
頌栄女子学院中の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「読んで考え、表現する力を試す問題」
基本的な計算問題ができることも大切ですが、「問題を読んで理解し、考えて言葉で表現する」ことができてほしいと思い、この問題を出題しました。
「読んで考え、表現する」という一連の力は、受験生に限らず上級生でも不十分と感じています。本来は考えるべきことを、考える前に機械的に手を動かしてしまう。問題を読み、パッと反応はできるけれど、イメージが先行してじっくり考えることが疎かになっています。条件反射的になっていると感じることがとても多いので、入試問題ではハウツーで容易に正解できるものではない出題をしました。
現代はいろいろなことがシステマティックにできるので、それに乗れば点数がある程度取れてしまいます。その流れに安易に乗らず、将来自分で力を伸ばせる、楽しめる力をもつお子さんに入学してほしいと思います。
数学科/河野 敏子先生
「解答のヒントを活かすことができたのでは」
表現力は、受験生の考えがきちんと伝わればよしとしました。多少言葉足らずでも受験生の考えを汲み取ります。入学後は解答に至る過程を論理的に説明できるように指導します。
いろいろな答えが出すぎてしまわないように、「しょうこさんは」に続けて書くように解答の方向性を示し、受験生の混乱を避けました。また、設問中の質問形式がヒントになるので、これにならって書けばよいと気づけば表現形式は難しくはないと思います。
出来具合としてはよかったと思います。目立った誤答が、「ぼうしとめがねの両方を身につけていましたか」というものでした。質問からめがねを身につけていることがわかるので、ぼうしについてのみ質問すればよいのですが、再度確認するような質問になっています。
なぜ、こうした解答が多かったのか。もしかすると、
~
がいずれも2つの要素を取り上げているので、ここでも2つについて聞かなければならないと考えたのかもしれません。
「日常生活で使い慣れていない表現に戸惑ったかも」
質問文中の「両方」や「どちらか」は小学生でもわかるでしょう。一方、「少なくともひとつは」という表現は、日常的に見聞きすることはあまりないでしょう。集合の問題で出てくる「少なくともひとつは」という言葉が意味するところはわかっても、日常生活で使い慣れていないので、この問題の場合はどういうことなのか戸惑ったかもしれません。頭の中で一度整理できると正解に近づくことができると思います。
数学科/河野 敏子先生
「論理的に考える力を身につけよう」
あまりしっかり読まなくても機械的に答えられる問題ではなく、この問題のように、問題文から何がわかるのか、答えがこうなるということはつまりどういうことなのか、きちんと考えられる力を身につけてほしいと思います。
現代は流れてくる情報に対し、「おもしろい」とその場では反応するけれど、それで終わってしまいがちです。情報が次から次へと大量に流れてくるので、考える余裕がないのかもしれません。日常生活の中で「じっくり考える」ことがしにくくなっているならば、考える時間を意識的につくる必要があるでしょう。
手っ取り早く算数の力をつける方法はありません。コツコツ取り組む姿勢は入学後も活きてくるので、地道に取り組んでください。入試問題は、受験生の日々の学習の成果を評価できるような出題を心がけています。
インタビュー 1/3

岡見清致の信仰に基づく教育事業として、頌栄学校を1884(明治17)年に開校。1947(昭和22)年に中学・高校となり、64年に頌栄女子学院と改称。94(平成6)年から高校募集停止、完全中高一貫校に。併設校に英国学校法人のウィンチェスター頌栄カレッジ(大学)がある。
プロテスタント系キリスト教主義の学校で、聖書の教えを徳育の基礎におく。女性にふさわしい教養を身につけることが方針で、高雅な品位や豊かな国際感覚を備え、社会に奉仕貢献できる人間形成を志す。校名の「頌栄」は神の栄光をほめたたえるという意味。自慢の制服も同校の教育方針に沿い、国際感覚にマッチするものとした。言動、身だしなみについては日常きめ細かく指導している。帰国生との交流により、多様な価値観をも育んでいる。
区の保護樹林に指定される木々に囲まれた運動場など緑にあふれる校内には有名な建築家ライトの高弟の設計による記念堂をはじめ、礼拝堂と講堂をかねるグローリアホールなど施設も完備。ホワイトハウスと呼ばれる校舎や新体育館も近代的。南志賀高原と軽井沢に山荘をもつ。食堂は高校生から利用可。パン類の販売あり。
中学では英・数・国の多くがクラス分割などの少人数制授業。このなかでは高校で学ぶ内容も取り入れられている。英・数は時間数も標準より多い。聖書の授業も週1時間組み込まれている。中3の数学では習熟度別授業を導入。中3では卒業論文を制作、夏休み前から準備し、原稿用紙20~30枚にまとめる。高2からは文科と理科、さらに高3では理科コースが2つに分かれる。進路に応じた選択科目も多数用意されている。中学では主要教科を中心に昼休み・放課後に補習を実施、高校では長期休暇中にも受験講習を行っている。ICU、青学、早慶上智大などに推薦枠があるのも大きな魅力だ。
2期制で、土曜日は休日としている。1日は礼拝で始まり、中学・高校とも週1時間の合同礼拝がある。高校では礼法の授業がありしつけにも厳しい。タータンチェックのスカートの制服はあまりにも有名。校内にはイギリスの学校の雰囲気が漂い、生活スタイルも校舎内で革靴を履いたまま過ごす欧米流。クラブ活動ではハンドベルクワイヤーや弓道部が知られている。花の日礼拝、イースター、クリスマスなど礼拝形式の行事が多く、そのほかキャンプ、コ・ラーナーズ・デイ(研究発表会)、頌栄フィールド・デイ(運動会)、ハワイとニュージーランドの語学研修など盛りだくさん。奉仕活動にも力を入れている。