
西武学園文理中の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
「“日本語の乱れ”のような言葉の変化に敏感になろう」
いわゆる“日本語の乱れ”と言われている文章を読んで、それをどのようにとらえるか。この問題で試したい力の1つは、学んだ知識を日常生活に結びつけて理解しているかということです。もう1つは、授業で押さえた知識が日常生活でどのように使われているか、「この言葉の使い方は正しいのだろうか?」と“反応できる感覚”をもっているかどうかです。
この問題では「ら抜き言葉」や「さ入れ言葉」を日本語の乱れとして取り上げましたが、「正しい言葉を使いなさい」という意図の問題ではありません。言葉はその時代、時代で変化するものです。古語が現代語に変わるのは日本語の乱れが発端ですから、「日本語の乱れはよくない」と頭から否定はしません。
つまり、日本語の乱れといわれる変化に敏感であってほしいということです。見聞きした言葉が、現在、日常生活でどのような位置にあるのかを考えてみてください。「とか」もそうですが、いまでは大人も当たり前のように使っています。テレビを「見られる」と言う人もいれば、「見れる」と言う人もいる。同じことを言っているのになぜ違うのか、考えてみるとおもしろいのではないでしょうか。
言葉の使い方は、世代によっても地域によっても違いがあります。言葉が正しいか、正しくないかではなく、「言葉には違いがある」ことに気づいてほしいと思います。
国語科教科長/瀬戸富美子先生
「5問完全解答は厳しかったかもしれない」
問題で取り上げた、「読ませる」「行かせる」「見られる」「着られる」は、小学生もふだん使っている言葉だと思いますが、古典文法で間違えやすい言葉でもあります。5問完全解答で正解としたため、5問すべて正解するのは結構厳しかったのではないでしょうか。
いまの若い世代の多くは「ら抜き言葉」を使っていますが、従来の使い方をわかって使っているでしょうか。わかっていなければ当然違いもわかりません。解答から受験生の言葉に対する反応力を計ることができます。
国語科/高田裕二先生
「相手の話をよく聞く姿勢が言葉の反応力を高める」
言葉に敏感に反応できるということは、学習の場だけでなく、ふだんの生活でも言葉に対する感度が高いと思われます。言葉の反応力は、本をよく読むだけでなく、相手の話をよく聞く、あるいは物事をよく見ることで養われます。その際、「よく見よう」と意志をもって見ること。そうでなければ見えるものも見えてきません。
自分が興味や関心をもてないことには振り向かない、「これでいい」と自分の世界で満足せずに、「新しいことを見てみよう」と思ってほしい。新しいことを受け入れる力、近づく力をもってほしいですね。そうすると、学習もおもしろくなってくると思います。
「『語り聞かせ』で大人の考えに触れさせる」
幼児には読み聞かせがよいと言われますが、受験生の年代では自分が好きなものを読んでいると思います。そこで、お子さんに「語り聞かせ」をしてみてはどうでしょうか。
たとえば、「今日は天気が良くてとてもいい気分ね」という身近なことや、最近のニュースから、「この2つの国は、どうしてこんなに仲が悪いのか、お父さんが説明してあげるよ」とか、「地球の温暖化対策は身近な家庭生活の中でも出来るよ。例えばエアコンの暖房の温度を2度下げたり、照明をこまめに消すとかね」など、お父さん、お母さんが感じたことをお子さんに話してあげて、大人の考えに触れさせてください。
そうした家族の会話が、言葉の力を養う上で国語の授業ではカバーできない部分を補ってくれるのです。小6になると、「ちゃんと勉強した?」「テストはどうだった?」といった会話が多くなるでしょう。だからこそ「語り聞かせ」のような会話を大切にしてほしいと思います。
また、親子で同じ本を読んで感想を語り合うのもよいでしょう。一昔前の作品は、現代とはずいぶん生活様式が異なります。いまの子どもの生活からかけ離れたものも多い。「お父さんが小さいころは、こうだったんだよ」といったことを語って聞かせてあげてください。
インタビュー 1/3

栄養士、臨床検査技師などの専門学校を系列にもつ西武学園が1981(昭和56)年に高等学校を開設。93(平成5)年には満を持して中学校を開設。短期間で東大などの難関大学に合格者を輩出するほどの進学校として成長してきた。2004(平成16)年には小学校も開校。
緑あふれる武蔵野の台地、入間川のほとりの恵まれた自然環境のなかに、レンガタイル貼りの校舎が建つ。中学校舎は「銀河館」、高校は「大志館」「躍動館」など、建物ごとに名称がついている。多目的ホール、総合学習センター、情報館(I・I・YOU館)、LL教室など施設は充実している。キャンパスのあちこちに彫刻作品が飾られている。
「誠実・信頼・奉仕」を校訓とし、中高一貫教育をとおして、全員が難関大学に進学することができるような教育を行うとともに、より豊かで幅広い教養を身につけ、地球規模で物事を考え世界で活躍することができる“真のレディー&ジェントルマン”の育成を目指す。シンボルマークは熊(BEAR)で、これには英語の「耐える」という意味も込められている。
外進生とはクラスがまったく混合しない中高一貫の英才教育を実施。中1から少数精鋭の特別選抜クラスを2クラス設置(毎年入れ替えあり)。普通クラスでも、英・数の習熟度別授業、0時限の確認テスト、理科実験の2人1組での指導など、密度の濃い授業で生徒の向学心を引き出している。高1から学力別クラス編成で、高2で文系・理系に分かれ、高2までに中高6年間の内容を修了、高3は大学入試実践力の養成に専念する。基礎学力の定着に英検、漢検などを活用。読書も重視し、中学3年間で50冊読むことを目標とする。東大、早慶上智大など難関大学への現役進学率は好結果が続き、医歯薬学部への合格者も増加。
国際教育が盛んで、中3でイタリア、高2でオーストラリアを訪れる海外研修旅行、中2で奈良・京都研修旅行があるほか、アメリカでの短期語学研修、ネイティブスピーカーと寝食をともにする高1のイングリッシュ・サマーキャンプとメニューは多彩。高中1で科学技術館や水族館、中2で古都鎌倉の名所旧跡を見学する。中1・中2の夏休みに、クラスの友人の家を互いに訪問する「国内ホームステイ」、校長先生を囲んでの毎月の誕生会もユニーク。奇術研究会が南京玉すだれなどの古典芸能に挑戦するのをはじめ、体育系の中国武術、ライフル射撃などの他校には少ないクラブ活動も盛ん。毎週土曜日には、創造性や自主性を育てる総合的な「CA」授業(70分)を開講。男子は剣道、女子はダンスが必修。