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シカクいアタマをマルくする。

出題校にインタビュー!

2010年 茗溪学園中 【算数】

茗溪学園中の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1. アタマが柔らかく自由な発想ができる小学生だからこそ出題できる問題を!

「世の中で必要とされるのは問題を自分で認識し、それを解決していく力」

関根先生 私はもともと古代エジプトのリンド・パピルスを読むのが好きで、普段から親しんでいるものですから、題材として活用することは自然なことだったのですが。

日常的に行われている数学というのは、例えば算数の段階ですと教員が教えて、やり方を理解して、それを解いて、正しい答えが出てよかったね、ということになると思うのですが、これからの世の中で必要になってくるのは、問題を自分で認識し、それを解決していくということですよね。文章を読んでその現象を正しく理解できることがとても大切なのですが、今、高3を教えていても、その部分に問題点を感じることが多いので、そこを解決していきたいという気持ちがあります。

そんな時に扱えるものはなにか。小学生対象となると難しいんですよね。古代エジプトは、現代を生きている子どもたちにとっては大昔の話なのですが・・・。その頃の人たちもこのように考えて、このように処理していたんだと。そういうことから自分たちの日常に結びつけていってほしかったのです。

この問題を作るにあたり、難しかったのは答えがいくつもあるということです。最初に何等分するかがスタートラインになると思うのですが、その部分に個々の考え方の多様性が出るのかなと。ですからどれでもいいということにしました。

数学科/関根 博先生

数学科/関根 博先生

「受験生はこちらの求めているものに応えてくれた」

正答率はいかがでしたか

関根先生 最後の問題だったので、そこまで到達できていない子もいたと思うのですが。2問出題して、1問目(7分の2)は多くの受験生が解答していました。2問目(5分の4)は分子が4になっていますよね。ここはちょっと難しくしたところなのですが。2問目の正答率はだいぶ低かったです。

「4分の1+28分の1」と答える受験生が多かったですか。それとも特に差はなかったですか。

関根先生 パーセンテージでいうと「4分の1+28分の1」が圧倒的に多かったですが、そのほかの解答も多々ありました。最後の「126分の1」という答えも数人いました。

最初の7等分まではどれでもOKという心積もりをしていて、どんな解答が出てくるか、こちらも楽しみにしていたのですが・・・。自分で考えて解決するという、私たちの求めているものに対しては、結構応えてくれたのではないかなと思っています。

2問目は4本に増やすことができなかったと思うんですよ。分子の2が2本分に相当しているというのが読み取れていないという感じがしたのと、時間的な問題(最後までたどりついていない)があったのではないかと思いますね。

「この問題に取り組み、正答まで至った子は1割弱」

1問目は問題文と同じ流れでできるんですよね。でも、2問目は・・・。

関根先生 2問目は発展させなければならないので難しかったと思います。ただ、分母を小さくしたんですよね。

ここまでたどりつかない子がいますので。また、最初からここはやらずに、その他のところで勝負しようという子もいますから。受験生全体でどれだけの子ができたかというのは計り知れないのですが。この問題に取り組んだ子で正答まで至った子は1割弱くらいだと思います。

普段、子どもたちの親しんでいる分数の式の形は計算問題が多いので、ある分数を分解するのは初めての経験という子も多く、格闘したかもしれませんね。

関根先生 まあ、エジプトの人はその時代にとらえていたわけですけどね。7倍を作るにしても1つのものに、その2倍、4倍を足して・・・という考え方なので。

茗溪学園中

「頭が柔らかく、自由な発想ができる小学生だから出せる問題」

ここで単位分数という言葉を出されなかったのはなぜですか?

関根先生 小学生に単位分数という言い方をしても、「単位」という発想自体を概念としてもっていないと思うんですよね。大切なのは、やはり身近に感じてもらうこと。単位分数と言った段階で本質から離れるじゃないですか。小学生というのは、本質的なところを自分の経験などからしかとらえられないので、あえて難しい言葉はさけて、親しみやすい表現を心がけました。「古代エジプト」だったら嫌悪感を示す子はいませんが、「単位分数」だったら嫌悪感を示す子がいるわけですよね。また、どちらにしても説明は必要で、受験生は単位分数を理解しようと違うエネルギーを注ぐことになります。最後の問題でそれは痛いなぁと思いました。

頭の柔らかさという面では、自由な発想の面をもっているのが小学生。これがだんだん消えていくんですよね。中学1年生はまだそれが残っているので、例えば関数の問題をやらせたとしてもいろいろな解き方、いろいろなアプローチの仕方を考えてきたり、ずるい子は測ってきたりね(笑)。関数なのに測るかという。絶対高校生はしないですよね。

そういう意味では、この問題は中学受験だから出せたということになりますか?

