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シカクいアタマをマルくする。

出題校にインタビュー!

2009年 東京農業大学第一高等学校中等部 【算数】

東京農業大学第一高等学校中等部の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3. 中高一貫校となって5年、生徒の成長に感じる大きな可能性

「実学の東農大。教具を使った楽しい授業を心がけている」

入学後、6年間の数学で目指しているもの、工夫している点などを教えてください。

山野 まずは入ってきてくれた子たちが授業を楽しんでくれて、自分でやれるようになってほしいというのが一番の願いですね。本校の場合は実学ということで、実際に手を動かしてやってみようということを心がけていますので…。このような教具を使って角度を測り、2つの点から観測して校舎の高さを求めるということを、中3の「三角比」の授業の中ではやっています。

確率などは実際にサイコロを転がしたり、すごろくを作ったり…。中学生には時間の許すかぎり、なるべく教具を使って、楽しい授業を心がけています。

実体験から入るのですか? 理論から入るのですか?

山野 それは単元によっていろいろですね。進度を速めていますので、中学生に高校生の方法で授業はできないですから、ちょっとした工夫が必要なんですね。例えば因数分解や展開は面積図を使ってやったりしています。小学校の算数ではよくタイルを使うと思うのですが、因数分解はタイルもよく使います。何枚かのタイルを使って長方形を作らせるんです。後ろにマグネットをつけておいて、黒板に貼れるようにしてあるのですが。当てて、前へ出てきて、試行錯誤して…。要は「単純に長方形を作る作業なんだよ」「これが因数分解だよ」というところから入っていきます。その先では、もちろん計算問題などもたくさんやらせたりするのですが、入り口はできるだけ低く、考えてやっています。

タイルを並べている段階では、子どもたちはまだ因数分解であることを知らないわけですね。

山野 そうです。中2の1学期なんですが、タスキがけくらいは射程圏内に入っていて、その先は練習問題ができるということですね。

中等部数学科/山野峰貴先生

中等部数学科/山野峰貴先生

「教え方を工夫すれば理解できるものは、中学のカリキュラムへ」

カリキュラムや教材などで工夫していることはありますか?

山野 シラバス的なところでいうと、だいぶ組み替えをしています。こういうやり方をすれば中学でも平気だろうというところは、できるだけ中学校に降ろしています。

例えば二次不等式なども、中2の3学期にやるのですが、ジェットコースターで説明するんですね。X軸と交わる放物線があって、「ジェットコースターをイメージしなさい」と。「X軸が水面。X軸よりも上が空中で、下が水中だよ」と。「左からジェットコースターが走ってくると…Xは1のところでドボンと水中に突入。2のところで出てきて空中に上がって行くよ」と。式の値が「0よりも大きいということはジェットコースターが空中にある時の範囲を求めなさいということ。空中にあるのは、X軸との交点よりも左と、もう1つの交点よりも右だから…」という説明をすると、高校生よりも飲み込みが早いんですよ。そういうことで、できるだけ中学に降ろせるものは降ろして、工夫をしながらやっています。

高入生だと、二次関数が終わった直後に二次不等式をやるのですが、1期生は中2の1学期で二次関数をやり、2学期は図形をやって、3学期にまた二次関数に戻ってきます。そこで二次不等式をやるのですが、1学期間時間を空けられて、復習などもその間に課題として課せられるので、飲み込みはわりといいですね。

高校生でも判別式の正負と、もともとの式の値の正負がごっちゃになってしまう子がいるので、中2の段階で判別式は出さないですが、放物線がX軸の上に出ているものもやります。左辺が容易に因数分解できない時はどうするか。実は中1でルートを教えているので、平方完成して、「2乗引く2乗の形にもち込みなさい」と。「そうしたら因数分解できるよね。でももし2乗プラス3だったら因数分解できない。グラフでいうと、宙に浮いている状態だよね」という話をするんです。

こうすると判別式を使わないで2次不等式のすべてのパターンを扱うことができるんです。ただ、Xの2乗の係数を2などにしてしまうと若干面倒くさくなってくるので、中2ではできるだけ係数は1でやるようにしています。

「中高一貫になって5年。高校生の面倒見のよさに助けられて順調に移行」

山野 1期生が入ってきた時に驚いたのは、「この問題、できる人?」って聞いた時に、「はい」って言ったにもかかわらず、黒板の前で考え始めた子がいて。「ああ、小学生ってこうなんだな」と、強く感じたのを覚えていますね。

