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シカクいアタマをマルくする。

出題校にインタビュー!

2009年 日本女子大学附属中 【社会】

日本女子大学附属中の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1. 地図のポイントや位置関係をイメージとしてつかみ、活用できるチカラを養ってほしい

「地図を見ていますか?」

出題意図を教えてください。

澤先生 簡単にいえば、普段から地図を見ているかどうかということです。小学生は県名や県庁所在地名を必死になって覚えると思うのですが、単に覚えるだけでは、県庁所在地が県のどのあたりに位置するのか、その県庁所在地がどんな都市かわからないということもあると思うのです。一番いい例が山口県で。県庁所在地は必ずしも大都市ではないのですよね。その都市のことを細かく聞く・・・ということは考えていないのですが。丸暗記ではなくても、ある程度の情報はつかんでいてほしいなという思いを込めて出題しました。

國澤先生 地図の学習のはずなのに、文字で認識している部分がすごくあると思うのですよ。文字の知識として覚えていると、今回のような問題にはとまどったと思います。とまどって頭の中が真っ白になって本来の力を出せないという子も中にはいるだろうと思ったので、選択肢を設けて引き戻してあげるというか、「ここにもヒントがあるよ」という感じの出題にしました。

日本女子大学附属中/先生

「グーグルなどの地図活用もヒントになった」

澤先生 この問題を作るにあたり、もう一つヒントになったのは、GIS(Geographic Information System)です。簡単に言えばコンピュータ上で地図を活用するというものです。例えばコンピュータの地図に「コンビニエンスストア」で検索をかけると、地図上にバーッとコンビニエンスストアが出ますよね。コンピュータ上では境界線を消して表現することもできます。そういったこともヒントになっています。

以前にも日本地図から新幹線の路線や、日本海側の線だけを引いてみるなど、何かしら抽出したものを出題しています。データについても都道府県名を隠してランキングしてみたり。いつも目に触れているものを、あえて隠して出題する方式は、定期テストなどでもよくやります。

「受験生は地図が絡んでいる問題に弱い?」

例年、地理の出来はどうですか?

国澤先生 今年は比較的よかったのです。例年、歴史の方が平均点は高いですね。ただ、受験生がつまずいているところを見ると、地理・歴史に関係なく、地図が絡んでいます。歴史の内容なら深く理解できているかというと、そうではなく・・・。地図を出してみると、とたんにできなくなっているところを見ると、やはり文字情報として覚える受験生がどうしても多くなってしまうのだろうなという気はしますね。

本校は女子校ということもあるのかもしれませんが、なかなか地図というものに親しめないところがあります。それは授業をやっていてもそう思います。去年なども産業学習をする時に白地図を配り、いろいろな土地の情報を1つ1つ確認しながら、そこに書き込んでいくということをやっていますが、とても時間がかかってしまい、授業でやりたいことができなくなるというジレンマに陥りました。

社会科/國澤 恒久先生

社会科/國澤 恒久先生

「情報量が少ないコンピューターの地図に慣れているのかも」

澤先生 多くの学校で使っている帝国書院の地図では、県名がコシック体の赤字で記してあります。地図から県名を見つけなければならない時に、赤い文字だけを追って探せば難なく見つけられるのですが、生徒のようすを見ていると、全ての情報を仕入れようとしてしまう傾向があるのですね。

県庁所在地であれば、少々大きめの文字で書いてあります。川であれば青字で書いてあります。本来、「○○川を見つけて」と言われたら、地図の中の青い文字だけを見ていけばいいわけですが、そうしたちょっとしたことができない子がいるのです。

昔に比べると、地図帳の情報量はかなり少なくなりました。だから見やすくなっているはずなのですが。カーナビなどのコンピュータの地図は、目的に必要な最低限の情報しか盛り込まれていませんから、それに慣れると紙の地図は情報量が多くてごちゃごちゃしており、嫌だなと思うのかもしれませんね。

地図を見ることが嫌いな生徒は本校では全体の6割くらいです。理由はやはりごちゃごちゃしているということが多いです。反対に好きだという残りの4割は、地図を見るだけで、創造を掻き立てられるというか、旅をしているように見ることに楽しさを感じているようです。

「インプット、アウトプット・・・同じ能力のところで弊害があるのを感じる」

國澤先生 逆に自分たちが調べたことを地図に記そうとすると、いろいろなことを盛り込みすぎてしまいます。本当に必要な情報だけを載せればいいのに、やたら載せてしまって、何を言いたいのか、何を見せたいのかということがわからなくなる。インプット、アウトプット・・・同じ能力のところで、いろいろな弊害があるのを感じますね。

先日、教育テレビ50周年で、私たちが子供の頃に見ていた懐かしのテレビ番組を放映していました。街を調べ、最後に絵地図を描くという番組だったのですが、それがすごくシンプルで、わかりやすい地図でした。逆に今は、そういうものを描くのが苦手なのかなぁという感じはありますね。

澤先生 昔の先生はOHPを使って授業をしていましたよね。OHPはシートを何枚も使いそれを重ねているのですが、1枚1枚重ねると、地図の構造がよく分かります。我々もパワーポイントに頼っていないで、ああいうものを使わなくてはいけないと思います。便利なものばかりを使っていると、そういう力が衰えてしまう恐れがありますね。

「住んでいる地方のことが意外とわかっていない」

最初から、四国の地図は入っていましたか?

