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シカクいアタマをマルくする。

出題校にインタビュー!

2009年 東洋英和女学院中学部 【理科】

東洋英和女学院中学部の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1. 身近な生物の実験や課題を、頭のなかでイメージできるチカラを!

「ダンゴムシを選んだのは、どこにでもいて、自分で実験できる素材だったから」

森田先生 僕が子どもの頃、自宅の裏の雑木林で、よくダンゴムシを集めて遊んでいたんですね。ジグザグに歩くことを「交替性転向反応」というのですが…、当時そのことはもちろん知りませんでした。気づくこともできなかったのですが、目が合って、よく見るとかわいい顔をしていたりだとか、まるくなるとか、そういうしぐさがおもしろくて親しんでいたんです。

ダンゴムシはどこにでもいるものですよね。過去に、理科の中で、ある生物についての問題を検討している時に、「本当になるの?」「やったことあるの?」と指摘されたのです。理論的にはそうなるし、論文にもそう書かれているのですが、それを実際にやったことはなかったんですね。ドキッとさせられたことで、やはり作者は理論的に合っているだけではなくて、なるべく実物で確かめられるものをテーマに選ばなければと思いました。

そんな経験を踏まえて考えた時に、ダンゴムシについて書かれている文献を読んだりしたところ、他にもいくつかあったのですが「交替性転向反応」は出題できるかなと。そこで実際に迷路を作って実験してみたら、これはできるなと思ったので、今回はダンゴムシをテーマに作問することにしました。

問題を作るうえで一番苦労するのはやはり素材選びですよね。各自、問題を持ち寄り検討しているので、他の先生方がどのようにしているかはわかりませんが、おそらくどの先生も小学校の教科書を読むことから始めていると思います。また、一問一答というか、ただ知識だけを聞く問題ではなくて、大問の中に考えさせる問題を入れたいというのはどの先生も持っていることだと思います。

理科/森田 正吾先生

理科/森田 正吾先生

東洋英和女学院中学部 先生

「問題文から様子をイメージする力を問いたかった」

この問題から導き出される子ども像には、どのような期待をお持ちですか?

森田先生 イメージできることが大事だと思っています。図を載せていますが、「5cm直進したらT字路になる、その連続する迷路を歩かせたらこういう結果になった」という文章だけでも成立する問題だと思うんです。ここで大事なのは、「T字路で5cm」を用紙の端にでもちょこっとメモして、「これで右、左だからこうだな」とか、「左、右。あっ、これが多いんだな」とイメージできるかどうかだと思うんですよね。「何を言っているんだろう」「わからない」と思っても、とりあえず自分でペンを走らせてみてイメージする力が必要だと僕は思っています。

イメージするためには、問題文を正しく読み取る力も必要ですね。例えば「明かりは真上から当て、迷路を置く向きも時々変えながら実験しました」というのは意味のある文章ですよね。キーワードを一つひとつ読み取って、それがどういうことかをイメージできて、「こういうことね」と頭の中で整理する。さらに、そこからいえることを導き出すには、普段からそういう力を鍛えていないと、身につかないと思います。

実験などをしていればできることかもしれないですが、ダンゴムシがこの迷路を歩く様子というのは、見たことがないとなかなか想像できないと思うんです。普段から興味をもってものを見ているかどうかで、イメージする力、想像力に差が出てくると思うので、その辺も正確に聞きたかったところです。

「もっと踏み込んだ問題も出したかった」

この実験は実際にやってみたのですか?

森田先生 そうですね。ダンゴムシをたくさん集めてきて、迷路を作って、カウントしました。

この数字は実際のものなんですか?

森田先生 実はこんなにぴったりとはいかないもので、多少修正を加えています。例えば迷路の幅をだんご虫の体長と同じくらいにしておかないと、Uターンするものが出てきてしまいます。塀を乗り越えてしまったものはカウントしていません。問題では右左が「21」、左右が「24」と近い数字になっていますが、実際は迷路自体の微妙なバランスなどで片方に寄ることもあります。調整しないと違う因子が見えてしまうので、その辺は調整や修正を加えました。

実際には2問しか出題されていませんが、僕の中では、さらに出したかった問題がありました。ダンゴムシはジグザグに歩くわけですよね。そうすると、ある地点から遠ざかる可能性が高くなります。「なぜ遠ざかるのか」ということを、本当は一番聞きたかったんです。「遠ざかることによって、ダンゴムシにはどんなメリットがあるのか」というのを考えさせたかったのですが、制限された時間の中では難しく2問にとどまりました。

それは残念ですね。

さらに「それを証明するために、どういう実験を組み立てればいいですか」などという問題もできるのですが、それだけで1時間かかってしまいますからね(笑)。
そんなことが聞けたら、入試としては一番いいと思うのですが、なかなか難しいです。

東洋英和女学院中学部

「正答率は7割。印象に残る問題になってよかった」

この問題の正答率はどのくらいでしたか。

森田先生 わりと高くて、7割くらいだったと思います。この問題は2問目なんですね。前の問題(ゴールした場所を問う問題)ができればこの問題もできるだろうと思っていたのですが、その通りでした。

