
桐朋中の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「中3の自由研究。数学で金賞を取るという嬉しい成果も!!」
桐朋といえば、中3の自由研究にはユニークなものが多いですよね。
桐朋らしいといえば、中学3年生が自分で見つけたものを証明つきでまとめるケースはあまりないんじゃないでしょうか。毎年、中3が好きなテーマで自由研究に取り組むのですが、11月に発表会で1つか2つ数学の作品が金賞を取り、「桐の朋」という冊子に載るんですよ。嬉しい成果の1つです。
自由研究に数学ですか。
最近、やってみようという子が15人くらいいるんです。でも、「桐の朋」に載るようなレベルは一握りです。自分を振り返っても、夏休みの暑い時期にわざわざやろうとは思わないですから、本当に好きなんでしょうね。
金賞を狙っている子たちは、日ごろからネタ探しをやっていると思います。最近はないですけれども、新聞に取り上げられたり、外部の賞に推薦されたり。20年くらい前には内閣総理大臣賞を受けたこともありました。
展示期間は?
文化祭の時期に1週間くらいです。学校説明会とはかぶっていないのですが、外部の方からのアンケートには「いらっしゃってください」というメッセージをつけています。実際、うちを目指そうとしている、多くの方に見ていただいていると思います。
中学教務主任/村野 英治先生
「教室の黒板は数式だらけ。日常に数学が溶け込んでいる」
数学に興味をもたせるために工夫していることはありますか。
若い先生が言っていたのですが。私たちがきれいに着飾らなくても、数学自体に魅力があると思うんですよね。この証明の仕方がかっこいいとか、何かを見つけた時に「すげえ」と一緒に喜んであげたり。数学の魅力を損なわないようにしてあげれば、それでいいのかなと思っています。
心がけているのは、トレーニングが不十分な子に対してしっかり取り組ませるということ。例えば問題を解かせて、ノートを提出させているのですが、出していない子は呼んで、追試や補習をやるということですね。全体のベースアップが、その子にとっても大事だし、学校にとっても大事だと思います。
また、書かせることにも力を入れています。高校3年生の教室には黒板が、前、後ろ、横と3面あるんですよ。数学の授業ではもちろん、生徒たちが自主的に問題を解いて「これじゃダメ」みたいな添削が入っていることがあったり。イラストが描いてあったり、時には尾崎豊の詩が書いてあることも。その横で微分を失敗していたり・・・と、数学が日常の中にすっかり溶け込んでいます。
できれば1時間1題、とことん考えさせる授業が理想ですね。うちは1学年を複数の教員で教えるんですよね。それぞれアプローチの仕方が違うので、合宿をして「桐朋としてこれだけは教えたい」という柱を作るわけですが、それ以外の部分では各教師が個性を発揮していますから、6年間、いろいろな教員と交わる中で、生徒自身がこうしてやればいいのかなと思ってやってくれればいいと思います。
「数学は創造だ!! 新しいものを作り出すエネルギーをもとう」
桐朋の6年間でここまでの力をつけさせたいというイメージを、個人的な見解で結構ですので教えてください。
桐朋では、創造、すなわちクリエーションを大事にしていると思います。演習をしている時に、裏にヒントや解答が出ていても、そのまま書くのが悔しいというか、違う方法でやってやるという精神ですよね。私は授業でしつこいほど「別解ない?別証ない?」と聞くのですが、そもそも新しいものを作り出すんだと。オリジナルの解答を作るんだと。一方で、ある子の解答に対して、「ここがダメだからこっちのほうがいいんじゃないか」とか。「いや、もっと簡単な方法がある」とか。別の視点で迫れる、そんな数学になればいいと思います。
世の中をいい方に変革していくための、熱意や使命感をもっている子が育つ土壌がこの学校にはあると思うので、彼らの持っている知的能力の器を、私たちが埋め尽くすのではなく、ろくろを回すように器自体をもっともっと広げていければいいなと思っています。そして彼らが、自分の子供たちに人類が培った英知を伝えて、さらに創造していくという。そういう人に育ってほしいなと思いますね。
数学科/栗原 忍先生
「桐朋へ来ればいろいろなことができる。自分らしい6年間を過ごしてほしい」
最後に、受験生の皆さんへ、メッセージをお願いします。
よく、外部の学校説明会で言うのは、「桐朋へ来ればいろいろなことができるよ」と。「グラウンドもでかいよ」と。部活もそうだけど、「これをやりたいというものがあれば、その力を伸ばす教員も誰かしらいるよ」と。だから本当に好きなことをもっている子には、ぜひ来てほしいんですよね。
最近の保護者の方の心配は、「記述が書けないんです」とか、「やりたいことが特にないんです」とか。そういう子も「何か書いてください」と。国語も社会も記述がありますが、「何か書けばいいですよ」と。特別やりたいことが見つからない子も、入学してくれれば、いろいろな場を用意していますから、これは!!というものに絶対出合えると思います。
インタビュー 3/3

1941(昭和16)年、財団法人・山水育英会(山下汽船社長の山下亀三郎の基金を基に設立)を母体に第一山水中学校を創立。戦後、山水育英会を解散して桐朋学園を組織、47年桐朋第一中学校とする。翌年に高校が発足し、桐朋中・高等学校と改称した。現在は同じ敷地に小学校から高校までがある。
一人ひとりの生徒を、豊かな心と高い知性をもつ創造的人間として育成することに力を注いでいる。真に有為な良き社会人になるために、地球的視野に立ち、自立した人間として、自己を生かすとともに他者を生かす、このような人間形成を目指しているのが21世紀の桐朋教育。よって教育目標は、「自主的態度を養う。他人を敬愛する。勤労を愛好する」である。
一橋大学を中心とした国立の文教地区にある。自然林の緑に囲まれた2万3千坪の敷地に校舎がゆったりと建つ。LL教室、理科実験室、プラネタリウム、音楽・美術室など充実した特別教室のほか、図書館、視聴覚室、食堂も完備。体育館、プール、グラウンドなど運動施設にも恵まれている。4万5千冊の蔵書をもつ図書館は、すべてコンピュータで管理。
先取りは数学だけにとどめ、オリジナル教材やプリントを使いながら系統的に理解し、思考力と表現力を伸ばす指導が特徴。英語は『プログレス21』BOOK1~3を使う。英語は外国人教師による会話練習や海外とのEメール交換、理科は実験・実習、社会は社会科見学などで理解を深めている。習熟度別授業は高校の英語総合、数学などで実施。中1から夏休みや平常時に指名制補習もある。テーマ選びから始める夏休みの自由研究も大きな成果を上げている。外進生とは高1で混合。高2から文系・理系のクラス分けはぜず、選択科目で自分に合った学習をする。
「行事は生徒が創る」という方針で、修学旅行、遠足、運動会、学園祭など多くが生徒の企画・運営で行われている。自主性尊重は進路指導にも生かされ、在卒懇と呼ばれる懇談会で、卒業生に仕事選択の動機などを聞く。高2の在卒懇では大学の学部の内容やその選定のアドバイスを聞き、高3での大学選択につなげる。クラブ活動も盛んで中学生は9割の生徒が加入。サッカー、バスケットボール部などの活躍は有名。特にサッカー部・バスケットボール部は中高とも都内トップレベル。陸上競技、野球、オリエンテーリング、将棋なども優秀な成績を収めている。高校は制服なし。