
桜美林中の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「理科の実験素材にはこと欠かない環境」
中学生の実験と高校生の実験、違いはどんなところですか。
柏先生 材料でいえば、中学生は身近なものを使います。中学生は化合と分解ですよね。そこに徹底的に細かいチェックを入れさせる授業が大事かなと思います。
物理も生物も、よく先生方と話すのですが、身近なものを使っていますね。生物だと中庭にあるものを使ったり。そういうことが大事だと思います。ですから、ニュースも含めて、素材は常に探しています。
杉本先生 光合成の実験などで、校内の葉っぱにアルミホイルがやたらとかかっている時があります。
柏先生 中1の生物などはそういう実験が多いですね。やってみないとわからないというところがありますからね。必ずしも教科書通りにはいかないですから、やってみて考えさせるということですね。
杉本先生 そういう意味では、ここは田舎なので、素材にこと欠かないんですよ。ちょっと外へ出れば畑や川がありますからね。
中学校教頭/杉本 きみ子先生
「中学では染色、高校では染色のもとを作るところから実験が始まる」
柏先生 高校生の化学では主に有機の実験をやっているので、例えば湿布のもとやにおいのもとを作ってみようとか。10数年前に、松茸のにおいを合成できるということが話題になりましたが、有機の実験でいろいろなにおいを作ってみようとか。バニラエッセンスのもととか、なしのにおいとか…混ぜるとできるものがあるので、そういったものとか。
あとは合成の染色ですね。染料をもとに作るという実験もやっています。中学校では染色で終わると思うんですよ。高校になると、染色のもとを作って、染色させて、それが綿だとうまくいくけれどもウールだとダメだとか。その科学的な根拠とは何なのか、ということを考察させ、レポートにまとめるかたちでやっています。
私の高3の授業がこの12月で終わるので、そういったレポートは11月から、空いた時間が多くなる1月、2月に集中するように、柏シフトができております。隙間を使わないと難しいですね。
「各教科が力を入れる中で興味のあることを見つけてほしい」
柏先生 今、入試も一般入試のほかにAOや推薦がありますよね。話を聞くと、プレゼンをやらなくてはいけないと。高校時代の実験を取り上げる時に、中和実験ではインパクトが弱いので、それはまずいという話をするのですが(笑)。推薦の生徒がいる時には、どういう実験をしてどういう失敗をしたかがわかるように、レポートを残しておくことと、湿布の実験や染色などをメインに話をしなさいということを指導します。さらに突っ込まれてもいいように、化学式や実験操作を覚えていきなさいという話はしますね。
それだけ実験をされていると、大学受験にも活用できますが、その先の高等教育につながった時に力が発揮されますよね。
柏先生 そこなんですよね。
杉本先生 どういう論理力で展開させるかという。そういう訓練ができるわけですよね。材料がいろいろ違ってきても、理系だけではなくて文系にも通じるところがあると思います。そういう考察する力、展開させる力というのは、ぜひつけさせたいと思っています。
高校から入ってきたお子さんは、びっくりされるのではないですか。
柏先生 高1は文型、理系、両方いますので、やさしめといいますか、実験レポートではなくて実験ノートを毎回書かせています。
杉本先生 各教科が激しく攻め合う中で、興味のあることを見つけてくれればいいかなと思っています。主要教科だけではなくて、美術や音楽などにも力を入れていますので。
柏先生 忙しい学校かなと思いますね。あれもこれもやらなければいけないので、遊んでいる時間がないかもしれませんね。他の教科もシフトを敷いているので、それにうまく乗って頑張ってくれれば東工大レベルまでいけるという感じにしたいなと思っています。
理科/柏 恭子先生
「部活を最後までやっていた生徒が受験でも力を発揮するケースが多い」
東北大を3人が目指すということは、かなり生徒さんが自信をもてるところまできているということですよね。
柏先生 5教科を中心に、高校の後半は勉強、勉強という感じが強かったと思うのですが、受験した生徒は野球部、サッカー部などで、部活を最後までやっていた生徒なんですね。中学で忙しく部活と勉強をやってきて、うまく時間の折り合いをつけられる生徒が受験でも力を発揮するケースが多いです。
杉本先生 吹奏楽なども高3の6月くらいまでは現役でやっているのですが、その後、切り替えて現役で受験し、早稲田あたりに入っています。
レールは敷いていますので、それに乗っかって生徒自身が主体的になれば、成果はついてくると思いますね。
基礎から始めて、高い力を身につけさせるということですね。
柏先生 文化部も、美術部、吹奏楽部、書道なども賞を取っていますし、残念ながら理科はちょっと人数が少ないのですが、いろいろなクラブが忙しく活動しています。
杉本先生 英語もクラブがあるのですが、授業で満腹になってしまって、なかなか入部に至らないという傾向もあり、運動部に流れています。中学生は9割、高校生は7~8割が部活に入っています。
「受験生のレベルに合わせて、問題を工夫していきたい」
入試問題に話が戻るのですが、先ほど、探究心や表現力という話をされていました。今後、入試問題でさらに踏み込んでいくといいますか、情報を読み取る力や考える力を問う問題、あるいは記述の問題などを増やしていこうというお考えはありますか。
柏先生 十分考えています(笑)。生徒たちの会話を聞いていると文章になっていないですよね。記号や言葉だけで済んでしまう傾向があるので、そういう問題を出すことはもちろん考えています。私の場合、難しい問題を考えてしまうので、他の先生方からストップがかかるケースが多いのですが…。それは化学だけでなく、物理、生物、地学でも出る可能性はあると思います。
