
桜美林中の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「地球温暖化をキーワードに問題を作成」
柏先生 私の専門は化学なんです。A+BはCになる、D+EはFになるという、いわゆる直線の授業をやるのですが、できたものがいくつか出てきた時に、それらをつなげられなければいけないというのが常に頭の中にありまして…。地球温暖化をキーワードに、何かないかなと考えていた時に思いついたのがこの問題でした。点から線、線から面、平面から立体というように、つながりを意識して問題を作ってみました。
小学生の理科では、気体としては二酸化炭素、水素、酸素がメインに出てきます。二酸化炭素、地球温暖化…というように考えていくと、燃やすと二酸化炭素ができるものとして高校の授業でも非常に活用できる重曹が浮かびました。
例えば石灰岩に塩酸というのは、いろいろな中学でも出していると思うんです。卵の殻に塩酸をかけると二酸化炭素が発生するなど、単発の問題はよく出ていますよね。その単発を何かとつなげられないかなと思ったんです。連想ゲームではないのですが、二酸化炭素といえば重曹に始まり、ドライアイスもあるなぁと。そこで状態の変化も絡めて、このような問題を作りました。
理科/柏 恭子先生
「
の正答率が一番低かった」
この問題の正答率を教えてください。
柏先生
と
は9割、
は6割、
は一番難しくて、もう少し下という感じでした。ほぼ予想通りでしたね。中学生になると石灰水と重曹の分解をやります。小学生でどこまで知っているのかなぁと思ったので、ここは賭けだったのですが、
、
に比べると、やはり
は低かったかなという感じですね。
日能研としても
、
は9割くらい正答できると思うのですが、
、
は難しかったかもしれませんね。重曹や炭酸ナトリウムを加熱すると二酸化炭素が出るというのは、知識としてもっている子は当然もっています。日能研の授業の中でも触れることはあるのですが、水まで発生するというところまで子どもたちが踏み込んでいるかどうか。
柏先生 理科の実験教室などに行かれて、ベーキングパウダーを使って実験をしたり、料理をしたりしている小学生は、比較的「二酸化炭素」が出てくると思うんですよ。
そうですね。身近な場面で経験しながら理解をしていくのが理科だと思います。
「授業の中でも知識のつながりを重視」
中高生の授業の中でも、知識のつながりというのは意識されているのでしょうか。
柏先生 そうですね。導入で点と線を教えて、最後のまとめのところで線と線をつなげて…というカタチで授業を展開しているつもりなのですが、平面にばかり気がいってしまい、最初の基本を忘れてしまうとつながらなくなってしまうので、そこは気をつけて取り組んでいます。
入試の中でも、そういう問題を何問か出そうと意識されていますか?
柏先生 そうですね。
日能研でも、知識をつなげるということを授業の中で意識しています。例えば、単純に「二酸化炭素」というキーワードだけを出して、そこからどんどん言葉をつなげていくような授業をすると、分野を超えた、あるいは科目を超えたつながりやキーワードが出てくるんですよね。こうしてネットワークを作っていくと、あらゆる視点からものごとを考えられるようになるんです。ですから日能研の子供たちは、この問題に楽しみながら、学びながら取り組めたのではないかと思います。
理科/柏 恭子先生
「基本がわかっていれば解ける問題」
入試問題を作成するうえで、理科が大事にしていることはなんですか。
柏先生 まずは、基本に忠実であるということですね。確実に4分野から出題しています。短い試験時間ではありますが、小学校で学んだことがきちんと頭に入っているかどうかを聞きたいので、その方法を常に考えています。
40分にしては、問題数が多いほうではないかなと思います。ただ、難易度はそれほど高くないので、どの知識を引き出せばいいのかがわかりさえすれば、サーッと解ける問題だと思います。
空欄が目立つケースはほとんどないですよ。ある程度、回答数の限度は設けていますし、小学生が読んで書くというところまで考えて、記号ばかり、書かせる問題ばかり…ということではなく、バランスを考えた出題していますから。また、小学生は絵が1つあるかないかで正答率が変わるので、そういう意味では小学生に優しい問題になっていると思います。
「身の回りで起こっていることに敏感であってほしい」
入試に理科、社会を入れてからずいぶん経ちますか?
杉本先生 そうですね。2教科入試をまだ残していますが、ほとんどが4教科で受けてきていますね。
どのくらいのところを基準にしているのでしょうか。
柏先生 6割です。入試問題は理科の教員、全員で作るのですが、身の回りで起こっていること、現象というものに鋭くチェックを入れられているかどうかにポイントを置いて作っていると思います。周りの動きに鈍感になってはいけないと思うんです。
ここ最近、地球で起きていることを意識されて問題を作っているんだろうなということを感じさせる問題が、ここ数年続いているので問題を見ていておもしろいです。ちなみに、この問題の次、「メタンハイドレード」を問う問題の正答率はいかがでしたか?