今、僕はこの試験を受けて入ってきた生徒達の担任であり、授業ももっているので、ひょんなことから入試の話になることがあるのですが、結構覚えていてくれているんですよね。「なんか、ダンゴムシの問題、あったよね」という感じで。「全く意味がわかりませんでした」という子もいるのですが、「解いていておもしろかった」という子もいて、それを聞いた時は嬉しかったですね。緊張して、切羽詰まった状態の中で「楽しい」と思ってくれたり、「帰ってから、実験をやってみようと思った」と言ってくれた生徒もいたので、その場で終わってしまう問題よりも、家に持って帰ってやってみたくなるようなテーマを出せたということはよかったと思います。

「『文章に対する読解と想像』が4科共通のテーマ」

理科の授業を通して、気をつけていることはありますか。

森田先生 在校生、特に高校生が問題を解いている様子などを見ていると、処理能力は速い子が多いのですが、国公立の大学入試にあるような考える問題になると止まってしまうことがあるので、理科としては処理能力だけではなくて、ものごとを考える力を授業でもつけていきたいと思いますし、入試でも聞いていきたいと思っています。

また、難しい問題になればなるほど、文章の意味を読み取る力が必要となると感じています。授業をやっていても、問題文の文章の意味がわからなかったり、複雑な問題を解いていると、今、自分のしている作業が問題のどの部分に結びついていくのかがわからなくて、ただ単に、なんとなく解いていたり。そこは課題だなぁと思います。

北崎先生 今、理科の中で話していることは、国算社理4科共通のところがあります。「文章に対する読解と想像」というのが4科に共通することで、社会にしても、国語にしても、算数にしても、同様のアプローチを取ります。ですから、ほしい生徒像は共通しているわけです。

教頭/北崎 勝彦先生

教頭/北崎 勝彦先生

「問題数は多いが、難問はないのが特徴」

理科の入試における分野のバランスや、分野にかかわらず重視している形式があれば教えてください。

森田先生 分野的な傾向は、毎年の内容を見ていただくとわかるのですが、おおよそ生物・地学で50%、物理・化学で50%という感じになっていますよね。物理と化学はそれもまた半々に分かれていて、全体でいうと25%ずつです。生物と地学では生物が少し多めで、30%、20%という感じですかね。ですから、生物が少し多め、地学が少し少なめ、で、物理、化学がその間というボリュームになっています。どの分野も論述問題がいくつかあり、グラフを問う問題もいくつかあり、という形でつくっていると思います。

問題数は多いですよね。

森田先生 そうですね。ただ、かなり基本的な問題が多いので最低点が高くなっていると思います。難問はあまりないです。解くのに時間はかかるかもしれないけれど、読めばわかったり、聞いていることはすごく単純だったり、複雑な計算などもそんなにないと思います。

教科書に載っているかどうかをラインとして見ていますので、すごくかけ離れたことには説明文を載せるなど、その辺は理科の中でも注意してつくっているところです。

東洋英和女学院中学部

インタビュー 1/3

東洋英和女学院中学部

東洋英和女学院中学部1884(明治17)年にカナダ・メソジスト派の宣教師カートメル女史によって設立された。第二次大戦中には校名を東洋永和女学校と改称したが、宗教を棄てろという圧力には断固抵抗した。その後校名を復し、1989(平成1)年に大学、93年に大学院が開学。96年に高校募集を再開したが、2003年には再停止。

「敬神・奉仕(神への敬い・隣人への愛)」を基本精神として、キリスト教の精神に基づいた豊かな人間形成を目指し、一人ひとりを大切にした教育を行う。120年前の創立以来、自由な学風とのびのびとした雰囲気を今なお継承しているが、その長い歴史に最新鋭の設備を誇るハイテク校舎が加わり、英和生一人ひとりの成長とともに、21世紀にふさわしい校風がさらに刻まれている。

六本木に隣接しながらも、学校周辺は閑静な一帯。校舎は、創立当時のスパニッシュ・ミッション・スタイルの面影を残している。チャペル、記念講堂、コンピュータ教室2室、メディア教室、体育館、図書室など充実。校外施設として軽井沢追分寮、プール設備などのある野尻キャンプサイトがある。学院全体が使う「総合校舎」が誕生、大学の教授が中高生の教育に参加する計画も。

中学では偏りのない学習プログラムで基礎学力の習得に力を入れ、高校では個性に合った進路選択ができるような指導が特色。英語の指導には定評があり、中学では1クラスを2分割、中3から習熟度別授業を行っている。もちろんネイティブによる英会話の授業もあり、「使える英語」を養成。数学は中3で1クラスを2分割、高1・校2は3段階の習熟度別。高2からは多様な科目選択制を導入し、生徒のニーズに応えている。音楽・宗教教育にも力を入れる。他大学合格実績の躍進。高い現役進学率を誇り、東大、早慶上智大など難関大学への合格者も多い。進学先が社会科学系、理工系、医学系、芸術系など幅広いのも特徴。

東洋英和の朝は20分間の礼拝から始まる。クラブ活動は全員参加で、文化系22、体育系8が中高合同で活動。卓球、バスケットボール部が強い。中1では全員が車椅子、盲導犬、点字など、奉仕活動のための基本を学習(ギリシャ語で隣人に仕えるという意味のディアコニア学習活動)する。一方、有志によるYWCA活動は、手話・点字を習ったり、年に数回、養護施設や老人ホームを訪問し、子供たちやお年寄りとの交流をもつ。ピアノ科、器楽科、英会話、日本舞踊などの課外特別授業も行われている。球技会、文化祭、野尻キャンプ、クリスマス礼拝、夏休みのカナダ語学研修旅行(高1・高2)など行事も多種多彩。

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