コラム・読み物

コラム・読み物トップへ

シカクいアタマをマルくする。

出題校にインタビュー!

2009年 女子美術大学付属中 【理科】

女子美術大学付属中の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1. よく見て、考え、知識をつなげて表現する力を試す問題

「身の回りの生き物を“つながり”でとらえる」

青山先生 理科の学習は暗記に頼りがちです。単に用語を覚えれば解けるような問題では、発想の柔軟さは計れません。この問題は、図で示した「森の中で見られる生き物どうしの関係」をよく見て、知識をつなげて自分で解答を導き出せる力を試しました。

11の問題は、教科書の内容を理解できていれば答えられると思います。1は、具体的な名称を挙げるとつじつまが合いません。「植物」のほかに、「生産者」という答えも正解としました。

1は、問題の意図をとらえていること、解答の指示にしたがっていること、文章でしっかり説明できることが求められます。どの関係に注目するか、どこまで書くかによっていろいろな答えが可能なので、ひとつひとつの解答をていねいに採点しました。

もしかすると、シジュウカラがどんな生き物かわからなかった受験生がいたかもしれません。関係図は一見複雑そうですが、カエル→ヘビ→ワシのように自分がわかる箇所が見つかれば、それを例に挙げて説明できると思います。

理科/青山 晶先生

理科/青山 晶先生

「ワシが絶滅すると、ヘビも、カエルも、全部減る?」

青山先生 1の記述問題は、食物連鎖とはどのような関係であるかしっかり理解できていないと、文章で説明することはできません。説明する力や表現力はほかの教科でも求められる力なので、その点は厳しく採点しました。

一言で終わって説明になっていない答えや、生き物の例が1種類のみの答え、食物連鎖の現象をとらえられていない答えは不正解としました。ワシのように高次の消費者の数が減ると、その一段下のヘビやイタチ、リス、シジュウカラも減る、さらにその下も減って「全部減る」とした誤答が多かったですね。食物連鎖の食べる・食べられるの関係と、個体数の増減がどのように連動するか、きちんと理解できていないと思われます。

完全解答を求めたこともあって、正答率はあまり高くなく、予想よりもやや低かったですね。

「身近なことから地球レベルで考えられるようになってほしい」

青山先生 地球レベルで環境破壊が問題になっていますが、授業では新聞記事や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告などを紹介して「どう思う?」と投げかけたり、何かにつけて環境問題に触れています。

中2の「動物のしくみ」の授業では、初めに「教科書に載っている動物たちは、環境に適応して生き残ってきたんだよ」と投げかけ、さらに、「この動物たちを守っていくためにはどうすればいいか」ということまで考えられるように、学習の意識づけを心がけています。今回、「森の中で見られる生き物」を取り上げましたが、受験生も入試問題を通して環境問題に目を向けてくれればと思います。

「ニュースを見て、“いまの世界”に目を向けてほしい」

青山先生 例年理科では時事的な問題を出題しています。2009年入試では、国際宇宙ステーションに取り付けられた日本の実験棟「きぼう」や、2009年1月1日午前8時59分60秒の「閏秒」を聞きました。いま、世界でどんなことが起こっているかということにも敏感でいてほしいですね。

小島先生 時事問題に関しては、学校説明会でお父さんからよく質問されます。ご家庭でニュースを見ながら「いま、こんなことが起きているんだね」という会話がされていると、お子さんも興味をもちやすいのではないでしょうか。

女子美術大学付属中 先生

インタビュー 1/3

女子美術大学付属中学校

女子美術大学付属中学校1900(明治33)年、私立女子美術学校設立。15(大正4)年に同付属高等女学校を開校する。35(昭和10)年、現在地に移転。49年に女子美術大学が発足し、翌年同短期大学を併設。51年に女子美術大付属中・高と改称。90(平成2)年、大学が神奈川県の相模原へ移転。2000年に創立100周年を迎えた。

「わが国の文化に貢献する有能な女性」の育成を主眼に発足。中・高・大学を美術という共通の絆で結んだユニークな名門校。一般教科の学習によって、幅広く知識や教養を身につけるとともに、美術をとおして各人が個性や感性を磨き、より創造性豊かな人間の育成を目指す。明るく自由で、個性的な生徒が充実した学園生活を送る。卒業生には世界で活躍する美術家やデザイナーなども多い。

杉並の落ち着いた住宅街のなか、併設の短大と敷地が同じだけに芸術的環境に恵まれている。美術に慣れ親しみ優雅で情操豊かに育てることを目的とし、軽井沢の寮で校外学習などを行い、自然美の観察もする。7つの美術室、工作染色室のほか、カウンセリングルーム、売店、食堂などがある。

文科省に定められた教科、科目はすべて履修するが、美術は週4時間をあて、のびのびとした感情の表現、創造力の育成、美的感覚の洗練をはかる。絵画、デザインが中心だが、彫刻、陶芸、版画、染色、美術鑑賞なども行っている。パソコンも美術で活用。一般教科では英語に力を入れている。高校では7~8時間を美術にとり、さらに専門的な美術理論の学習と、実技の練達をはかる。外進生とは高1より混合。高3で絵画、デザインのどちらかのコースを選択し、より専門的に学習する。併設の大学・短大へ70~80%が推薦入学するほか、超難関の東京芸大に進学する生徒も毎年見られる。

10月に開催される文化祭は、中高の全生徒の作品を展示。日ごろの学習の成果が発揮された創造性豊かな作品は、観客の目を十分に楽しませてくれる。校外での学習もひと味違って、中3・高3の修学旅行は、京都、奈良で寺院や美術館を見学して日本の古い美術文化を研究する。中1・中2・高1の春季旅行は自然のなかでスケッチ、山歩きなど、高2では女子美大工房見学を行う。クラブ活動はすべて中高合同で、美術、絵本、アニメーション、漫画研究など文化部が充実している。運動部はテニス、バスケットボール、卓球など9部が活躍。落語研究、コスチュームアートなどユニークな同好会もある。

PageTop