柏先生 これは低かったですね。でも、5割ですね。
私としては冒険的な問題でした。高校生でも知らない子は知らないので「どうかな」とは思ったのですが、スペシャル的に入れました。
中学校教頭/杉本 きみ子先生
「学年の2割強から3割弱くらいが理系志望」
杉本先生 中学の校舎を建て替える時に、理科教育に力を入れようということで、高校生でも使えるような設備の整った理科実験室にしました。中高合わせて、5つの実験室があります。
中学の実験室にはメダカの水槽もあり、科学同好会がよく使っています。最近は女子でも理数系を志望する子が増えていますね。学校説明会に男子2人、女子2人の卒業生に来てもらい、話をしてもらったのですが、偶然にも女子2人は理系で男子2人は文系と聞いて、そういう時代なんだなと思いました。
最近は桜美林大学以外の大学に進学する生徒さんが増えていると思いますが、文理の比率はいかがですか。
柏先生 理系志望者は多いですね。ただ、高1から高2にかけて数学のテストなどもしまして、少しよく考えなさいという時期を入れるので、当初の希望よりは少し減るのですが、学年の2割強から3割弱くらいが理系です。
杉本先生 桜美林大学へ進学する生徒が10%、35~36人なんです。桜美林大学にリベラルアーツ群サイエンスコースなどはあるのですが、理系分野の学部はないものですから、外へ行く子が多くなってきていますね。
「理科の芽を育てる中学理科の夏の課題」
柏先生 中学から入学してきたお子さんは理系を志望する子が多いんです。夏休みの課題に重点を置いていて、質の高いものが出てきますから。
杉本先生 20年以上前から、理科と社会の宿題の中から優秀なものを選んで、毎年、「探究心」という本にしているのですが。課題の選択から、実験の進め方、レポートの書き方まで、いろいろと細かく提出させられて、合格しないと何回でもやり直しをさせられて、やっと研究に入れるという…。
柏先生 卒論ではないのですが、大学のゼミ活動のような形でやっているんですよね。
杉本先生 グループでやる場合もあるし、個人の場合もあるのですが、毎年、すごいことをやるなぁと感心させられています。生徒は「いじめだ」というくらい何度も指導されますので、かなりいい研究になっていると思います。
柏先生 乗っている生徒はいいのですが、得意ではない、あるいは面倒くさいことが嫌いな生徒にとっては、それこそ鬼のようだと思うんです。でも、「探究心」という題名のとおり、表現力の練習ですよね。自分で眼点を決めて、調べて、まとめるということが、私がこの学校に来る前から続いていて「すごい取り組みだなぁ」と思いますね。
桜美林中学から来る子は、高校でも実験に対して非常に積極的で熱心なんです。理科の芽を育てているという意味では、これが一番大きいと思います。
杉本先生 今年も2つの研究がサイエンスグランプリで優秀賞をいただきました。
インタビュー 1/3

キリスト教の伝道師であった清水安三・郁子夫妻が、中国の北京で最初に恵まれない子女のための学校を建てたが、終戦後日本に戻り、1946年に桜の美しい町田の地に桜美林中学校を創立した。校名はかって清水安三が学んだアメリカ、オハイオ州のオベリン大学から取ったものである。現在は、大学院までの総合学園となり、留学生も多く、多くの施設のあるキャンパスに発展している。
建学の精神は「キリスト教主義に基づいた国際人の育成」であり、他者のこころに共感し、共に生き、文化や意見の異なる人々と心を通わすことができる人格形成を目指す。新しくなったチャペルでの週一回の礼拝と毎朝のクラスでの礼拝を大切にし、一人一人が自分と向き合う時間としている。
自主的に学ぶ姿勢が身につくように、授業を大切にし、中学では学習指導部、高校では進路指導部が6年間一人一人の学習の向上を計っている。英語、数学における習熟度別のクラス、勉強合宿、高1からの選抜クラス、3教科の基礎力定着のための年5回のコンテストなどを通して、各人の夢が実現する力を養っている。その結果、最近は難関大学への合格実績が大きく伸びている。
中学3年からコリア語、中国語の講座もある。また外国人の教員が副担任やクラブの顧問をし、英語の授業の時だけでなく、日常的に異文化に触れるような環境になっている。中学3年での「オーストラリア研修旅行」は中学での英語教育の仕上げとして全員参加である。また高校2年では「平和学習」として沖縄に行く。姉妹校のあるオーストラリア、中国,韓国をはじめとする色々な国との交流も盛んに行われている。その他にも、林間学校、サマースクール、文化祭、合唱コンクールなど行事も盛んである。
クラブ活動は中学では吹奏楽部、ハンドベル部など12の文化部、野球部やテニス部など9の運動部があり、約9割の中学生が部活動に参加している。高校の野球部は有名であるが、文化部は高校と中学が合同で活動をしていて、年令の違う生徒間の親交もできている。
20歳の「卒業生による成人式」も今年で7回目になる。暖かい雰囲気の桜美林に戻り、共に礼拝を持ちオビリンナーとしての絆を深めている。
大きな吹き抜けのある校舎には、元気で明るい生徒の笑い顔が今日も満ちている。