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シカクいアタマをマルくする。

出題校にインタビュー!

2010年 駒場東邦中 【社会】

駒場東邦中の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.「なぜ」「どうして」を考えながら学習する習慣をつけよう

「3つの市の特徴は資料から読み取ればよい」

田中先生 受験生は数年かけて基本的な知識を習得します。入試ではそれを単純に聞くだけでなく、もっている知識を土台にして思考力や論理力を試したいと考えています。この問題は、初見の資料から読みとった情報と、自分がもっている知識を組み合わせて論理を構成する力を見極めました。

2010年の入試問題は「新潟市」に特化して出題しました。歴史や地理、公民それぞれの視点から、新潟市という地域を立体的にとらえようという構成です。ですから産業についても多角的にとらえるために、工業だけでなく農業についても考えてもらおうと、このような資料を取り上げました。

堤先生 この問題の第一印象として、「新潟市について知らないと不利ではないか」と思った受験生がいたかもしれません。けれど、よく読めばわかるように、新潟市について特別な知識が必要な問題は出していません。米どころであることくらいは知っていてほしいと思いますが、それはリード文に書いてあります。田原市や都城市についても同様です。3つの市の特徴は、この資料から読み取ればよいのです。

特別な知識を知っているかどうかではなく、小学校で学習してきた知識を土台にして、なぜこのような結果になったのかを考えます。ほかの市と比較することで視点が広がり、特徴がはっきりしてくるでしょう。

社会科広報担当/田中 大喜先生

社会科広報担当/田中 大喜先生

「記述問題の出来具合が合否の鍵を握る」

田中先生 記述問題はこの問題も含め、合格者と不合格者で出来具合に差がついていますが、正答率はあまり高くありませんでした。これが最後の問題だったことや、ほかの記述問題が難しかったために、時間に余裕がなかった受験生もいたのではないかと思います。ただ、そのわりには手がつけられていたので、比較的取り組みやすい問題だったかもしれません。記述問題のなかでは正答率はよい方でした。

「近いことがなぜ有利なのか、踏み込んで考えよう」

堤先生 花き栽培が盛んな田原市が新潟市よりも有利な点は何か。資料のどこに着目するかというと、ひとつは「人口100万人以上の都市までの距離」です。田原市が「大都市までの距離が短い」ことから、鮮度が品質を左右する花き作物を短時間で輸送できること、輸送費用も少なくて済むことが有利な点として挙げられます。

あるいは、「農業産出額」と「耕地面積」「農業就業者人口」に着目すると、「面積や労働力に対して生産額が高い」ことがわかります。したがって、花き作物は収益率が高い点で有利であるといえます。

多くの受験生は大都市までの距離に着目しました。ただし解答は「大都市まで近いので有利」という言葉足らずの説明が多かった。これでは「なぜ」有利なのかわかりません。

例えば、大都市までの距離が近ければ地価が高くなり不利に働くことがあるかも知れません。有利か不利かの理由として「大都市に近い」だけでは不十分です。

「なぜ」というところまできちんと書けている受験生は、予想より少なかったですね。「輸送費用が少ない」、あるいは「新鮮なまま運べる」のどちらかを取り上げていれば、有利であることがわかりますが、どちらも書いていない解答が目立ちました。大消費地に近いことがなぜ有利なのか、理由をもう一歩踏み込んで考えられたかどうかが正解のポイントです。もちろん収益率の高さの方に注目した論理的で適切な答案も少数ながら見られました。

日ごろの学習では、断片的な知識を増やすだけでなく、「なぜ」「どうして」ということを考えて学習してほしいと思います。

社会科広報担当/堤 茂樹先生

社会科広報担当/堤 茂樹先生

「記述問題は要点を的確に説明できる力を鍛えよう」

堤先生 10年くらい前から記述問題を増やしています。この間、紆余曲折がありましたが、この2、3年は記述問題が多いことがはっきりわかると思います。

田中先生 その間、記述力が向上しているかというと、まだ実感はありません。日本語として意味が通じなかったり、因果関係がおかしいと、どうしてもスムーズに読めません。読み手に伝わらなければ「わかっていない」と判断します。要点を的確に説明できるようになりましょう。

知識があるために、余計な知識を加えてしまってわかりにくくなっているケースもあります。設問の要求からずれてしまえば誤答と判断されます。もっている知識を総動員しようという姿勢はよいのですが、その場合、知識を適切に取捨選択して使う必要があります。

「あいまいな知識では論理に“スキ”ができる」

田中先生 本校の入試問題では、自分がもっている知識と与えられた情報を結びつけて考える力を試しています。それは選択問題でも問うことができますが、あえて記述させるのは、自分の言葉でどのように答えられるか、受験生の論理的思考力を試したいからです。

堤先生 選択肢があるとあいまいな部分を補えますが、記述問題はそうはいきません。穴埋め問題でも語群の有無で正答率はずいぶん違うと思います。とくに今回の問題のように「なぜ」ということを考えさせるには、記述問題が適しています。選択問題の場合も、選択肢の文章中に正解の理由を見つけられるかどうかということが大事です。

