
サレジオ学院中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「与えられた情報から、図などを作ってわかりやすくし、答えを導き出す問題」
小川先生 ここに取り上げた6つの生き物はなじみのあるものばかりです。それぞれの生き物がどんな特徴をもっているかということは、小学生ならばおそらくよく知っているでしょう。たとえばチョウやクモは背骨のない生き物、それ以外は背骨のある生き物。ヘビやチョウ、カエルは変温動物ですが、イタチやフクロウは体温がほぼ一定の生き物。カエルは水中に卵を産みますが、ヘビとフクロウは殻のある卵を陸上に産む…など、知識的なことはよく知っていると思うんです。ただ、これをダイレクトな形で出すのではなく、1~6の情報を与えることによって、全体の関係をつかむことができるかなということを、前半で聞いてみたということですね。代表的な方法としては、「食べる生き物」から「食べられる生き物」を矢印で結んで、図を作ってみるのがよくある方法です。

小川先生 このように、自分で工夫した方法で全体像がつかめていれば、次の問題(掲載した問題)にも生かすことができるつくりになっています。後半の問題(掲載した問題)では与えられた情報を読み取り、活用する力を求めています。さらに次の問題では、グラフや表からデータを読み取り、計算する問題を出しました。与えられた情報を活用する力は、入学後、実験や観察で得られたデータから論理的な結論を導き出すうえで重要になりますので、こうした問題は毎年出題しています。

理科/小川 智彦先生
「日頃見ない生き物は、正答率が低かった」
小川先生 正答率ですが、前半の「A~Fの生き物は何でしょうか」という問題は71.1%でした。よくできていたと思います。後半の問題(掲載問題)は88%。とてもよくできていたと思います。ただし、個別の正答率は、Aが83.0%、Bが61.0%、Cが90.9%、Dが64.6%、Eが83.9%、Fが43.1%と、けっこうバラツキがあることがわかりました。なぜ、このような結果になったのかは、先ほどの表に正答率を重ねてみると、非常によくわかります。

小川先生 このように、クモ、チョウ、カエルの正答率は高く、お互いの関係をよく知っている人が多いけれども、ヘビ、イタチ、フクロウの関係は難しく、正答率は低かったんですね。ヘビ、イタチ、フクロウの正答率が低くなることは、問題を作る時にある程度、予想していました。だからこそ、より一歩、好奇心をもって踏み込んでいるか、関心をもっているかを試させていただいたということですね。ヘビ、イタチ、フクロウは日頃あまり見ないですし、なにがなにを食べているかということに関心がないとわからないことではないかなと思います。
「受験生の解答から、ある程度どのように解いているかがわかる作りをしている」
小川先生 生き物の「食べる-食べられる」の関係は、「食物連鎖」と呼ばれているんですね。ですからお互いの関係を直線的にとらえている方が多いのですが、1~6の情報を読んでいただくとわかるように、実際にはある生き物が複数の生き物に食べられていますし、また別の生き物は複数の生き物を食べているわけです。つまり実際のつながりは網目状になっているため、これを「食物網」と言います。もちろんこの言葉を知らなくてもこの問題は解けます。
後半の問題の正答率が高かったことから、十分に図は書けていたのではないかと考えられます。答え方で、ある程度、類推できます。計算も間違えた部分を見れば、どこで間違えているのか、わかります。逆にいえばそういう作り方をしているということになります。
広報ご担当/長岡 洋一先生
「入試問題は日常生活にころがっているような出来事や話題から作りたい」
小川先生 入試問題の素材は、単に教科書的なことがらではなくて、日常生活にころがっているような出来事や話題を出発点にして、作ることができたらいいなと考えています。去年の問題では周期ゼミの話を取り入れさせてもらったのですが、素材と出合った時に、セミは小学生にとって身近ですよね。ここから問題を作ることができたらおもしろいなと思いました。
また、これは私が作った問題ではありませんが、去年の問題にスペースシャトルでろうそくが燃焼した時に炎はどのような形になりますか、という問題を出したんですね。スペースシャトルは小学生にとって身近で、興味もあると思うので触れていると思うんです。そこから一歩踏み込んだところまで気をつけているかなというような作り方になっていると思います。
インタビュー 1/3

ドン・ボスコ(1815年北イタリア生)が設立したサレジオ修道会が、1960(昭和35)年に目黒サレジオ中学校を創立。75年に川崎市鷺沼へ移転。89(平成1)年にはサレジオ学院へ改称。95年に港北ニュータウンに新築移転を果たす。大阪星光学院もサレジオ会により創立された姉妹校。
港北ニュータウン内に位置し、校地は約4万8千平方メートルの広さに及ぶ。そのなかにグラウンド、テニスコート、体育館、サブ・グラウンドを配するなど、校地の大半以上を充実したスポーツ用地が占め、大きな魅力のひとつとなっている。ほかにチャペル、ドン・ボスコシアター、サレジオホール(食堂)などの施設がある。
少人数の家庭的な雰囲気のなか、キリスト教精神に基づく情操教育を実践。週1時間の宗教の授業(中1は2時間)「朝の話の放送(人生の道しるべの話)」「カテキスタ(倫理・宗教教育を担当する人)」によるカウンセリング、生徒が自分らしく、いきいきと過ごせるコミュニケーションルームの設置などを通じて豊かな人間形成を目指す。
中学では学習姿勢を養うことを重点におくが、高3ですべての教科で演習中心の授業ができるようなカリキュラムを構成。特に英語は『プログレス』をBOOK4まで使用。中学の英会話も2分割授業を行う。高1までは4クラス編成、高2から文理分けし、6クラス編成として1クラスの人数を減らし、きめ細かな指導をする。補習は中学では英・数を中心に必要に応じて実施。夏期・春期講習は指名制・希望制で行い、高2・高3では約1週間の勉強合宿もある。大学受験も学校の授業だけで十分対応できる体制を整えている。
サレジオの基本方針「アッシステンツァ(ともに居ること)」のもとで明るく家庭的な校風が築かれてきた。学校行事は多彩で、四季折々のプログラムが用意されている。特に感謝祭、慰霊祭、クリスマスの集いは学校の個性が表れる。そのほか林間学校(中1)、スキー教室(中2)、研修旅行(中3)、ホームステイ(中3卒業後、希望制)、文化祭、秋季校外学習、マラソン大会など。クラブ活動は文化部6、体育部9、同好会4あり、活動は週3日。中学テニス部は2年連続全国優勝の快挙を成し遂げた強豪だ。独特なカテキスタは、サレジオ会員を中心とする先生のグループで、宗教の時間などを通じて生徒の心のケアに対応している。