
東洋英和女学院中学部の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「必要な情報を的確に選んで論理的に組み立てる力を理科で学んでほしい」
教材や評価で大事にしていることはありますか。
森田先生 理科の評価ではペーパーテストの点数が大元にはなるのですが、実験レポートや授業態度なども重要視しています。意欲的な子にはそれなりの評価をしてあげたいと思っているということですね。
二期制なので試験範囲が広いんですよ。夏休み前にやったことを秋に試験するわけですから、夏休みにすっかり忘れてしまっていますよね(笑)。普段はすごく一生懸命やっているのに、テストになると緊張してしまうのか、うまく力を発揮できない子もいますので、そういう子もなるべく評価してあげたいと思っています。
6年間でどんな力をつけてほしいと思っていますか。
森田先生 社会に出て、必要最低限の理科的教養はもちろんですけれども、ものを考える時に客観的に見る力、多角的に見る力、洞察力…、そういう力は文系、理系に限らず、社会に出て生きるうえで必要な力だと思うんです。必要な情報を的確に選んで、それを組み立てて、こういう結論になるというプロセスは、理科で学ぶところが大きいと思っています。
「東洋英和の生徒は怖いもの知らず!?」
東洋英和の生徒さんは、外からは静かに見えますが、バイタリティのある子が多いんじゃないですか?
北崎先生 そうですね。なにごとにもものおじせず…という(笑) 怖いもの知らずという子がかなり多いですよ。一般的にはお嬢様と見られることが多いのですが、中ではかなりエネルギッシュです。
いたずらや、遊びのようなことはよくやっていますね。自分たちで試してみなければいられない好奇心旺盛な生徒がたくさんいます。おとなしい子も賑やかな子も皆元気で、自分を素直に表しています。
「生活指導は愛情と根気が信条」
北崎先生 学校自体が型にはめる学校ではないですし、それぞれの個性を伸ばしてあげたいというのもありますので、威圧的な部分というのがないんですよ。生活指導にしても決まりごとはあるのですが、そういうことが起これば口すっぱく注意するということですよね。ふてくされた態度を取る日もありますが、それでも根気よく言い続けていくうちに生徒のほうが根負けするというような感じでやっています。
自分で考えなさいということなんですか?
北崎先生 そうですね。もちろん反省文を書かせたり、注意を与えたり、面接をしたりということはします。
本来しなければいけないことをしない生徒は、いろいろな問題を抱えているわけですよ。ペナルティーを科するよりも自分を振り返るような指導をしたほうがいいということですね。
教頭/北崎 勝彦先生
「生徒の満足度が高い学校であることはデータにも表れている」
北崎先生 外の機関に学校評価や行事の評価などをしてもらうのですが、断トツの結果が出るのは、帰属意識がものすごく高い学校であるということなんです。生徒の帰属意識がこんなに高い学校はそうないらしいです。満足度が高いのは確かだと思います。
講師の先生の中には他の学校で指導されている方もいらっしゃるので聞いてみますと、他の学校のほうが静かというイメージがあるようです。言い方を変えると反応があまりないようです。その点、東洋英和はにぎやかというか、反応する生徒が多いので、やりがいはあると思います。
また、生徒たちは自己表現を好みますね。よい評価を得たい、自分達を見てもらいたいという気持ちをもっていますので、思い切り頑張ってしまいます。お客様を迎える時にはスイッチがパチッと入るんです。そういうことができるというのは、やはり能力が高いと思います。
「部活動は必修。活発に活動しています」
北崎先生 部活動は必修なんです。どこかのクラブに入らなければいけないということですね。楓祭(文化祭)も、基本的にはクラブ発表が中心で、クラスで何か企画したり…ということは少ないですね。
森田先生は何部の顧問なんですか。
森田先生 去年までは生物部とバレーボール部を兼任していたのですが、今年はバレーボール部だけを見ています。体育の教員が専門なので、僕は補佐的な役回りなんですけどね。
北崎先生 女性の体育の先生なのですが、筑波大学時代にバレーボール部で優勝経験があるんですよ。
運動部、文化部、どちらで活動する生徒さんが多いですか。
北崎先生 数の上では文化系クラブのほうが多いのでしょうが、人数などでは割合が違ってきます。ステージ発表する演劇系クラブはダンスや英語劇などに分かれてやりますから、文化系は多いですよね。
私たちにも担当のクラブがあるんですよ。高校にも教頭がいるのですが、そちらはスキー部、私は天文部です。理科の教員ではないのですが、活動日には必ずついています。
そういう活動は部長(学校長)も担当されていて、生徒の自主的なボランティアサークルを率いてやっていらっしゃいます。
理科系のクラブはどんな活動をされているのですか?