國澤先生 1は導入問題として、点が何かということをわかるようにしたいと考え出題しました。いきなり2からではできないだろうと・・・。そこで、一番単純でわかりやすい四国にしました。

地方区分のわからない生徒が時々います。本校では東北へ校外授業に行くのですが、「新潟って東北地方?」とか、「北海道って東北じゃなかったの?」という子もいます。

ほとんどの受験生は関東地方に住んでいるのだから、簡単に答えられるだろうと思っていたら、意外と栃木と群馬を間違えていて。一般的に認知の低い県がきちんとできている。そういうこともあるんだなと思いましたね。

澤先生 本校でも十数年前に、どのくらい都道府県を認知できるのか、地図で調べたことがあります。よく一般的に鳥取、島根は回答率が低いと言われていますが、やはり間違えやすいということで、しっかり学習しており正答率は高かったです。そういう間違えやすいところはしっかりできるのに、群馬や栃木はできていなかったです。

社会科/澤 達大先生

社会科/澤 達大先生

「四国の正答率はよかったと思う」

この問題の正答率はいかがでしたか?

國澤先生 小問ごとの正答率は出していないのですが、四国はできていたと思います。ここでいう212であれば、どちらかというと1の方が正答率は低かったですね。アと答える子が多かったです。

澤先生 文部科学省が行っている学習到達度調査で、B問題(いわゆるPISA型のテスト)でも、普段見慣れていない形式の問題だと、とたんに思考回路がストップしてしまう生徒が多いようで、最初からサジを投げてしまうようです。「やり慣れていないけれど頑張って解こうとする子は少ない」と、小学校の先生から聞いたことがあります。

「覚えたり、学習したことを道具のように使えるようになってほしい」

國澤先生 私などは、この入試問題を授業の導入に使ったりしています。そうすると生徒の食いつきがいいんです。

本来地図をこういう見せ方にしているものについては、「何だろうな?」と疑問をもって取り組んでくれるというのが望ましい形だと思うのですが、なかなかそうはいかないようで、まずは面食らってしまうのですね。本当はこういうものを見て、興味をもってほしいという気持ちでいます。

澤先生 時々定期テストで、問題集に載っていないような形式の問題を出します。そうすると生徒は嫌がりますね。「先生、あれは授業でやりましたか?」などと聞いてくる子が多いです。「必要な知識については授業でやったよ」と言うのですが。

生徒にはよく「マニアのような問題」と称されているようですが、別にこちらもマニアではなく、見方を変えて作っただけなのです。覚えたり、学習したことが、道具のように使えるかどうかを試すために、授業ではやっていない資料を使って出題するのです。そういう問題は本当に理解できている子はできるけれども、例えばプリントの穴埋めだけをやっているような子はできないですね。

生徒には「正面から見れば大仏とわかるけれども、後ろから見て大仏とわからないようじゃ困るよ」と言ってます。

「グーグルアースは浸透。興味づけには使えなくなった」

今の子どもたちは、グーグルアースやストリートビューなどを見ているのでしょうか?

澤先生 見ていますね。今年、授業で1年生に聞いてみたら「使ったことがある」生徒が4割くらいいました。「グーグルアース」をわからなくても、「お父さんがそういうものをやっているところを見たことがある」などという子も含めると、もう少しいると思います。

以前はコンピュータ室での授業で、生徒の興味を引くためにグーグルアースを使ったりしていたのですが、もう導入としては使えませんね。当時はストリートビューがなかった時代でした。「みんな楽しんでいるけど、これの恐さってなんだろう」ということを教えたりもしました。GPSなども、アメリカの戦略的な部分での開発から始まったものだという話をしていくと、生徒は恐さというものを感じるようです。そういうところから個人情報の流出などを考えるということは、グーグルアースが出始めた頃からやっていました。

インタビュー 1/3

日本女子大学附属中学校

日本女子大学附属中学校創立以来、建学の精神を「信念徹底・自発創生・共同奉仕」の三大綱領に示し、生徒の個性を尊重し、創造性を豊かにし、高い徳性を養うことを目指している。「自ら考え、学び、行動する姿勢を育てる」ことを重視しているだけあって、生徒たちは学習に積極的に取り組み、問題解決能力を身につけていく。一人ひとりが主役となり、全員で学校生活を作り上げているため、校風も伸びやかで明るい。

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