
田園調布学園中等部の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「基本的な問題だけでなく、解き応えのある問題も出題」
私は本校に赴任して26年目になりますが、赴任当時は女子校の半数は国・算2科受験で、本校もそうでした。ただ実力のある上位校が4科受験でしたから、本校もその後間もなく4科受験を採用しました。
理科の入試を始めた当初は、あまり難しい問題を出すと敬遠されるのではないかという心配がありました。ですから基本的な問題が多かったと思います。それから中学入試の状況が変わり、4科受験が主流になると、理科の入試問題に対するとらえ方も変わってきました。本校も完全に4科受験に移行し、基本的な問題だけでなく思考力を試す問題も必要だと感じるようになったのです。
また、試験中の様子から、受験生に余力がありそうだという入試監督者の指摘を受けて、4〜5年前からじっくり考えて解く問題をいくつか出題しています。この問題は、まさに「じっくり考えて解く」問題です。
以前は平均点が7割程度になるように作問していましたが、考える問題を出題するようになってからは、6割程度の難易度に設定しています。難しい問題にもチャレンジして、受験生の考える力を見極めるのがねらいです。
理科/飯吉 幹夫先生
「生物という科目の枠にとらわれない出題」
私の専門は化学です。生物は専門外ということもあり、生物という科目の枠にとらわれず、また通常の設問とは異なる問い方をしました。ゲーム形式にしたのは、そんな遊び心からです。生物の知識を問うというよりも、物事の考え方を試す問題といえるかもしれません。
生物の問題というと、覚えたことを書くパターンが多いので、その場で考える力を試すような問題を作りたいと思いました。この問題を解くには、情報を整理し、条件を組み合わせ、論理を緻密に積み重ねていく力が求められます。このような問題であれば、暗記だけでは対応できない「じっくり考える力」を試せるのではないかと思いました。
入試問題はまだまだ発展の余地があると思っています。ここ数年、若手の教員が増えていますが、彼らのユニークな発想を入試の問題づくりにも生かしていきたいと考えています。
「各動物の特徴は押さえることができた」
正答率は、
(入試問題[3](3))が35.7%、
(入試問題[3](4))が32.8%でした。
と
を解くには、その前の設問がヒントになります。ちなみに正答率は、[3](1)が97%、[3](2)が99%でした。ほとんどの受験生が正解するとは、よい意味で予想外でした。
ゲーム形式の出題ですから、ルールを理解しなければなりません。ルールは難しくはありませんが、きちんと読む必要があります。読み飛ばす受験生もいるのではないかと思い、正答率は90%には達しないだろうと思ったのですが、予想を上回る正解率だったことから、問題の読み取りはきちんとできていたと思います。
作問にあたって、選択肢に取り上げる動物は何がよいだろうかと試行錯誤しました。受験生みんなが知っていて、
~
の質問で「はい・いいえ」がはっきりわかる動物を選びました。
「体が毛でおおわれているか」という質問があります。ふつう、昆虫に毛はありませんが、チョウには毛があるので回答に戸惑ってしまうため、モンシロチョウはふさわしくないと判断し、カマキリにしました。
(1)(2)の正答率の高さから、6種類の動物(ライオン・カラス・シマヘビ・サンマ・タコ・カマキリ)すべての特徴は押さえられたようです。動物の特徴をきちんととらえて学習していることがわかりました。
「
の問題は、前問を順番にやれば難易度を下げられる」
と
は難易度の高い問題です。ただし
は、いきなり解くのは難しいけれど、大問[3]の設問の順番に解くと、難易度を下げることができます。
前問の(1)と(2)は2つ目の質問で当てていますから、(1){
の質問:いいえ、
の質問:はい}のタコと、(2){
の質問:はい、
の質問:はい}のカラスは除かれます。
また
は1つ目の質問で当てているので、ライオンも除かれます。したがって、シマヘビ、サンマ、カマキリの3つに絞ることができます。
「地道に条件をつぶしていく作業ができるか」
問題を解く際、受験生は解説のように動物の特徴を表にまとめてはいないと思います。表にまとめなくても、3つの動物について1つ1つ検討していけば、正解にたどり着けるのではないかと思います。
ライオンだけが卵を産みませんから、
は表をつくると一目瞭然です。ただし、シマヘビだけが2つの質問では当てられない、3つ質問しなければならないことは、一目ではわかりません。条件を組み合わせてつぶしていく作業が必要です。
「条件を整理できないと誤答の可能性が高い」
考え方がわかった受験生の多くは、
と
は両方とも正解できたのではないかと思います。
と
で間違って選んだ動物は何かというと、とくに傾向は見られませんでした。わからなくて当てずっぽうで解答した中には、“たまたま”正解した受験生もいたかもしれません。
一問一答式で1つ1つの質問がわかるだけでなく、それらを組み合わせて考えることが求められる問題です。間違えた受験生は条件を整理できなかったのではないでしょうか。ほかの動物と勘違いしたというよりも、どのように考えればよいかわからなかったのだろうと思います。
表にまとめることができたとしても、そこから何が読み取れるのか、わからなかったのかもしれません。ふだんの学習では見かけないような問い方をしているので、どこに着目すればよいかを自分で見つけなければならない点が難しかったかもしれません。
インタビュー 1/3

わがままを抑え、目標に向かって努力を続けることで無限の力が発揮できるという意味の「捨我精進」を建学の精神とする。毎朝の朝礼では「精進の鐘」が打ち鳴らされ、全生徒・教職員が黙想。伝統も重んじつつ進取の精神にも富み、国際交流にも積極的に取り組んでいる。環境は抜群。2004年4月より新校舎を使用開始。新たにカフェテリア、プラザ、CALLルームなどがある。2階から5階までの屋上は回遊式庭園で語らいとくつろぎの環境も備えている。
体験学習の機会も多い。農作業をする山形県ひらた地区ファームステイ(中2)、志賀高原体験学習(中1)、裁判所傍聴(中3)、奈良・京都旅行(中3)、オーストラリア・カナダへのホームステイ(中3希望者)などなど。「なでしこスピリッツ」は朝掃除や校長による礼法の授業、『花筐』『葦』『理科通信』などのレポート文集をとおしても受け継がれている。