいですね。
大井先生 語彙力は読書量に比例します。こういう本を読んでほしい、これだけの量を読んでほしいということは設けていませんが、中1・中2はなるべく本を読んでほしいという思いから、国語の授業の始めに「10分間読書」を実施しています。これをきっかけに、本を読むようになった生徒もいます。
インタビュー 1/3

1887(明治20)年、キリスト教フレンド派(クエーカー)に属する米国フィラデルフィアの婦人伝道会により創設。当時米国留学中の新渡戸稲造の助言によるもので、「普連土」は津田梅子の父・仙氏により命名。93(平成5)年に高校募集停止。
生徒一人ひとりにある「内なる光」を導き出し育てようとする。毎朝20分の全校礼拝や週に1回の「沈黙の礼拝」は、自らの“内なる光”に気づく機会でもある。また「Small is beautiful」をモットーに、創立当初から少人数制主義を守り、1学年3クラスの規模とし、生徒の特性と個性を理解した教育を実践。全員参加の自治会活動を行うなど、広い意味での奉仕の精神と国際性にも力を入れている。伝統ある「小さな名門校」でファンも多い。
学園内に木々や草花が植えられ、都心とは思えないほど静か。赤い屋根、広いベランダが人気の校舎はモダンだが、机と椅子と床は木製で、自然のぬくもりを大切にしている。視聴覚設備を完備した音楽教室、蔵書3万冊の図書館、講堂など、施設は十分。山中湖には寮がある。2006年、新校舎が完成。
基礎をていねいに身につける面倒見の良いカリキュラムが特徴。英語は中1から週6時間。うち2時間の英会話はクラスを2分し、外国人教師による指導が行われる。中3~高3の英・数、高3の古文では習熟度別授業を実施。中3英・数・国の補習が夏休みにあるほか、高校では大学入試対策を中心とした補習が放課後や長期休暇中に行われる。中3では、進路選択のために各界で活躍する卒業生から体験談を聞いたり、夏休みには興味ある職業について内容を調べ、職場訪問で、実際に取材をしてレポートを作成する。高2から選択授業を豊富に取り入れ、高3では演習が増え、理系進学をはじめ幅広い進路に対応。大学合格実績では堅実な成績を収めている。
生徒同士の交流は家庭的な雰囲気。学校生活、クラブ活動においても温かさを生んでいる。クリスマス礼拝、収穫感謝礼拝など宗教行事のほか、ネイティブスピーカーの先生や留学生と英語で対話をしながら昼食をとる週1回のイングリッシュ・ランチ、山中湖寮でのイングリッシュ・キャンプなど英語を楽しく学べる行事が多い。高1・高2の希望者が参加するジョージ・フォックス・ツアーはフレンド派の原点をたどるイギリス研修旅行。学校にはフレンド派に属する世界の識者や有名人が毎年のように訪れ、生徒たちと語り合う機会も多い。生徒会はじめ16の委員会があり、生徒はいずれかに全員参加。クラブは中高合わせて文化系11、体育系9ある。03年、中学制服をボレロからブレザーに変更。