
光塩女子学院中等科の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「あえて短所を聞きたかった」
西谷先生 中学生にもこうした政治の授業をしますが、「投票率の低下を食い止めるための対策を挙げなさい」という問い方はあると思います。また、長所を聞くというのもよくあるパターンで、学習なさっていると思うのですが。
どんな生徒にも一長一短がありますよね。短所があることを踏まえたうえで、長所を生かそうとする努力や工夫が社会でも求められていると思うので、あえて短所を聞きたかったというか。ひねっているわけではないのですが、ものごとには二面性があるということも受験生には意識していただきたいという思いもありまして、このような問題を作成しました。
また、3つのうち1つというと、決まりきった解答を導いてしまう、ということも念頭にありまして、2つを選ばせることにしました。
ですから、似通った解答を書いてしまうことは考えられるのですが、減点するよりも、主旨を理解し、自分の言葉で展開することができるか、できないか。仕上げようというスタンスで書いているかどうかを見せていただいています。
社会科/西谷 朋子先生
「
や
を選んで回答する受験生が多かった」
目立った解答パターンがあれば教えてください。
西谷先生 特にはなかったのですが、中学生になると、「罰しましょう」というような答えも結構出てくるんですよ。ところが小学生のみなさんは罰ではなくて、どちらかというと
や
を選ぶのが目立ったかなと。ただ、かなり分散していましたよ。これが特に書きやすそうだったというのはなかったですね。わりに自由に選んでもらえたのかなと思っています。
できるだけ、選んでもらえる要素を残そうというのは、社会科の教員、全体で話し合って決めました。「18歳から認めるか」とか。どの問いもまぁ、話題になっていますよね。政権交代したので、これからどの程度本気で進むかはわかりませんが・・・。話題にはなると思います。
受験生は手をつけていましたか。
西谷先生 そうですね。解答用紙に1行ずつ解答欄を設けました。スペースを見て、細かく書けという指示ではないということも伝わったようです。2つめが、選びきれないという子も中にはいたと思いますが、概ね皆さん、チャレンジしてくれていたかなぁと思います。
最近は、長い論述を出す学校さんも増えているようですが、書かない受験生が多いような印象があるので。やはり少しは書いてほしいなと。
「私たちが見たいのは、世の中のことを自分の言葉で表現する力」
配点は4点ですが、途中点は設けていましたか。
西谷先生 はい。採点者から見て意味が通じる、理解できる解答であれば点数はあげました。
完全解答になるためのキーワードのようなものは設けていましたか。
西谷先生 特には設けていないですね。意味があっているかどうかを重視しました。
全部読んで、意味が通っていれば○ということですか。
西谷先生 そうですね。学校説明会で申し上げたり、お渡しする資料にも書いたりしていますが、私共がぜひ見たいのは世の中のことを自分の言葉で表現できるかどうかなんです。ですから文章が幼くても、その人なりにとらえて、その人なりに表現してくれていれば○ですね。
社会科/西谷 朋子先生
「記述問題は読み取れるだけ読み取ろうという姿勢で採点」
出来具合はいかがでしたか。
西谷先生 おかしな答えは全くなかったです。ある程度抵抗なく考えてもらったかなと思いますね。ただ、「刑罰を与えるのはかわいそうだから…」というような答えでは主観になってしまいます。「なぜ、かわいそうなのか」までを書いてくれれば、心情としては理解できるので加点になります。
いろいろな意見があって、採点はおもしろそうですね。
西谷先生 そうですね。作る側は、いろいろな意見を聞きたいと思ってこういう問題を作ったのですが、採点する側は「こんな意見が出てきたらどうする?」ということをたくさん話し合って、意味が通じるなら、なるべく点はあげましょうということで採点しています。
なるべく加点というのは、この問題に限らず、記述問題においては同じでしょうか。
西谷先生 配点が少ない問題では難しい面もあるのですが、平たく言えば、読み取れるだけ読み取ろうという姿勢で臨んでいます。ですから、とにかく書いてみようという気持ちでチャレンジしていただきたいんですよね。記述が苦手でも、少しでも書いてみようという前向きな気持ちで取り組んでほしいですね。
間違えて、長所を書きそうな感じもありますよね。
西谷先生 たしかに、それはありましたね。
逆に、お見事!!というような解答はありましたか。
西谷先生 解答例にも使わせていただいているというか、近いものを挙げさせてもらっているのですが、
と
は特にそうですね。
短い解答欄の中に、きちんと書いてくれた子がいて、よく勉強してきているなと思いました。みんなの意思でその制度を採用したのではないという背景も理解していて、勉強してきたんだなというのを感じましたね。
「問題文や問いの文章から類推できるかどうかも見たい力」
社会科が入試問題で大切にしていることを教えてください。