中学ができたばかりの頃は、新鮮というか、毎日があわただしくて。バタバタとしているうちに過ぎていったという感覚の方が強いですけれども。

村上 中1は小学校7年生。夏休み頃になると中学生になるかな。で、中3の夏休みを過ぎると、高校マイナス1年生ですね。1期生が入ってきた時は、完全に大人と子どもの世界だったので、高校生たちがものすごく面倒見がよかったですね。

山野 そうですね。

村上 最初、どうなるかわからないから、すごく心配だったんです。でも、入学してきたら、そんな心配、全然必要なかった。

山野 私はこの学校が3校目なのですが、高校生がとても優しいんですよ。中学立ち上げの時も、実はうまくいくだろうという感覚を私はもっていて、そのとおり、高校生が手取り足取りやってくれて、非常に助かりましたね。

まだ5期生ですから、全員は揃っていないですけれども、だいぶ流れができてきたという感じですか?

村上 少しずつですが、そうですね。

入試広報部部長/村上修一先生

入試広報部部長/村上修一先生

「全体を見渡せる能力はぜひ身につけてほしい」

村上 最後に1ついいですか。2月1日の問題に関して、説明会で必ず話しているのは、1番から順番に解いていくとやられてしまいますよと。例えばこの3番がつまずく原因。4番、5番になると、正答率が上がってくるんですね。意図してそういう配列にしているので、要は、全体を把握する能力というのは、1問を解くよりもはるかに大切なことなんです。つまり全部を見渡すことができて、その上で1問1問を解いていくのと、端から順に1問1問を解いていくのとでは、意味合いが違うわけですよ。その能力があるかないかで20点、30点の差が簡単についてくる。その能力が、実は一番大きな点数の違いとなって表れるので、全体を見渡せる能力はぜひ身につけてほしいんですね。

本校では2回目は算・理という入試をやっています。それは決して算・理が得意な子を集めたいという気持ちでやっているのではなく、いろいろな能力・いろいろなタイプのお子さんがいますので、1回目、2回目、3回目、それぞれに個性をもったお子さんが入ってきてくれればいいなという気持ちで取り組んでいます。まずは説明会へいらしていただき、ご理解を深めていただければと思います。

東京農業大学第一高等学校中等部

インタビュー 3/3

東京農業大学第一高等学校中等部

東京農業大学第一高等学校中等部1891(明治24)年に榎本武揚が創立した育英學農業科が起源。1925(大正14)年に東京農業大学となる。農大一高は1949年(昭和24)年に東京農業大学予科の伝統を引き継ぎ開設。1956年に女子部を開設、1964年には男子部・女子部を合併した。2005(平成17)年に男女共学中高一貫校を開校した。
近隣には駒澤大学附属高校などがあり、東京農大に隣接した文京地区にある。緑の多いキャンパスにはパソコンルーム、メディアセンター、人工芝グラウンド、ビオトープなど充実した施設がそろっている。廊下の幅は4mと広く、オープンスペース、屋上日本庭園など校舎の随所にゆとりが感じられる。
生徒の「夢の創造と実現」が図れるよう、中高一貫の進学校として05年に開校した。「世界で通用する学力・心の教育・国際化・実学教育」を教育方針に掲げ、さまざまな状況でベストを創出できる能力と、能動的な学びのスタイルを確立し、幅広い進路の実現を目指す。知耕実学を学びの基本姿勢とし、独自の体験学習プログラムを通じて、受験指導だけではない豊かな人間性を涵養する。
東京農大だけでなく国公立・他の難関私大への進学希望をかなえる中高一貫カリキュラムを組む。中1を基礎期、中2・中3を充実期、高1・高2を発展期、高3を完成期とし、シラバスに沿った指導を展開。高2で高校課程を修了し、高3では目標大学別の演習にあてる。週6日制で授業時間にゆとりを確保し、学んだことを実際に応用し、また体験から得たことを学習に生かす実学的学習を実践する。中学では主要5教科を重視し、英・数・国は公立の2倍の時間を配分。英・数の中2~高2の習熟度別授業、英・数・国の確認テスト、補習・講習など、きめ細かく生徒それぞれの学習進度に合わせて指導する。
国語の文学散歩や、社会科見学、理科校外学習は各学期で実施。球技大会、醤油づくり、合唱コンクール、スキー教室などの行事があり、オーストラリアでのホームステイが、中3・高1・高2で行なわれる。クラブ活動は、中学は文化部11、運動部13のクラブが活動。高校は野球、陸上、バレーボール、ハンドボールなどが活躍、高校のみ馬術部もある。制服は男子は詰襟、女子は紺のブレザーに赤いネクタイとチェックのプリーツスカート。

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