関根先生 そうですね。頭が固くなってからではおもしろくないかもしれないですね。小学生だからできるということですよね。

うちの場合は日本の塾などに行ってない海外生も受験するものですから、そういう子どもたちも同じ土壌で戦える問題が望ましい。この問題は塾に行っている、行っていない、日本の教育を受けている、受けていない、そういうことが全く関係なく取り組んでもらえる問題。そういう意図もあるんですよね。

「間違えている答えのほとんどが、計算上の間違いだった」

海外生の方たちの割合はどのくらい?

関根先生 だいたい2割弱くらいです。

この問題に対する手応えはありましたか。

関根先生 そうですね。多様性は見られたと思います。

印象に残っている解答はありますか?

関根先生 間違えている答えのほとんどが、計算上の間違い。7分の2にならないという・・・。

必死に分けていくうちに混乱してしまったんでしょうかね。

関根先生 2回めに、半分にした半分は4分の1だということがわからなくなってしまった。それをまた半分にしたから2分の1だというふうに思ってしまって、それを足して出した解答が多かったですね。全体に対する割合になっていない。1本のカステラという観点で見てないということでしょうね。

単位分数はどんどん部分に移行していくので、部分に目がいってしまうともともとのものに対してどうだったのかというところがあやふやになってしまうと思うんですよね。

茗溪学園中

「考え方を書く欄には絵を描いて説明する子が多かった」

この問題では式や考え方も書く欄がありましたよね。

関根先生 考え方を書く欄がありました。言葉で説明している子もいましたが、ほとんどは絵でしたね。で、「ここ」とか書いてありました(笑)。

3分の1、その次が5分の1になってしまう。絵はちゃんと書けているのに、答えは合っていないという子が見られました。

途中を見ての加点はあったのですか。

関根先生 この問題に関しては、どういう考え方をしたのか見たかったので欄は設けましたが・・・。答えが合っていないと点数はあげていないです。

この問題と合否の相関は見られましたか?

関根先生 それはあまり見られなかったんじゃなかったかな。

島先生 ただ、この問題ができている子はだいだいできていたんじゃないですかね。

関根先生 ここまで到達していること自体がね。だからこの問題が、というよりもここまで到達している子が点数を取れていた、というほうが正確ないい方かもしれません。

茗溪学園中

「算数の出題は計算、一行問題、図形・・・とパターンは定着」

算数の入試問題全体に話を広げていただいて、考えをお話いただけますか。

島先生 問いたいのは、小学校の学習をしっかりやっているかどうかということですね。特に計算力を重視していて、計算問題を10題出しているのですが、勉強をしっかりやっていればここは大丈夫だろうと思います。

2番はいつも一行問題をたくさん出していますけれども、ここではいろいろな知識を問い、穴はないかということを押さえていきたいのと、比の考え方ができるかどうかがポイントになっています。ここまではまじめに勉強した子たちがしっかり点数を取れる、そういう努力が報われるような出題を心がけています。

3番はいつも面積の問題を出しています。ここでは、はめ込んだり外したりしていると、「あれっ、うまくはまっちゃった」というようなものを好んで出しているところがありますので、できるだけ柔軟な見方をしてほしいんですよね。ここではどうやって解いているのかを見たいものですから、式や考え方を書かせています。式をポンと1つだけ書いてくる子はわかっているんだなと。逆に苦労して苦労してやっとたどりついている子もいる。あっこの子もがんばっている。気がつかなかったかもしれないけど、一生懸命やっている子もいる。そういうところがここから見られるというわけですね。

円周率でπを使えるともっと簡単にできてしまうのですが、3.14でやっていますので、ある意味では計算力も問う問題になっているのかなと思います。

4番はいつもだいたい関数関係の問題。毎年いろいろな場面を設定して出題しています。中学・高校では関数を理解するということがとても大事な力になりますから、その素養というか、関数的な考え方がどの程度身についているかを見させていただいています。何かとの関連を見ながら考えていくということですね。