西谷先生 一問一答形式がないわけではありませんが、それ以外の部分も聞いてみようという姿勢で取り組んでいます。問題文や問いの文章から類推する力も、できるだけ聞きたいと思っています。また、具体的な西暦年に特化した聞き方ではなく、幅をもたせて、この時代はこう、この時代はこう、では、どちらが先ですか?というような聞き方をしています。時代順は必ず聞きますね。歴史上重要な用語や人物も、登場する順番がだいたいわかっているかどうか。細かいものよりも、大局をとらえられるかどうかを見る出題を心がけています。
総合問題形式を取り入れられているのは、問題文を読んで類推したり、大局的な見方、理解度を試したいということですね。
西谷先生 はい。
中には考えさせる記述問題もあり、しっかり知識が身ついているかどうかを試される入試問題だと思います。
西谷先生 これがわかっていれば解けますよ、というヒントは、できるだけ盛り込むようにしています。
問題文や問いをきちんと読み込むことが大事になってくるわけですね。
西谷先生 そうですね。30分の試験時間ですが、毎年、平均点が7割を超えますので、みなさん、しっかり時間内に解いていらっしゃるという印象です。
社会科/西谷 朋子先生
「第三者に伝わる書き方ができているかがポイント」
光塩を受けるお子さんは、過去問などをやって、書くことには馴れているのかもしれませんね。
西谷先生 ここ最近、選ぶ問題を出しているのですが、そんなに抵抗はないようです。
重箱の隅をつつくような、知識を聞く問題はないですからね。
西谷先生 そうですね。それは、ある意味、排除するような方向で取り組んでいます。
表現する力というのは大事な力だと思います。長い文章でなくても、人に伝わる文章を書く。伝え方や、表現の仕方を工夫して、お友達ではなく、第三者に伝わる書き方が端的にできるかどうかを見たいと思っています。
あえて、短めの答えが出る問題を作っているのでしょうか。
西谷先生 まぁ、それもありますよね。複雑なことを何行にも渡って書かせるということは求めていないです。ただ、受験生の中には、解答欄からあふれるくらいたくさん書いてくれる子もいますので、それは受け入れています。書きすぎてもかまわないというスタンスですので、「何文字以内で書きなさい」という問題も、できるだけやめるようにしています。スペースを与えて、その中に収めてもらえればいい、あとは受験生の方にお任せしているということですね。
インタビュー 1/3

1931(昭和6)年、スペインを発祥地とするカトリック・メルセス宣教修道女会によって、かけがえのない自分に目覚めた女性を育てることを目的として、光塩高等女学校が設立される。47年に現在の校名に改称、高等科・中等科・初等科を設置。55年、幼稚園を設立した。2001年(平成13)に高校募集停止。
人間はすべて「世の光、地の塩」であるという真理が校名に刻まれているように、かけがえのない「自分」の存在に目覚め、惜しみなく己を他人のために開くことのできる人間に成長することを願う。年に数回個人面接があり、フランクに日頃思っていることを話し合う機会を設けており、教師と生徒、生徒同士、教職員同士の相互の「信頼感」に支えられた温かく密なコミュニケーションの雰囲気がある。生徒の真に主体的で、調和のとれた人格の発達を目指している。
白とレンガ模様を基調とした校舎は、施設拡充を積極的にはかったもの。地下には聖堂、体育館がある。校内は清楚で落ち着いた雰囲気。01年の校舎の増築では、体育館、図書室、コンピュータルーム、多目的ホールなどが完成。さまざまな教室が校内LANで結ばれた。四阿高原の山荘、900名収容でパイプオルガン付きのメルセダリアンホールも自慢。2008年に中学新校舎が完成。
1学年5~6名の教師が担当する共同担任制を採用している。一人ひとりの学力を伸ばすことを大切に考え、中学の英・数や、高校の英・数・理などでは習熟度別授業を実施。高2からは授業の4割を選択科目とし、生徒がそれぞれ自分の進路にあわせた時間割を組めるようにしている。小テストがこまめに行われ、漢字とスペリングは週1回、中1・中2の計算小テストは月1~2回ある。英語の教科書は『プログレス』を使い、高2までにBOOK1~5を使用。自分で考え、分析する力の養成も重視し、国語や社会では「書く」機会を多く作り、高2国語の教養演習ではディベートも取り入れている。難関大学への実績も好調で、理数系進学者は3割前後。
高3まで、週1時間、倫理の時間を設けている。クリスマスやミサなど、宗教的な行事のほかに文化祭、林間学校、中・高が合同で行う運動会、弁論大会などの学校行事やカトリック球技大会など他校との交流も幅広い。創立当初から奉仕の精神を大切にし、ボランティア活動が盛ん。クラブ活動は体育系7、文系11あり、中高合同で活動、学業と両立できるように、通常の1週間の活動日は2日以内。学校生活では、誠実で地道に努力することを評価する。外出については場合によっては保護者同伴であること、学校の帰途、無届けで制服のまま寄り道をしないことなどの規定がある。弁当持参が原則。パンの販売がある。