
大妻中野中の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「ごはんや卵焼きは何でできているか」
理科というと暗記科目ととらえられ、とくに中学入試の生物分野は知っているかどうかの問題になりがちです。本校では、与えられた情報を読み解く力や、論理的に思考する力を試す問題づくりを心がけています。
消化の問題というと、「胃で消化される栄養素は何ですか?」というように、知っているかどうかを試す問題が“定番”です。これでは受験生が「暗記すればよい」と思ってしまうのも当然でしょう。解いていておもしろみがないし、受験生全員が正解してしまいます。
この問題では、食べ物が消化される順番を、お弁当のおかずやおやつといった受験生が実際に口にするもので考えさせました。食事のときに学習したことと結びつけて、「ごはんは何でできているのだろう?」という疑問が浮かぶようであってほしいですね。
これまでの本校の入試問題からするとかなりの“冒険”でしたが、楽しみながら取り組んでもらえたのではないかと思います。入試は学習したことを試す場ではありますが、入試問題を通して生活が楽しくなるような要素を取り入れたいと考えています。
理科/川井 ゆか先生
「理科で習ったことも、家庭科で習ったことも同じ」
正答率は7~8割と高く、子どもたちの食べ物への興味・関心が高いことがわかりました。
選択肢に挙げた食べ物は、小学生がよく食べていて、どちらかといえば好きなものを選びました。はじめは「ショートケーキ」を選択肢に入れていましたが、イチゴはどうとらえればよいか、また栄養素がわかりにくいのではないかということで外しました。紛らわしいものは除き、明らかに「この栄養素が多い」ということが小学生でもわかる食べ物を取り上げました。
栄養素については小学校の家庭科でも習っています。同じことを違う角度から学習しているのですが、子どもたちの頭の中では、「理科の知識」と「家庭科の知識」として別々にインプットされています。
授業で「三大栄養素とは何か?」という質問には答えられるけれど、「炭水化物とは何か?」と聞くと、答えに困ってしまいます。知識はあってもつながっていなければ、うまく活用できません。知識量がある程度増えてきたら、知識と知識を結びつけてアウトプットする訓練も必要です。
「『消化する場所』と『消化管』の違いは?」
この問題はよくできましたが、「消化する場所はどこからどこまでか」という問いで、「大腸まで」「肛門まで」という誤答が思ったよりも多くありました。消化とはどういうことか、正しく押さえられていなかったのでしょう。「消化管」は口から肛門までですが、「消化する場所」と「消化管」を混同したと思われます。
ただし、「食べ物が消化されることとはどういうことか」を聞いた選択問題は、ほとんどの受験生が正解しています。それにもかかわらず間違えたということは、知識をうまく引き出せていないか、別の角度から聞かれてわからなくなったと考えられます。
後者は女子にありがちな間違えるパターンです。表現は違っても同じことだと気づけるように、多面的に物事を見ることができる力を早く身につけさせたいと思っています。
理科/川井 ゆか先生
「物理と化学は出題する単元をあえて指定」
生物に比べ、物理や化学の問題は平均点が下がります。女子はどうしても物理と化学が苦手な傾向があります。高校で、化学の計算問題が苦手だから化学を避けて生物を選択したけれど、呼吸商を求めるのにモル計算が必要とわかると、生徒のやる気がしぼんでしまうのがわかります。
ただ、物理と化学を抜きにして科学の土台は築けません。大問3題のうち、物理と化学はそれぞれ必ず出題すること、残り1題は生物か地学のどちらかを出題することをあらかじめ告知しています。
たとえば、2010年の第1回入試は、物理は「電流のはたらき」から出題するというように、単元を指定しています。そこまでするのは、それだけ物理や化学を勉強してほしいという強い思いがあるからです。出るとわかっていれば取り組み方も違ってくるでしょう。その甲斐あってか、受験生のがんばりがみえるようになりました。
