
市川中の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2009年度からSSH指定校となり、第2次中期計画がスタートした市川。市川がめざす「人づくり」について、古賀正一理事長にお話を伺いました。
「SSHは本校の学園風土に合っている」
古賀理事長 私は長年東芝でものづくりや企業経営に携わってきました。その経験から、資源が乏しい日本が世界で勝ち抜くには、「科学技術立国」を目指すべきだと考えます。
したがって日本の将来を担う子どもたちには、知識を教え込むだけでなく、自ら考え、自ら学ぶことができる人間になってもらいたい。本校では「なぜ」を重視して指導しています。「第三教育」は、「言うは易く行うは難し」ですが、SSHの指定はこれを真に実践する大きなチャンスだととらえています。本校の「第三教育」や自然科学に親しんできた風土は、SSHに合っていると思います。
2002年度にSSH事業が始まってから「いつかはチャレンジしたい」と考え、SSHの指定校にもずいぶん見学に行きました。ですから、本校としては満を持しての応募だったのです。ちょうど新校舎完成と共学を開始した第1次改革(2003年度~2008年度)が節目を迎え、SSH初年度からは第2次中期計画(2009年度~2014年度)がスタートし、新たな変革に取り組みます。
「真に第三教育を実践できる骨太な生徒を育てたい」
古賀理事長 本校は教員の指導がていねいで面倒見がよく、生徒の質問には何でも答えてきました。これは、生徒一人ひとりをじっくりよく見て個性や能力を引き出す本校の教育理念に則っていますが、面倒見がよすぎると「自学力」は育ちにくくなります。知識を蓄えて基礎固めをするインプットは面倒見のよい指導でよいが、問題探求力や問題解決力は教員の教え込みではなかなか身につきません。「第三教育」の重要性をお経のように唱えるだけでなく、どうすれば自学力が身につくか、具体的なハウツーまでブレイクダウンする必要があります。
昔の生徒は「その程度のことは図書館で調べてこい」と放って置かれましたが、自力でやれるのは上位の生徒に限られるでしょう。それでは仕組みとしては不十分です。これからはシステムで教育することも必要になります。
第2次中期計画では、真の学力を身につけた「骨太な」生徒を育てたい。大学受験の実績でいえば、難関国公立大学の入学者を増やしたい。それには自ら考える力、自ら学ぶ力を養う必要がありますが、それをモチベートする教員の指導力も高いレベルが求められます。
理事長・学園長/古賀 正一先生
「クリエイトの時代は『自学力』と『自立力』が必要」
古賀理事長 私が東芝に入社した頃(1959年)、日本はキャッチアップの時代でした。当時はコンピュータの黎明期で、すべてがチャレンジでした。アメリカという手本があり、「追いつきたい」という一心でがむしゃらに仕事に打ち込んでいました。いま振り返ると、苦しい時代でしたが、日本は右肩上がりの成長期で恵まれた時代だったといえるでしょう。
いまの日本には目標となる手本がありません。ですから、これからは自らクリエイトしていかなければなりません。クリエイトの時代では、「自学力」と「自立力」が必要になるでしょう。社会に出れば、自ら学んでいかなければあっという間に時代に取り残されてしまいます。会社がやってくれるのを期待するのではなく、高いレベルを目指すなら、自ら学んでいく姿勢が求められます。厳しい時代でも自ら道を切り拓いていける、そんなたくましい人材の育成に今後も力を尽くしていきます。
インタビュー 3/3

1937(昭和12)年、市川中学校として開校。47年、学制改革により新制市川中学校となる。翌年には市川高等学校を設置。2003(平成15)年には中学で女子の募集を開始し、共学校として新たにスタート。同時に新校舎も完成させた。
2009年度4月から5年間文部科学省によりSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校に。今年度は、全国で9校、そのうち私立は市川だけ。5年間で5600万円の援助などにより、さらに理科教育の発展が期待できる。