
学習院中等科の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「教員もやりたいことにチャレンジできる環境」
少しでも数学を好きになってもらいたい、数学の力を伸ばそうと、中高の数学科の教員で数学教育について話し合ったり、中等科の教員だけで集まったり、数学科の教員のコミュニケーションは活発です。授業ではオリジナルの問題集を使っていますが、よりよいものにしようと毎年更新しています。
本校は教員の裁量の自由度が高く、教員もいろいろなことにチャレンジできる環境です。夏休みはクラブ活動で生徒を熱心に指導する教員もいれば、自分の力を伸ばそうと海外研修に参加する教員もいます。ある程度自由に使える時間があるので、教材研究に充てる時間も確保できます。生徒がおおらかに学校生活を送ることができるのは、教員が余裕をもって生徒に接することができるからではないでしょうか。
数学科/近澤 一穂先生
「数学を楽しむ有志が集まる『数学研究会』」
本校には有志が集まって数学を楽しむ「数学研究会」があります。私を含む教員3名と数学好きな中1・中2の10名が、週1回放課後に集まって、市販本の『数学のひろば』を読み解いています。
数学研究会は授業以外で生徒の力を伸ばす機会になっています。また、そうした生徒から教員は大いに刺激を受けていますし、教育研究も兼ねて教員同士が刺激し合っています。
立ち上げて10年になりますが、時折、卒業生が遊びに来て講義をしてくれます。研究会でルービックキューブを使うことがありますが、在学中にルービックキューブのブラインド(目隠し)部門で全国2位になった卒業生もいます。研究会はそうした数学好きの“強者揃い”が集まってきますから、彼らが満足できるような講義をやろうと教員も力が入ります。教員も楽しんでいるからこそ、10年間続いているのだと思います。
「高2から多様な授業が選べる」
本校では高校になるといろいろな面で自由度が増します。その1つが高2・高3の週10時間の選択授業です。自分の進路を見据え、自分の好きなカリキュラムをつくることができます。
学習院大学に進学するなら、受験には関係のない教養的な講座を選択したり、他大学への進学をめざすのであればセンター試験対策の授業や小論文演習を選ぶことができます。また、英語で数学が学べるなど、高等科の教員が各自の得意を生かしたユニークな講座もあります。どの進路にでも対応できるように豊富な選択科目を用意しているので、自分の興味や進路につながる科目を選ぶことができます。
「指導は厳しいが押しつけはしない」
進路指導はとくにしていません。もちろん生徒から相談されれば応じますが、教員から「この大学を受験したらどうか」とはたらきかけることはありません。生徒が自分で自分の将来を考えます。自分で考えて決断できるだけの力を中高6年間で身につけるように指導しています。そのためにはコツコツ努力できる資質が必要ということで、入試でそうした力を試しているのです。
生活面にしろ学習面にしろ、厳しく指導はしても決して押しつけることはありません。押しつけると生徒は考えなくなります。教員の言うとおりにやればいいと思ってしまう。それが染みついてしまうと、将来指示なしでは動けなくなってしまいます。
高等科に進学して教員の手が離れても、戸惑うことがなく自分の足で歩いていける。それだけのものは中学3年間でしっかり身につけさせているつもりです。
「6年間で『自立』と『自律』を育む」
中等科は義務教育期間ですから、何が正しくて何がいけないことなのかを教員がきちんと示して導く必要があると思いますが、高等科では、中等科で教わってきたことを土台に自分で物事を判断します。学習面も中等科で身につけた基礎力を生かして、興味のあることをもっと学習したり、新しいことにチャレンジします。
中学は服装や言葉遣いなど規則は非常に厳しいのですが、高校は校則がありません。高校生らしいあり方を自分で考えて行動します。多感な年代ですから、いろいろな生徒がいますが、周囲の生徒と高校生活を過ごしていく中で、自分で考え、気づき、成長していくことができます。
進路に関しても、この職業に就きたいと思ったら、そのためにどうすればよいかを自分で考え、そのための努力をします。本校は、中学で基礎力を、高校で応用力を、そして6年間で「自立」と「自律」を育てます。
インタビュー 3/3

1847(弘化4)年、孝明天皇により京都につくられた公家の学問所が始まり。「ひろい視野、たくましい創造力、豊かな感受性」の育成に力を入れている。早い時期から帰国生を受け入れ国際化する現実にも即応。アメリカ・メリーランド州セント・ポール高校と、高等科との交換留学も行われている。
中等科は大学までの基礎と位置づけられ、じっくりと基礎学力を養成する。近年は学習院大への進学は6割程度。JR山手線・目白駅からすぐの学習院大学と同じ敷地内にあり、校地の広さと緑の多さは都内でも随一。
中高が独立しているため生活環境ははっきり違う。中等科では規律が厳しいが、高等科は自主性を重んじた自由な気風となる。クラブ活動は原則として、中等科は週4日。硬式テニス部や陸上競技部は全国大会に出場する実力派。天体観測や化石採集を行う地学部は文化部でもっとも人気がある。