駒場東邦中 先生

「試験時間を長くして思考力を試す」

堤先生 2005年入試から試験時間を長くしたのは、考える力を見極めるためです。社会科と理科は30分から40分に、国語と算数は50分から60分に長くしました。

田中先生 入学してきたお子さんをみて感じるのは、圧倒的な知識量はあるけれど、じっくり考える姿勢が足りないということです。入試問題をとおして、考える力の必要性をメッセージとして発信しています。

非常に懸念しているのが、リード文をよく読んでいない受験生が多いことです。よく読んでいないから、途中で「これだ」と早合点して思いついたことを書いてしまう。リード文には解答のヒントがあります。慌てず、一旦立ち止まって考えてから書くという姿勢で取り組んでほしいと思います。

「知識量を問うのではなく、掘り下げて考える問題を出す」

堤先生 学習指導要領の改訂で学習内容が増えたからといって、やみくもに知識を聞く問題ばかりが多くなっては、“受験のための学習”に陥ります。本校では、学校で学習した知識を使って思考を掘り下げていく姿勢がどれだけ育まれているかを問える問題づくりを心がけています。たとえば、都市と産業の関係はどうなっているのか、どんな要素が関係しているのかということです。「なぜ」「どうして」を考える習慣をつけてほしいですね。以上のような方針は、本校の教育方針から導かれています。私たちは、様々な人々と関わりながら自己の人生を大切に歩んでいくための備えとして、社会現象に関心を持ち認識を深めていくための足掛かりとなるべき基礎教養の習得を、中学高校時期における重要な課題の一つだと考えています。

本校では、建学の精神として「科学日本を築きあげ、人類の福祉を高める仕事に活躍できるような、立派な人材を養成すること」を掲げており、自然科学系の専門職志望者が比較的多い傾向にありますが、たとえどのような職業に就くにせよ、視野の拡充を心掛け、自らの営みを社会との関係性の中で適切に位置づけていこうとする姿勢とそのための教養を身につけておくことは、社会の中に責任ある一翼を担っていくうえで大切な条件です。一人一人の生徒がそのような課題に応える手助けをするために、様々な社会条件を考慮しつつカリキュラムは構想されています。そうしたカリキュラムに主体的且つ合理的に取り組んで実りある中学高校生活を送って頂くためにどのような学習をしてきて頂きたいか、そのことが出題方針の根底にあります。

インタビュー 1/3

駒場東邦中学校

駒場東邦中学校1957(昭和32)年4月、東邦大学の理事長であった額田豊博士が、当時の名門・都立日比谷高校の校長を辞められたばかりの菊地龍道先生を招き、公立校ではできなかった夢を実現させるため、現在地に中・高を開校。71年に高校募集を停止し、完全中高一貫教育の体制が確立した。2007(平成19)年に創立50周年を迎えた。

神奈川、東京のどちらからも通学至便で、東大教養学部もすぐ近くの都内有数の文教地区に位置。300名収容の講堂、5万5千冊の蔵書を誇る図書室、9室の理科室、室内温水プール、トレーニング室、柔道場、剣道場など申し分ない環境が整っている。職員室前のロビーには生徒が気軽に質問や相談をできるよう、机やイスを設置。

先生、生徒、父母の三位一体の教育を軸に、知・徳・体の調和のとれた、科学的精神と自主独立の精神をもった時代のリーダーを育てることを目指す。年間を通じて行事も多く、とくにスポーツ行事などでは、先輩が後輩の面倒をよく見る「駒東気質」を培う。中1では柔道・剣道の両方を、中2・中3はどちらかを履修することになっている。

2004年から中学校では1クラス40名、6クラス編成に。「自分で考え、答えを出す」習慣を身につけながら、各教科でバランスのとれた能力を身につけることが目標。英・数・理では特に少人数教育による理解の徹底と実習の充実をはかっている。中1・中2の英語と理科実験は分割授業。数学は中2(TT)・中3(習熟度別分割)・高1と高2(均等分割)の少人数制授業を行う。英語は、深い読解力をつけるために中3~高3までサイドリーダーの時間を導入。さらに高3ではネイティブ指導のもと自分の考えを英語で表現するコンプリヘンシブ・クラスなど独特の指導も展開している。読書指導も本校独自の「読書生活の記録」を各人に持たせ、積極的に行っている。文系・理系に分かれるのは高3になってから。補習は中学生は指名制、高校生は希望制の夏期講習を実施する。

濃紺の前ホック型詰襟は、いまや駒東のトレードマーク。伝統的に先輩・後輩の仲がよく、6月初旬の体育祭では全学年が一丸となって燃える。中学では林間学校・水泳大会・全校マラソン大会など健康な体をつくるための行事が盛りだくさん。高校生になると体育祭などで中学生を指導してリーダーシップの育成をはかる。クラブは同好会を含めて文化部26、体育部17があり、中高一緒に活動。放課後の校内は活気であふれる。軟式野球部・アーチェリー部・囲碁部・将棋部など全国大会に出場したクラブも多い。アメリカ・イギリスへの短期留学制度もある。

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