「お手伝いをしている生徒は実験上手」
最近、お手伝いをしていない生徒が増えていると感じます。中学ではあまりわかりませんが、高校生は実験器具の洗い方を見れば、家庭で洗い物をしているかどうかは一目瞭然です。テストの成績はよくても実験で手が動かない生徒は、大概家庭でお手伝いをしていません。
小さいころから家庭でお手伝いをすることをお勧めします。家事、とくに料理は段取り力を鍛えるのにうってつけです。次に何をすればよいかが予想でき、要領よくこなせるようになります。すると、指示待ちではなく自ら行動できるようになります。
実験の様子を見ていると、予想できない生徒が多い。たとえば、土の中の小動物をあぶり出すのに、実験用の白熱灯ランプを使って簡易的なツルグレン装置をつくります。ランプがちょうど生徒の頬の高さにあるので「注意して」と言いますが、熱い思いをしてしまう。「こうなったら熱い」と予想ができないので、ランプの傘の部分も熱くなることまで言っておかなければなりません。
想像できないというのは、経験が乏しいこととも関係があるのでしょう。中野区の小・中学校のプールに生息するヤゴを救出する活動に参加したときも、どれがヤゴかわからない。理科以外の教員もわからなかったのですから、それだけ身近に自然を感じにくい環境なのかもしれません。
インタビュー 1/3

1941(昭和16)年、佐藤奨学学園・文園高等女学校として設立。71年に大妻女子大学の傘下となり、大妻女子大学中野女子高等学校と校名を変更。95(平成7)年に中学を開設し現校名となる。2008年、高校募集停止。
「学芸を修めて人類のために」という建学の精神を掲げ、自分で考え、判断し、行動できる力をつけて、「人間としての自立」を目指し、「より良い社会の創造に貢献できる女性」「気品ある女性」の育成を教育目標とする。6年間一貫教育のなかでさまざまな視点と方法により知性と感性への啓発を行い、一人ひとりの個性と可能性が輝き出すまでじっくりと指導。学校生活のさまざまな場面で、先生と生徒、生徒同士の人間的ふれあいがもたれている。しつけ、情操、学力向上を一体としてとらえてバランスの良い教育を目指している。
中野駅からブロードウェイを通り抜けた先の静かな住宅地に位置する。音楽講堂、自習室、茶道室、3つの理科教室、EMセンター(CAIソフトと50台のPC)、セミナーハウスなど設備は充実。至近の杉並にもグラウンドがある。食堂はないが軽食の販売あり。2009年11月から新校舎建築に着工。竣工は2013年9月予定。
2005年から「進学重視型中高一貫大学付属女子校」へと転換。週6日制とし、2005年入学者からは高校からの進学者と混合しない完全中高一貫体制になる。6年間を3ステップに分けている。高2からは文系・理系に分かれ、それぞれの進路に応じた指導を行っていく。キャリアアップの上で欠かせない英語に多く時間を配当。中3・高1の理数系生徒と英語の成績が優秀な生徒を対象に、スーパーサイエンス講座・スーパーイングリッシュ講座を設置。放課後の補習・補講、卒業生チューターによる教科指導や進路相談など、フォロー体制も十分。読書指導やディベートなど、考える力・表現する力の育成を重視し、大学のAO入試受験にも積極的。難関大学への合格者は好調。医学部・理系の進学者も増えている。
新入生歓迎会から始まり、オリエンテーション、林間学校、文化祭、体育祭、オペラ教室など多彩なイベントが用意されている。夏休みに中2対象のカナダ短期留学、高1・高2対象のオーストラリア短期留学も実施される。クラブ活動は運動部11、文化部19あり、なかでも合唱、吹奏楽、書道部などは全国コンクールで授賞の実績を上げている。情操や礼節面の教育に力を入れており、中学の道徳の時間にはピア・サポートのほか、中1・中2で華道・茶道を学習。家庭との連携・協力を重視し、定期的に父母会を催す。カウンセリングリームも設置。制服は、中学がセーラーで、高校はブレザー。