最後の問題は、今年は古代エジプトの問題でしたが、そういうオリジナリティというか、あまり見たことがなさそうな問題を意識して出題しています。まるっきりオリジナルのものに対してどこまで迫っていけるか。時間が短い部分もあるのですが、試行錯誤して答えを導き出していくということをさせたいなということで、最後にはそういう問題を意識して出すようにしています。

茗溪学園中

「計算問題で工夫できるような子に入ってきてほしい」

問いたい力やバランスはだいたい固まっている中で、少しずつ問題を工夫されているということですね。

島先生 そうですね。

1番の計算問題はボリュームがありますよね。

島先生 これだけ計算がわーっと並んでいたら誰だって嫌になりますよね。それでも取り組める子、問題の中には工夫してみると簡単に解けるものも入っていたりするので、ただやみくもにやるということではなくて、工夫する余地というか、そういうことを意識できる子が入ってくれればいいなぁと思っています。

逆算を出される予定はないのですか?

島先生 それはあまり・・・考えてないですね。受験用の問題集にそういうものがたくさん載っていたりするのですが、方程式につながるものは置いといていいかなと。本当に単純なものであればいいと思うのですが、なかなか解けないようなものもあるんですよ。それはちょっと(受験生が)気の毒だなと思います。

文字を使うというのは、基本的に中学からしっかりやればいいことだと思っています。代数的な処理ですよね。小学生の場合は文字を使わないから□になっているということなんでしょうけど、その辺のところは難しいんじゃないかなと。やはり文字式を自由に扱っていくというのは中学で学ぶべきことで、それを小学生の段階で求めるべきではないと思っています。

それよりも柔軟な発想だったり、感覚だったり・・・、そういうものと、普通の計算力。なにかに気づいて、こうしてもいいかなと思った時に、実行する力というのが計算ですよね。

インタビュー 1/3

茗溪学園中学校

茗溪学園中学校1872(明治5)年創設の師範学校をはじめ、東京文理科大学、東京高等師範学校、東京教育大学、筑波大学などの同窓会である社団法人茗溪会が、1979(昭和54)年に中学校・高等学校を開校。以来中等教育批判に応える取り組みをする研究実験校として注目される。

知・徳・体の調和した人格の形成をはかり、創造的思考力に富む人材をつくることが教育理念。人類や国家に貢献できる「世界的日本人」の育成を目指す。自ら学び成長していく能力、Study Skillsを身につけさせる。通学生も短期の寮生活を体験するなど、共同生活を通じての人間形成を重視している。

筑波研究学園都市の最南端に位置し、広い校地にはグラウンド、屋外プール、テニスコート、バスケットコートなど体育施設も充実。全教室にプロジェクターが設置されているだけでなく、大教室や、天体ドーム、2つのコンピュータ室など、設備も機能的。近くに寮があり、約120名が生活。中学生は3~4人部屋、高校生は2~3人部屋。

生徒の将来を考えた教育構想から生まれた独自のカリキュラム。英語では外国人教師による少人数制の英会話などで語学力を強化。また、希望者は放課後に第2外国語として、フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語等を無料で受講できる。ほとんど全教科でコンピュータ利用の授業を実現するなど、情報教育にも力を入れている。中2~高3の英語・数学は習熟度別授業。高2から進路に合わせた選択履修となり、受験に向けた放課後の受験対策補習や夏期補習が本格的にスタートする。医学部など理系にも強く、海外の大学に進学する生徒も少なくない。

女子は剣道、男子はラグビーを校技として定め、冬には精神訓練のためそれぞれで寒稽古を行う。水泳が全学年必修で、高1の臨海訓練で4km泳ぎきることを目標とする。本物にふれる芸術鑑賞会、茗溪学園美術展、合唱コンクール、文化祭などは質が高い。学園内のいたる所に展示された生徒の作品を見ても、芸術への力の入れようがわかる。フィールドワークとして中1・中2はキャンプで観察や実習を行い、中3は京都・広島の研修旅行で日本の文化を訪ねて本格的な調査活動をする。高2ではオーストラリアで海外研修を行う。クラブ活動はラグビー、剣道、テニス、水泳、バトミントン、美術、書道、無線工学部などが活躍。昼食は中学生が食堂で全員給食、高校生は寮生は給食、通学生は給食またはお弁当で、お弁当は教室でとる。世界各地からの帰国生が全体の10%以上在籍している。

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