森田先生 今、理科系のクラブは生物部と化学部、それと天文部があります。生物部はグッピー、ウーパールーパー、アカハライモリ、ザリガニなどをいくつか飼っていて、楓祭(文化祭)に向けてグループ研究を行っています。グループ発表の他に化学部・生物部共に楓祭では演示実験を行います。生物部はカエルの公開解剖や海ホタルの発光実験、光合成すると色が変わるようなペンダントを作って配ったり、化学部は液体窒素を使った実験をしたり…。カエルの解剖は小学生には強烈だと思うのですが、例年、結構人が集まっていますね。
「関東大震災の時にできた学校」
森田先生 理科の実験室は4つあります。それぞれ、化学・物理・生物と実験の性質に特化した実験室です。例えば、生物よりの実験室には顕微鏡が揃っていて、授業の内容によって使い分けています。
標本もたくさんありますよ。
北崎先生 PCR実験装置など、価値のある器具は結構ありますよね。
うちは関東大震災の時にできたんです。建設中に震災が起きて、一旦工事が遅れたのですが、その後完成して、その校舎を建て替えて…という形で今に至っています。建て替えをしても外観は残したので、当時の雰囲気が感じられると思います。
私は学生だったのですが、100周年の時に引越しを手伝ったことがあるんです。その時、理科関係のものがたくさん出てきて、特に雑誌がすごかったですね。「子供の科学」という本を開くと戦争中の本なんですよ。だから軍艦の絵などが出ていて、「これは貴重じゃないか」と話していたのを思い出します。
「理科系部員の中には、熱心な活動から興味が広がり進路を切り拓いている生徒もいる」
北崎先生 理科の先生は全般的に若いですね。
森田先生 そうですね。僕と同い年の物理の教師が一人いて、僕たち2人が一番若いのですが。
生物は3名で僕以外は女性です。物理、化学も含めると、男女比は半々くらいですね。高等部の教頭が理科なので、含めると男性4、女性3です。
生物の先生はマニアックな方が多いですよね。
森田先生 そうですね。僕はまだまだですね。
北崎先生 そうだね。あとの(女性の先生)2人は凝り性ですね。うちは野尻湖に施設があるのですが、そこで一人でプランクトンネットを出して船をこいで、採取していることもありました。女性でも何でも触れますからね。こっちが退いてしまうようなものも平気で触っています。
森田先生 その生物の先生が進路指導担当でもあり、生物部の顧問なのですが、何人かは生物部のクラブ活動で行ってきた研究などを活用してAO入試などで合格しているといっていました。
やはり思いが強いんでしょうね。
北崎先生 クラブ単位で考えると、研究者というか、そういう方面にいきたいという子は育っているのかもしれませんね。
私は理科専門ではないですが、天文が趣味で自分も楽しみながら顧問をさせてもらっているのですが。そういえば天文部からは天体物理や物理化学へ行く子がいますね。高3は引退という形でやっていますが、マックス5年間は同じクラブでいられますからね。そういう意味では、好きなことに継続して取り組める環境は整っていると思います。
インタビュー 3/3

1884(明治17)年にカナダ・メソジスト派の宣教師カートメル女史によって設立された。第二次大戦中には校名を東洋永和女学校と改称したが、宗教を棄てろという圧力には断固抵抗した。その後校名を復し、1989(平成1)年に大学、93年に大学院が開学。96年に高校募集を再開したが、2003年には再停止。
「敬神・奉仕(神への敬い・隣人への愛)」を基本精神として、キリスト教の精神に基づいた豊かな人間形成を目指し、一人ひとりを大切にした教育を行う。120年前の創立以来、自由な学風とのびのびとした雰囲気を今なお継承しているが、その長い歴史に最新鋭の設備を誇るハイテク校舎が加わり、英和生一人ひとりの成長とともに、21世紀にふさわしい校風がさらに刻まれている。
六本木に隣接しながらも、学校周辺は閑静な一帯。校舎は、創立当時のスパニッシュ・ミッション・スタイルの面影を残している。チャペル、記念講堂、コンピュータ教室2室、メディア教室、体育館、図書室など充実。校外施設として軽井沢追分寮、プール設備などのある野尻キャンプサイトがある。学院全体が使う「総合校舎」が誕生、大学の教授が中高生の教育に参加する計画も。
中学では偏りのない学習プログラムで基礎学力の習得に力を入れ、高校では個性に合った進路選択ができるような指導が特色。英語の指導には定評があり、中学では1クラスを2分割、中3から習熟度別授業を行っている。もちろんネイティブによる英会話の授業もあり、「使える英語」を養成。数学は中3で1クラスを2分割、高1・校2は3段階の習熟度別。高2からは多様な科目選択制を導入し、生徒のニーズに応えている。音楽・宗教教育にも力を入れる。他大学合格実績の躍進。高い現役進学率を誇り、東大、早慶上智大など難関大学への合格者も多い。進学先が社会科学系、理工系、医学系、芸術系など幅広いのも特徴。
東洋英和の朝は20分間の礼拝から始まる。クラブ活動は全員参加で、文化系22、体育系8が中高合同で活動。卓球、バスケットボール部が強い。中1では全員が車椅子、盲導犬、点字など、奉仕活動のための基本を学習(ギリシャ語で隣人に仕えるという意味のディアコニア学習活動)する。一方、有志によるYWCA活動は、手話・点字を習ったり、年に数回、養護施設や老人ホームを訪問し、子供たちやお年寄りとの交流をもつ。ピアノ科、器楽科、英会話、日本舞踊などの課外特別授業も行われている。球技会、文化祭、野尻キャンプ、クリスマス礼拝、夏休みのカナダ語学研修旅行(高1・高2)など行事も多種多彩。