作成者の意図はいろいろあると思うのですが、言葉や文章は正確にわかっていないと書けないですよね。記号はうる覚えでも選べます。問題は基礎なので、なるべく書かせる問題を出したいと思っています。
杉本先生 今までは基礎力を大切にしてきました。また、受験層を見ながら6割ということを考えていくわけですが、この頃少し受験生のレベルが上がってきましたので、理科だけではなくて、社会や国語などにも、もう少しボーダレスな問題や応用問題などを入れてほしいという希望は出しています。徐々に…ということですね。
「入試問題は学校の看板。力を問える問題を出していきたい」
柏先生 入試問題というのは学校の看板になりますよね。私も大学の入試問題を解くのですが、正直、手を抜いている問題はわかりますから。
杉本先生 麻布などのように、どのような論理力で展開されているのかを見るために、途中まででも…というような採点ができればいいのですが、それは難しいです。ただ、理想としては論理力の展開が見えるような問題になってほしいなと、私は思っています。
柏先生 それは永遠の課題かもしれませんが。初めて入試問題を作った時に、空気を液化するという問題を作ったんですよ。非常に正答率が悪くてですね、難しいのは当然なんですが、それを書かせるところまでやったので、うちのレベルだと厳しい問題になってしまったと思います。ただ、それに関係するような論述は、今後も1問、2問はないといけないと思っています。2010年はどうなるかわかりませんけれども…(笑)
持っていてほしい力を問える問題を出していきたいと思います。
「オープンスクールで人気の理科実験。小学生にとって楽しいものにしたい」
杉本先生 オープンスクールでは、マイナス200度の世界、液体窒素を使った実験が一番人気でして、予約が始まると午前中で満杯になります。
柏先生 私は染色をやっているのですが、目の前で変わるというのがおもしろいんですよね。
できる、できないは別にして、理科が単純に好きかどうかを聞くと、好きと言う子が多いですよ。実験も好きだし、授業で話しを聞くのも好きだというので、そういう気持ちをずっと持たせながら、中高、そして高等教育につなげていけると理科離れも解消されていくのかなと思います。
柏先生 長い道のりですけれども、続けたいですよね。
杉本先生 うちは主人が理系なものですから、子どもが二人とも理系に進んだのですが、お風呂の中で、手ぬぐいで風船を作って気圧の違いなどを見せると習ってきたことが実際になるわけですね。学校はそういう環境を提供しなければならないと思っています。
柏先生 日ごろバタバタしているので、この3学期に資料を集めて、4月からまた、いろいろなことに取り組んでいきたいですね。
これは私事なのですが、2010年に日本で行われる国際科学オリンピックの委員をやっていまして、イベントで小学生と交わる機会が増えたんです。小学生に実験をやらせるのはすごく大変でした。オープンスクールでは保護者の方が一緒で、教室でやるのでおとなしいのですが、博物館や科学館などで何十人かで実験をやると、たいしたことはやっていないのに注意や対応に非常に神経を使いました。
いやぁ慣れって大切ですね。今までは小学生にとってどんなことが楽しいのかもわからずに染色の実験をやっていたのですが、ああいうこともできる、こういうこともできる、とアイデアが湧いています。
理科/柏 恭子先生
インタビュー 3/3

キリスト教の伝道師であった清水安三・郁子夫妻が、中国の北京で最初に恵まれない子女のための学校を建てたが、終戦後日本に戻り、1946年に桜の美しい町田の地に桜美林中学校を創立した。校名はかって清水安三が学んだアメリカ、オハイオ州のオベリン大学から取ったものである。現在は、大学院までの総合学園となり、留学生も多く、多くの施設のあるキャンパスに発展している。
建学の精神は「キリスト教主義に基づいた国際人の育成」であり、他者のこころに共感し、共に生き、文化や意見の異なる人々と心を通わすことができる人格形成を目指す。新しくなったチャペルでの週一回の礼拝と毎朝のクラスでの礼拝を大切にし、一人一人が自分と向き合う時間としている。
自主的に学ぶ姿勢が身につくように、授業を大切にし、中学では学習指導部、高校では進路指導部が6年間一人一人の学習の向上を計っている。英語、数学における習熟度別のクラス、勉強合宿、高1からの選抜クラス、3教科の基礎力定着のための年5回のコンテストなどを通して、各人の夢が実現する力を養っている。その結果、最近は難関大学への合格実績が大きく伸びている。
中学3年からコリア語、中国語の講座もある。また外国人の教員が副担任やクラブの顧問をし、英語の授業の時だけでなく、日常的に異文化に触れるような環境になっている。中学3年での「オーストラリア研修旅行」は中学での英語教育の仕上げとして全員参加である。また高校2年では「平和学習」として沖縄に行く。姉妹校のあるオーストラリア、中国,韓国をはじめとする色々な国との交流も盛んに行われている。その他にも、林間学校、サマースクール、文化祭、合唱コンクールなど行事も盛んである。
クラブ活動は中学では吹奏楽部、ハンドベル部など12の文化部、野球部やテニス部など9の運動部があり、約9割の中学生が部活動に参加している。高校の野球部は有名であるが、文化部は高校と中学が合同で活動をしていて、年令の違う生徒間の親交もできている。
20歳の「卒業生による成人式」も今年で7回目になる。暖かい雰囲気の桜美林に戻り、共に礼拝を持ちオビリンナーとしての絆を深めている。
大きな吹き抜けのある校舎には、元気で明るい生徒の笑い顔が今日も満ちている。