
暁星中の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「見かけは速さの問題。ところが本質は図形の問題」
倉橋先生 グラフを見たときに、「この下のスペースはなんだろう」と、びっくりしたと思うんですね。「グラフを書け」と言っているのに、こんなに下が空いている。「初めて見た」と思った受験生も多かったと思うんです。
私は
まで読まないで、![]()
と、順序良く解いていったんですね。
を解くときに、![]()
の結果を利用しながら、家に戻る時刻、家からもう一度出る時刻を求めて、さあ書こうと思ったときに、ただし書きがついていて、「後半の目盛りは利用してもいいけれども、自分で勝手に目盛りを打ってはいけない」とある。これはすごい仕掛けだなと思いましたね。そして、普通の子どもだったら何をやっていいのかわからなくなってしまい、止まってしまうのではないかと思ったんです。「グラフを書きなさい」という、見かけは速さの問題ですが、実は図形の問題なんですよね。
倉橋先生 今までにない問題にしたいと思いました。おっしゃるとおりなんですよ。その対称性にどう気づくか。子どもたちが求めてはいけない値を求めていく…、そのスペースを解答欄に与えなかったんですね。
教務部長・数学科主任/倉橋 伸幸先生
「
の正答率は2%。正答した6名はすごい!!」
過去にそういうものが出題されている学校であれば、子どもたちもそんなに面食らわないと思うのですが。図形の問題であることを見抜ける子は本当に少ないと思います。暁星を受ける子であれば![]()
の問題は通過できると思うのですが、
は答えを書くには書いたものの、意図どおりの答えではないという子が多かったのではないでしょうか。
倉橋先生 そうですね。正答率は
が98%、
が61%、
が2%でした。
の98%はすごいですね。
倉橋先生
はさすがによくできていましたね。
の問題で我々の正確に要求に従って答えられた子は6名でした。6名いたのはすごいと思います。対照性に気がついて、点をとったりするという作業ができているわけですから。
は△が44%ということですが、どんな場合についたのですか。
倉橋先生 グラフはきちんと書けているのですが、点をとってしまったり、説明なしに線を引いていた場合ですね。
「グラフを隅々まで見ることで、子どもたちの思考を見てとれた」
×は53%、約半分ということですが、どういうところができていなかったですか。
倉橋先生 書けていない子がほとんどでした。
そこで力の差が見てとれるということでしょうか。
倉橋先生 そうですね。グラフを隅々まで見ることで、子どもたちがどういう思考でグラフを書いているかということはハッキリと見てとれますね。
この問題の難しいところは△の部分をどう扱うかですよね。最初から加点しようと考えられていたのでしょうか。
倉橋先生 そうですね。グラフを採点する者がすごく苦労しました。要するに子どもたちが勝手に点をとったところを見ながら採点しておりますので、緻密に、大変な思いをしながら採点してくれたと思います。
「できる子は1人か2人だと思っていた」
先生は、この結果をどう思われましたか。
倉橋先生 6名できていただけでもすごいなと思います。これが図形の問題だと見抜いているということですから、素晴らしいですよね。
我々も、図形的にとらえた時にどう作図するかに着目していました。方眼と、定規は学校で用意して、渡してですね、(できる子は)1人か2人かなと思っていました。
先生方にとっても思い切って投げかけてみた問題なんですか。
倉橋先生 そうですね。![]()
の問題はみんなできると思ったのですが、
については図形という問題に気づけるかどうかというところですよね。
この問題は、一番難しい問題。最後にもっていってしまうと、無答率がすごく高くなったでしょうね。
倉橋先生 そうなんですよ。やはり手をつけてほしかったので、どのあたりに配置するかということは考えました。
「考えを聞きたいから、問題、解答用紙にこだわる」
暁星の算数というと、数の性質の問題がよく出ていた記憶があります。それも他の中学では出ないようなオリジナリティのある問題なんですよね。
倉橋先生 作るほうは結構大変なんですよ。これは難しすぎるんじゃないかとか。平均点が0点だったらどうしようとか(笑)。
平均点を考えると出せない問題が多いですよね。入試問題はどのように作っているのですか。
倉橋先生 数学科の中の何人かが分担して作ります。主任の私がまとめ役をやらせていただいています。
解答用紙に単位が書かれていないのですが、それも求めていることの1つですか?
倉橋先生 もちろんそうですね。ただ、今まで単位を書いていない子や、単位を間違えた子はあまり見たことはないですね。
記述問題がかなり多いですよね。それはやはり途中のプロセスを見たいということですか?
倉橋先生 そうですね。高校2年、3年で一番大切なのは論理です。どのように考えたか、ということを表現させたいということですよね。
採点は加点ですか?
倉橋先生 はい、答えが合っていなくても、論理が正しければ加点します。極端なことをいうと、答えだけを書き間違えてしまった、そういうものが完全な○になることもありますよ。
不注意ではあるけれど、算数としての考え方は合っているから…ということですね。解答用紙が広めにとってあるのもそういうことですね。
倉橋先生 どういうふうに書くかなということを考えて、割付も工夫しながら解答用紙も作るんですけどね。
これだけのスペースがあると、子どももとりあえず考えていることを出そうかというふうになると思います。
倉橋先生 解答用紙が3枚というのはどうかなと思うので、なんとか2枚で収めようと工夫しています。
インタビュー 1/3

「『自由主義』の色彩が強いカトリック校」が同校の特徴を表す。個性を生かし、他者との関わりの深さを教え、「他者の痛みを理解し、社会の核となり多くの人々の幸福のために指導的役割を果たす」ことが目標。一貫してフランス風の知性を誇り、7つの金ボタンの詰襟制服に身を包む生徒はスマート。外国人教師に恵まれた語学教育は定評があり、英仏2カ国語は中1より履修する。