
富士見中の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「社会は文字で表すことが必要」
社会科では、以前からよく書かせていますよね。
社会は書かないとダメというのが根幹にありますね。目だけでわかった気になっても、いざ書くとなるとできないんですよ。だからまず書いてみる。文字として表してみることがどうしても必要だと思うんです。
昔は板書中心だったのですが、時間がかかってしまうので、最近はプリントを使うことがほとんどですね。教科書、資料集も使いますが、中心となるのは手作りのプリントです。ただ、プリントも空欄を補充するだけではなくて、その事件がなぜ起こったのかなどを問える、工夫したものを教員は作っていますね。
社会科/藤川 建先生
「オリジナルプリントは1つの財産になると言ってくれる」
私は今、高校の世界史を教えていますが、プリントは完全にオリジナルで作っています。生徒のファイルに入りきらないくらい量が多いので、生徒は「重い」とか、好き勝手なことを言っていますが。世界の歴史などの本を見ると、20冊、30冊あるわけですよ。それをここまで凝縮しているんだということを伝えます。重くなったファイルだけれども、1つの財産になると言ってくれる生徒は多くいます。卒業した今でも大事に取っといているそうです。それを聞くと、がんばってプリントを作った甲斐があったなぁと感じます。
みんな、卒業してから気づくんですよね。中学・高校のよさ、授業のよさを。手取り足取り、板書は見やすく…というのが、どんなに恵まれていたかを、大学に入ってから気づくんです。たくさんの子が、また富士見の授業を受けたいと言ってくれます。
私は高校の世界史が専門なのですが、富士見では全員が全学年を教えるということになっているので、それは大きな特徴だと思いますね。中学しか教えないとか高校しか授業を持てないとかはありません。社会科教員全員が社会科の6ヵ年のサイクルを理解して授業に臨むことができるのは大きなメリットだと思います。
「最近は就職を考えて、社会科学志望の子が増加」
女子校なので、昔は人文科学系に進む子が圧倒的に多かったのですが、もうすぐ社会科学が人文科学を抜くという状態です。最近は将来、手に職をつけたい、スキルを身につけたいということで、公認会計士や弁護士を目指す子も少なくありません。就職のことを考えて、経営のことを勉強しようかな、経済のことを勉強しようかなと、生徒のほうが考えているような気がします。
受験を考えている方々が「国公立、早慶上智はどうなんですか?」と気にされるので、学校としては早慶上智にたくさん入ってほしいのですが、みんながみんな、早稲田が第一志望というわけではないですよね。例えば、日本大学芸術学部に入って映画を撮りたいという子もいますし、音楽をやりたいという子もいますし…。その子にとっての第一志望をかなえることが本当の意味での進路指導だと思っています。
「社会科は本質をとらえる力を養うための学び」
社会科は社会全般と渡り合う教科なので、いろいろなことに興味関心を持ってほしいんですよね。一面的なものの見方ではなく、多角的にいろいろな見方をしてほしいと思っています。Aさんの意見もあればBさんの意見もあるわけです。だれかの話を聞いただけで思い込んでしまったり、人の受け売りで話をするのではなく、複数の人から話を聞いて本質をとらえてほしいんですよね。その上で、自分の考えを持って欲しいのですが、やはり背景を知らないと、それが見えてこないと思うので、そのために社会科の勉強があるのだということを認識し、学んでほしいと思っています。
「素直で元気な子がとても多い」
最後に、学校のことをお聞きします。立派な絵画がたくさん飾ってありますよね。
校内に絵画が60点ほどあります。「鑑賞しなさい」と強制したりはしていません。本物の絵が身近にあるということで、育まれることがあると思います。
生徒さんは活発ですよね。
素直で元気な子がとても多いと思います。私はここの教員になって10年目なんですが、以前に比べると手ごわい子は少なくなっていますね。最近はまじめで、こじんまりしてしまう子が多いように感じます。なにか注意すると、シュンとしてしまって、大学受験など一人で戦わなければならない場面 になったら大丈夫なのかなと心配になります。親の言うことも聞きすぎているなとも思いますね。だから小さくなってしまう。親のほうも固まってしまうところがあるので、もっと視野を広げて欲しいなと思います。
ちなみに先生はクラブ活動の顧問をされていますか?
合気道部の顧問です。部員は高校生のみ30名くらいです。新しく私が作った部活なので、空いたスペース(ステージの上)で活動しているんですね。場所が狭いので、残念なんですが中学は入れられないんです。合気道のいいところは上下関係があまりないこと。私の母校(大学のクラブ)に練習に行くこともあります。
学校のきまりで、クラブ活動は週4日。週末の活動も月2日までとなっています。クラブ活動だけでなく、勉強もしっかりやってほしいからです。大学受験でいえば、やはり部活を最後まで続けている子が結果を出す傾向にあります。中高6年間、辛いこともあったけど頑張ってきたということが力になるのだと思います。
社会科/藤川 建先生
インタビュー 3/3

1924(大正13)年に富士見高等女学校として発足。40(昭和15)年に山崎学園が経営を引き継ぎ、47年に富士見中学校、48年に高等学校を設立。山崎学園は、山種グループの総帥・山崎種二(初代理事長)が教育事業に進出するために設立し、以来、設備・施設面などに大きなバックアップがある。
「純真・勤勉・着実」を建学の精神とし、「良識ある判断力、自主・自律の精神、協調・連帯の精神」をもつ国際的な現代女性の育成を目指している。大学現役合格を目指す進学校として基本は勉強におくが、進学実績だけでなく生徒の個性と可能性を伸ばすことを重視し、一人ひとりの生徒を大切にする。教育=人間として、生徒と教師の信頼関係も厚く、自由でのびのびとした雰囲気がある。
住宅地に囲まれ静かな環境にある。約1万7千平方メートルの校地には、中高校舎、2つの体育館のほか地下温水プール、LL教室、学習ホールなどを備えた50周年記念館、550名収容の山崎記念講堂などがある。各教室は冷暖房完備で最新のコンピュータルームも完成。一流絵画が校内に飾られ、情操教育に役立っている。校外運動場や山の家など校外施設もある。
大学進学を視野に入れたカリキュラム。主要5教科のなかでも英語に授業時間を多く配当し、中1の英会話は1クラス2分割の少人数授業、中3からは2クラス3分割の習熟度別授業となる。中3数学も2クラス3分割授業。高校は文系・理系の2コース制で、外進生とは高1で混合クラスになるが、定員は30名程度。ほぼ中高一貫といえる。選択制による授業に加え、放課後や夏期・冬期の講習、週1回、朝に行う英・国の小テスト、放課後の英会話講座、予習・復習のサポートなどバックアップ体制も充実。それぞれの目標に向けた学習を進められる体制をとっており、7割が現役で4年制大学に進学している。
自主性が重んじられ、校則は常識的な範囲。生徒会活動が活発で、クラブ活動も中学生の参加率9割以上と積極的に行われている。中学では文化部10、体育部13、同好会5あり、なかでも剣道、ダンス、水泳、新体操、演劇、吹奏楽部などが活躍。行事には文化祭、校内競技大会、林間学校、スキー教室、また山崎記念講堂で狂言、京劇、音楽などの鑑賞会、合唱大会、弁論大会などがある。体育祭でのマスゲームや高3の創作ダンス「扇の舞」は圧巻。教師や生徒同士の協力のなかで、交流を深め、体を鍛えることに役立っている。高1の希望者には、夏休みにアメリカとオーストラリアでのホームステイがある。高校の制服はブレザー。