
頌栄女子学院中の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「授業では『なぜ』をじっくり考える」
授業では、できるだけ生徒自身に考えさせるように、考えるヒントを与えます。問題を解く作業は自宅でもできるので、授業ではなぜそのように解こうと思ったのかを考えさせています。
なぜそれをxにしたのか、教科書に書かれていないことを改めて「なぜだろう」と思うような投げかけをするように心がけています。難しい問題にチャレンジさせると、いままで学習したことを連動できる生徒もいれば、何を聞いているのか質問の意図をつかむことができる生徒もいるし、中にはユニークの発想も見られます。
数学嫌いにならない一番の方法は、「できる」という経験をさせることだと思います。つまずいたところで必ずフォローするなど、きめ細かく対応するようにしています。数学に興味をもってもらおうと、数学史を紹介することもあります。生徒は歴史に興味があるので、いま学習しているサイン・コサイン・タンジェントはどのようにして生まれたのかという数学史と絡めるなど、少しで興味をもってもらえるように工夫しています。
数学科/河野 敏子先生
「『考察ノート』で論述を磨く」
学校全体で論文を書くことに力を入れており、5年前から「考察ノート」に取り組んでいます。中1から高2を対象に、年2~3回実施しています。
大学入試の小論文はテーマが専門的な内容にも触れるため、国語科だけでは対応が難しいことからこの取り組みを始めました。それまでも書くことは大事であるという意識はあり、感想文などを書く機会はあったのですが、「考察ノート」では、テーマを決めてきちんと論述できる力を中1から積み上げることをねらいとしています。
テーマは行事と連動させることも多く、中1は早速入学後のオリエンテーションキャンプ後に書きます。下級生は自分で論理を展開するのが難しいので論述を誘導し、段階を追って自分の考えをきちんと述べられるようにレベルアップしていきます。高校になると、高齢化社会や環境問題など、幅広いテーマを扱います。
「教員の赤字に生徒が“反論”」
自分の意見を述べるのですから、期待されていることを書くのではなく、斬新でもいいから生徒自身の考えがしっかり表現できる力をつけてほしい。生徒は立派なことを書かなければいけないと思うようですが、それは往々にして表面的で説得力に欠けます。「私はこう思う」ということをその生徒らしく熱く語れるようになってほしいと思います。
生徒の論文には、「論理的に述べられていない」「具体例がない」といったチェックを入れます。テーマによっては複数の教科の教員のコメントを入れることもあります。教員のコメントに対して生徒が書き込むスペースを設けています。「指摘されたとおりだと思います」「伝わるように書けていなかった」というコメントが多いのですが、中には「私はこういうつもりで書きました」と“反論”する生徒もいます。
こうしてじっくり考えて自分の言葉で表現する作業は、数学の問題を数多くこなす以上の意味があると思います。単に知識を覚えるだけでなく、読んで考え、表現することの必要性を感じるという意味でも、学習面によい影響があるのではないでしょうか。
この取り組みをすることで、いろいろなことに関心を持ってアンテナを張るようになったと思います。例えば「医師になりたい」志望理由が、「人の役に立ちたいから」ではなく、違う視点からとらえられるなど、進路を考えるうえでも成果があったと思います。
「目先のことにとらわれず、将来を見据えた学力を身につけさせたい」
進路や大学入試の科目にかかわらず、センター試験レベルの数学は身につけさせたい。苦手や嫌いがあってもいいけれど、まず知ってほしいと思います。そして、少しでも「数学はおもしろい」と思って卒業してもらえればと思います。
微分積分を学べば、そのシステムのすごさがわかるし、そのことを親になったときに子どもに伝えることもできます。「お母さんはやらなかったからわからない」ではなく、子どもと感動を共有できるようになってほしいですね。
目先のことにとらわれて取捨選択すると、自分の可能性を狭めてしまいかねません。成長期はとくに、目の前のことだけでやる・やらないを判断してはいけないことがあります。生徒はそのことは感じてくれていると思います。いろいろな世界があることを知ったうえで、社会に羽ばたいてほしいと思います。
数学科/河野 敏子先生
インタビュー 3/3

岡見清致の信仰に基づく教育事業として、頌栄学校を1884(明治17)年に開校。1947(昭和22)年に中学・高校となり、64年に頌栄女子学院と改称。94(平成6)年から高校募集停止、完全中高一貫校に。併設校に英国学校法人のウィンチェスター頌栄カレッジ(大学)がある。
プロテスタント系キリスト教主義の学校で、聖書の教えを徳育の基礎におく。女性にふさわしい教養を身につけることが方針で、高雅な品位や豊かな国際感覚を備え、社会に奉仕貢献できる人間形成を志す。校名の「頌栄」は神の栄光をほめたたえるという意味。自慢の制服も同校の教育方針に沿い、国際感覚にマッチするものとした。言動、身だしなみについては日常きめ細かく指導している。帰国生との交流により、多様な価値観をも育んでいる。
区の保護樹林に指定される木々に囲まれた運動場など緑にあふれる校内には有名な建築家ライトの高弟の設計による記念堂をはじめ、礼拝堂と講堂をかねるグローリアホールなど施設も完備。ホワイトハウスと呼ばれる校舎や新体育館も近代的。南志賀高原と軽井沢に山荘をもつ。食堂は高校生から利用可。パン類の販売あり。
中学では英・数・国の多くがクラス分割などの少人数制授業。このなかでは高校で学ぶ内容も取り入れられている。英・数は時間数も標準より多い。聖書の授業も週1時間組み込まれている。中3の数学では習熟度別授業を導入。中3では卒業論文を制作、夏休み前から準備し、原稿用紙20~30枚にまとめる。高2からは文科と理科、さらに高3では理科コースが2つに分かれる。進路に応じた選択科目も多数用意されている。中学では主要教科を中心に昼休み・放課後に補習を実施、高校では長期休暇中にも受験講習を行っている。ICU、青学、早慶上智大などに推薦枠があるのも大きな魅力だ。
2期制で、土曜日は休日としている。1日は礼拝で始まり、中学・高校とも週1時間の合同礼拝がある。高校では礼法の授業がありしつけにも厳しい。タータンチェックのスカートの制服はあまりにも有名。校内にはイギリスの学校の雰囲気が漂い、生活スタイルも校舎内で革靴を履いたまま過ごす欧米流。クラブ活動ではハンドベルクワイヤーや弓道部が知られている。花の日礼拝、イースター、クリスマスなど礼拝形式の行事が多く、そのほかキャンプ、コ・ラーナーズ・デイ(研究発表会)、頌栄フィールド・デイ(運動会)、ハワイとニュージーランドの語学研修など盛りだくさん。奉仕活動にも力を入れている。